「子どもに知的障害の診断が出てしまった……」「知的障害の子どもに未来はないのかな……」といったお悩みを持つ親御さんへ。
私の娘も知的障害を伴う発達障害なので、もう人生終了なのかな……と考えてしまうこともありました。しかし、娘の将来が少しでも明るいものになるよう、できる限りのアプローチをしてきました。
今回はその具体的な方法について紹介します。
- 知的障害の子どもに親ができること
- 知的障害の子どもの将来
この記事を読めば、私たち親が知的障害の子どもに今できることがわかります。
私たち夫婦の実体験から具体的な方法について紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
目次
知的障害の子どもは人生終了?【無論、そんなことはないです】
Web上で「知的障害の子どもは人生終了」という書き込みなどを目にしたことがありますが、実際に知的障害の娘を持つ私たち夫婦からすれば、もちろんそれは間違っていると思います。知的障害の子どもたちも、豊かな人生を送ることができます。
こちらの記事では、実際に知的障害を伴う自閉症などを持つ子どもを題材にした漫画を紹介していますが、豊かな人生を送っている様子が描かれています。
とはいえ、それには私たち親が知的障害についてしっかり理解し、社会で生き抜いていくための土台を築いてあげることが大前提です。そうでないと、最悪の場合は本当に子どもが「人生終了」という事態になりかねません。。
では、知的障害とは何なのか、どう対処していけばよいのか。次から具体的に紹介していきます。
そもそも、知的障害とは?
知的障害の定義
知的障害とは、一言で言えば知能発達が遅れている状態です。知的障害の定義は、知能指数(IQ)が70以下であることや、日常生活を送る能力が十分に身についていないことなどが含まれます。
知的障害の区分
知的障害には、軽度、中度、重度、最重度という区分があります。
- 軽度:基本的な読み書きや計算などのスキルは習得できますが、一人で生活するうえでは支援が必要なこともあります。
- 中度:基本的なコミュニケーションや生活スキルは習得できますが、ある程度のケアや支援が必要です。
- 重度:コミュニケーションが限定的であり、日常生活を送るうえで支援は必須です。
- 最重度:日常生活やコミュニケーションが困難なため、強力なバックアップ体制が必要です。
知的障害の人の特徴
知的障害の人の特徴は、「認知的な遅れ」「言語発達の遅れ」「ソーシャルスキルの欠如」「記憶困難」「注意力の欠如」「問題解決能力の欠如」などが一般的です。
私の娘のピノ子は、6歳時点で中度知的障害ですが、今後の成長によっては重度になることも考えられます。しかし、今は何とかそのまま推移できるように療育に励んでいます(療育の効果については、以下の記事をご覧ください)。
知的障害の子どもへのアプローチ【今やるべきこと】
ご紹介したように、障害の度合いによって描くべき将来像は変わってくるかと思います。
しかし、いずれにせよ幼少期から適切なサポートや教育を受けることで、社会で生き抜く方法を学ぶことができるのは確かです。子どもの特性や成長に応じて適切な目標を設定し、自己肯定感を育むことが重要です。
具体的なアプローチとしては、次のような方法が考えられます。
- インクルーシブ教育を受ける
- 適切なサポート(療育など)を受ける
- 適切な医療サポートを受ける
- 親が適切なサポートをする
各項目の詳細は後ほど紹介しますが、私たちの経験からはこれらを行うことで、子どもたちの可能性が最大限引き出せるのではないかと考えています。
ピノ子の場合もこういった方法を取り入れることで、中度知的障害をかかえながら、(本人なりにではありますが)毎日心穏やかに過ごし、日々成長してくれていると思っています。
知的障害の子どもへのアプローチ【私たちの対策】
では、私たちが実践している4つの対策について、もう少し詳しくご紹介します。
インクルーシブ教育を受ける
インクルーシブ教育とは、障害のある子どもと健常児を一緒に教育する方法です。
障害があっても、個別のニーズに合わせたサポートを受けられるので、子どもの成長や発達を促せます。これによって、知的障害の子どもでも自信を持って学び、ソーシャルスキルを身につけることが可能。健常児にとっても、障害のある子どもへの共感心や理解力を養うことができます。
たとえば、ピノ子もインクルーシブ教育(保育)を実践している幼稚園に通園しているのですが、塗り絵をする際は枠をつくってもらって塗りやすくしてもらったり、椅子に一定時間座れるように背もたれを工夫してもらうなど、細かい個別対応をしてくれています。
近くにインクルーシブ保育を実践している保育園や幼稚園があれば、ぜひ検討してみてください。
適切なサポート(療育など)を受ける
知的障害の子どもを育てるには、療育は必須。言語療法士や聴覚療法士などのサポートも受けられるとよいでしょう。個々のニーズに合わせて、最適なプログラムを提供してもらうことができます。
ピノ子の場合も、2歳頃から自治体の療育に通い始め、3歳からは民間の療育に通い始めました。もちろん、たくさん通わせればよいというわけではありませんが、ピノ子の特性を踏まえ、最適な療育先を検討しました。
そのかいあってか、今では本人なりによく成長してくれていると思っています。もしまだ療育に通われていない場合は、この機会にぜひ検討してみてください。療育については、以下の記事で詳しく紹介しています。
適切な医療サポートを受ける
知的障害の子どもの発達相談ができる、かかりつけ医のサポートを定期的に受けましょう。状況や症状に応じて、薬物療法を提案してくれることもあります。薬の使用については賛否両論があるかと思いますが、注意力や集中力の改善、不安や抑うつの緩和などの効果も見込めます。
ピノ子は現在薬は使用していませんが、定期的にかかりつけのお医者さんのところに行くと、どうにもならなくなってきたら薬の使用も選択肢の1つとして入れるよう、アドバイスをもらっています。
親が適切なサポートをする
当たり前のことかもしれませんが、私たち親のサポートとケアも重要です。親が十分にサポートしてあげることで、知的障害の子どもであっても自己肯定感が高まります。
上述したように、教育環境や療育、医療的なサポートなど、子どもにとって最適な環境を私たち親が整えてあげることが必要ですが、普段の接し方にも気をつけなければなりません。
これはあくまで私たち夫婦の例ですが、ピノ子が何かできたことについてはもちろん褒めますし、できるだけ本人の意思も尊重するようにはしていますが、「言いなりにはならない」ように日頃から心掛けています。
たとえば、ピノ子が「テレビを見たい」といった場合でも、すぐにテレビを見せるのではなく、「先にトイレに行こうか」「先に片づけようか」といったように、私たち親が主導するようにしています。
これによってどういう効果が見込めるのかというと、普段から親の指示を優先させているため、何かを教えるときも吸収が早くなるのです。もちろん個人差はあると思いますが、ピノ子においてはすごく大事なことだと実感しているので、現在も継続しています。
知的障害の子どもの将来
ここまでは、今やるべきアプローチについてご紹介してきましたが、当然、もっと将来のことも考えていく必要があります。
就学や就労、親亡き後の話などは以下の記事で詳しくまとめていますので、気になる方はご覧ください。
なお、今回は、子どもの「強みを見つける」「興味・関心を見定める」といったことに焦点を当てていきます。というのも、これらを私たち親が早期に発見し、伸ばしていくことができれば、それは知的障害の子どもにとっても豊かな人生を送ることにつながる、大切なことだと考えているからです。
ピノ子の場合はこれからになるので、療育先の先輩ママ・パパから聞いた話をご紹介しておきます。
将来のイメージ
たとえば運動が得意な子であれば、山登りや水泳などに打ち込めるようになったという話や、絵が好きであれば展示会に出せるレベルまで絵画に取り組めるようになった話などを聞き、趣味や特技を見つけて伸ばしてあげることは、本当に大切なことなんだなあと実感させられました。
もちろん、これらの話はかなりの成功例と言えるかもしれません。しかし、子どもの得意なことに寄り添えば、成功体験をつくりやすいですし、ひいては自己肯定感を育むことにもつながります。
知的障害を持つ子どもたちの興味や関心に焦点を当てて、適切なサポートをすることで、子どもの可能性を最大限に引き出すことができるのではないでしょうか。
まとめ【今から適切なサポートをして豊かな人生を】
知的障害を持っていても、人生終了ということにはなりません。まずは私たち親が知的障害について正しい知識を身につけて、適切なサポートやアプローチをしていけば、知的障害の子どもでも豊かな人生を送ることができるでしょう。
方法としては、インクルーシブ教育や適切な療育、医療サポートを受けること、そして親が適切なサポートをするということをご紹介しました。加えて、子どもの趣味や特技を見つけて伸ばしていくことも重要な要素です。
繰り返しになりますが、知的障害の子どもが人生を豊かに生きるためには、まずは私たち親の理解とサポートが必要です。子どもが自己実現し、自己成長する機会を提供することで、可能性を最大限に引き出せるように取り組んでいきましょう。
今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。