「感覚統合を発達させる遊びやトレーニング方法、支援の具体例などについて詳しく知りたい」といった方へ。
私たち夫婦は発達障害の娘に感覚統合遊びを取り入れてきましたが、心と体の成長に大きく貢献してくれたと考えています。今回はその実体験をもとに、感覚統合遊びやトレーニング、支援の具体例について紹介します。
- 感覚統合遊びの効果
- 感覚統合を発達させる遊びやトレーニング方法、支援の具体例
- 感覚統合におすすめの療育
この記事を読めば感覚統合遊びについての理解が深まり、子どもへどのように取り入れたらよいのかがわかります。
私の娘の実体験をもとに紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
※本記事にはプロモーションが含まれています。
感覚統合については『子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション』という本を参考にしています。説明もわかりやすく、感覚統合の遊びや支援の具体例についても写真付きで解説されていて読みやすいので、興味のある方はご覧になってください。
目次
感覚統合を発達させる遊びやトレーニングの具体例
まず最初に、おすすめの感覚統合遊びやトレーニング、支援の具体例についてご紹介します。
感覚の調整に関するトラブル
- シーツブランコ
- 泥んこ遊び(砂遊び)
- こちょこちょ遊び
- トランポリン
感覚の識別・フィルターに関するトラブル
- 自分のエリアをわかりやすくする
- 片づける位置をわかりやすくする
感覚に起因する姿勢・運動のトラブル
- 正座・立位
- ボールプール
- ビーズ通し(ひも通し)
これらは自宅や公園など、ご家庭でも行いやすい例ですが、感覚統合に強みを持つ療育(へやすぽアシスト)などを活用するのもおすすめです。
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上記の具体例や療育については後ほど詳しくご紹介しますが、まずは感覚統合について簡単に説明していきます。
感覚統合とは?【感覚統合遊びの効果】
感覚統合とは、様々な感覚器官から入ってくる情報を脳が正しく分類・整理し、適切に反応する能力のことです。五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のほかに、固有受容覚や前庭覚が重要な役割を果たします。
発達に遅れがある子どもや発達障害児はこれらの能力が低下している状態で、特に触覚・固有受容覚・前庭覚にアンバランスが生じると言われています。
よって、こういった子どもたちに対して、遊びを通じて感覚統合機能を向上させるのは有効と考えられています。ちなみに、あまり聞きなじみのない固有受容覚と前庭覚とは、次のような意味です。
固有受容覚
筋肉や関節にある受容器から得られる感覚で、自分の身体の位置や動きを知ることができます。
前庭覚
内耳にある前庭器官から得られる感覚で、自分の身体がどの方向に動いているかを把握したり、重力に対して姿勢を保つことができます。
感覚統合を発達させる3つの感覚とその特徴
触覚・固有受容覚・前庭覚の3つの感覚は「基礎感覚」と呼ばれることもあり、日常生活における様々な活動において重要な役割を担っています。これらにトラブルが起きていると、それぞれ次のような反応が見られます。
触覚のトラブル
触覚には「防衛する役割」と「識別する役割」があります。
前者は、熱い熱湯に触ったときにパッと手を離したりするはたらき。後者は、筆箱とノートが入っているカバンの中からノートだけを手探りで探すといったようなはたらきです。
これらにトラブルが起きると、必要以上に「防衛する役割」を使ってしまうので、たとえば歯磨きや散髪を嫌がったり、泥やのりなどに触ることに抵抗を示すといった反応が見られます。
さらに、本来は触覚(親との触れ合いやスキンシップなど)を通じて情緒を安定させるところを「不快」と処理してしまい、すぐに癇癪を起こしたり泣いたりしてしまうことにもつながってしまいます。
固有受容覚のトラブル
固有受容覚にトラブルが起きると、手足を動かす感覚がわかりにくく、身体各部の位置・動きをとらえることも難しいため、力加減のコントロールが難しく動きも不正確になります。
よって、おもちゃなどを乱雑に扱ったり、友達の髪の毛を引っ張ったりしてしまうような困りごとが出てしまいます。さらに、体操が苦手、ボタンをとめられない、フォークや箸などの食器をうまく使えない、といったケースも多くなります。
前庭覚のトラブル
前庭覚にトラブルが起きると、姿勢保持・覚醒・眼球運動・自律神経などに影響を及ぼします。
- 姿勢保持:重力にあらがえずに、たとえば椅子に座っていてもすぐにグニャっとうなだれてしまいます。
- 覚醒:ゴロゴロしたり、話を聞いてもぼんやりすることが多くなります。
- 眼球運動:物や人の動きを見続けられないので、ボール遊びなどが苦手です。
- 自律神経:頭の位置の変化に過剰に反応したり、激しい揺れでもまったく酔わなかったりします。
これら3つの基礎感覚を発達させるためには、子どもが楽しく自発的に参加できるような遊びやトレーニング、支援を提供することが大切です。具体例については、次から詳しく見ていきましょう。
感覚統合を発達させる遊びやトレーニングの具体例(タイプごとに紹介)
感覚統合を発達させるには、前述の触覚・固有受容覚・前庭覚を刺激したり、身体を動かすのがおすすめです。
たとえば、外遊びでは砂場やブランコ、すべり台などの遊具を使って重力や動きに対応する感覚を鍛えることができます。室内遊びでは、粘土やスライムなどの手触りのあるものや、音楽や絵本などの聴覚や視覚に訴えるものを使って、触覚や聴覚を刺激することができます。
とはいえ、子どもによって困っていることは十人十色です。子どもがどのような特性を持っているかによって、感覚統合を発達させる方法は変わってきます。
冒頭で紹介した『子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション』では、子どもに起こっているトラブルを次の3つのタイプに分類しています。
- 感覚の調整に関するトラブル(感覚過敏、感覚鈍麻など)
- 感覚の識別・フィルターに関するトラブル(違いに気づかない)
- 感覚に起因する姿勢・運動のトラブル(動きが不器用、目で追えないなど)
タイプごとにどのような遊びや支援が必要か、具体例も交えながら詳しく見ていきましょう。
今回は自宅や公園など、ご家庭でも行いやすいものに絞って紹介します。
①感覚の調整に関するトラブル(感覚過敏、感覚鈍麻など)
感覚に対する反応は人それぞれです。
たとえば、大きな音に対して過剰に反応する子ども(感覚過敏)もいれば、まったく気にしない子ども(感覚過敏)もいますので、対応の仕方は当然かわってきます。
感覚過敏の子ども
このタイプの子どもは、とにかく「安心・安全を保障する」ことが大切です。
たとえば、室内では室内遊び用のテントを用意したり、屋外では帽子や耳栓などを使用して感覚刺激を防衛する、といったことが求められます。子どもが安心感を得られたら、次のような遊びに取り組んでみましょう。
【シーツブランコ】
シーツやタオルなどを使って子どもを包んで揺らしたり、ひっぱったりする遊びです。体の感覚やバランス感覚を刺激することで、自分の体の位置や動きに気づかせることや、シーツに包まれることで安心感や心地よさを感じることができます。
遊ぶときは、シーツを揺らす強さや速さなどを調整しながら、声かけや歌などでコミュニケーションをとるのがよいでしょう。ちなみにピノ子もわりと好きです。
【泥んこ遊び(砂遊び)】
公園の砂場などで行います(素手で行うのがおすすめです)。手で砂を掘ったり、砂を型はめに詰めたり、スコップで穴を掘ったりするとよいでしょう。その際はお手拭きなどを準備しておき、汚れるのを嫌がったらすぐに対応できるようにしておきます。
遊びを通じて触覚や固有受容覚の刺激につながります。これは次に紹介する「感覚鈍麻」の子どもにもおすすめです。
感覚鈍麻の子ども
このタイプの子どもは、覚醒が低く集中力が低い傾向があります。ボーっとしていて活動に参加できないことが多いので、適切に感覚刺激や、興味・関心をくすぐることが必要になります。
次のような遊びがおすすめです。
【こちょこちょ遊び】
歌に合わせて子どもの手や足をくすぐったり、なぞったりする遊びです。身体感覚を刺激したり、表情や声の変化に気づくことが期待できます。
遊ぶときは子どもの反応や気分に合わせて、適度にくすぐるようにしましょう。私はくすぐり過ぎてしまいましたので……(笑)
【トランポリン】
トランポリンで跳ねることで体幹やバランス感覚が鍛えられ、脳幹に刺激が与えられます。また、飛んでいるときに色々な物を見ることで、目のトレーニングや集中力向上にもなります。
一人で跳ぶのが難しい場合は親が手を添えて一緒に跳ねたり、一人で跳べる場合でも「ジャンプ!ジャンプ!」などと声をかけてあげることで、楽しく活動できるとよいでしょう。
②感覚の識別・フィルターに関するトラブル(違いに気づかない)
このタイプの子どもは、「似ている形の違いがわからない」「どの音に注意を向けたらよいかわからない」「味の違いがわからない」など、感覚の違いを識別して情報の取捨選択を行うことが苦手な傾向があります。
よって、注目するべき情報とそうでない情報の違いをわかりやすくしてあげる必要があります。具体的には次のような支援がおすすめです。
【自分のエリアをわかりやすくする】
たとえば、食事のときは自分の食べ物だけをランチョンマットの上に置く(他人の食べ物に手を出さない)など、境界線をわかりやすくして自分と他人のエリアを明確化してあげるとよいでしょう。
【片づける位置をわかりやすくする】
たとえば、玄関で靴を脱ぐときは👣マーク(足跡マーク)を置いておいて正しく脱がせる(玄関では靴を脱ぐ、その際は靴をそろえて脱ぐ)など、視覚的に位置を明確化するとよいでしょう。
③感覚に起因する姿勢・運動のトラブル(動きが不器用、目で追えないなど)
このタイプの子どもは、前庭覚や固有受容覚の情報が脳に届きにくくいので、姿勢が崩れやすく、座位や立位などの姿勢を保ちにくいといった特徴があります。また、手先が不器用だったり、眼球運動が苦手な傾向も。
こういった子どもたちには、次のような方法がおすすめです。
【正座・立位】
いきなり長い時間正座や立位を行うのは難しいと思いますので、まずは10秒でも20秒でもやってみることが大切です。
その際、正座であれば座布団の上だったり、立位であれば少しだけ高さのある台の上でやってみると効果的です。ピノ子も同じ方法で、ある程度の時間できるようになりました。
【ボールプール】
ボールプールに入ってボールが動くことで、触覚や固有受容覚が変化します。
ボールプールに入っている自分の身体がどのようになっているのかを把握することで、ボディイメージの発達につながります。
【ビーズ通し(ひも通し)】
数十個のビーズと何本かのひもを用意し、ビーズをひもに通して遊びます。
当然、指先を器用に使う必要がありますし、目線を常にひもに集中しなければなりません。目と手の協調動作の発達につながります。
以上、3つのタイプについてご紹介しましたが、『子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション』の中ではさらに多くの遊びが紹介されています。細かいタイプ分けもされていますので、「もっと詳しく知りたい」という方はぜひご覧になってください。
なお、こちらで紹介したトランポリンやひも通しなどのおもちゃについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
感覚統合を発達させる遊びやトレーニング、支援のポイントと注意点
上述のようにして感覚統合が発達すれば、以下のような成長が期待できます。
- 自己認識や社会性が育まれて「他者とのコミュニケーションが円滑になる」
- 身体のバランスや協調性が向上して「字を書くような細かい動作がスムーズになる」
- 空間認識や注意力が高まることで「落ち着いて物事に取り組むことができる」
とはいえ、もちろん一朝一夕にいくものではなく、失敗も繰り返しながら取り組んでいくこととなります。もちろん、ピノ子も同じです。。
以下、感覚統合を発達させる遊びやトレーニング、支援のポイントと注意点をまとめました。こちらは全般に言えることですので、参考にしてみてください。
ポイント
- 子どもの興味や好みに合わせて遊びを選ぶ
- 子どものペースに合わせて遊びを進める
- 子どもの自主性や創造性を尊重する
- 子どもの感情や反応に寄り添う
- 子どもの成功体験や自信を育てる
注意点
- 子どもに無理をさせない
- 子どもに過度な刺激を与えない
- 子どもの疲れや飽きを見逃さない
- 子どもの個性や発達段階に応じた遊びを提供する
当たり前のことと言えば当たり前のことなのですが、子どもの反応が悪かったり上手にできなかったりすると、(私もそうですが)やはり焦ってしまうと思います。
一番大事なのは、子どもに興味・関心をもって取り組んでもらうことですので、無理のないペースで取り組むのがよいでしょう。
感覚統合の発達におすすめの療育
感覚統合を発達させるために、ここまでは家庭でもできる方法を中心にご紹介してきましたが、もちろん療育を活用するのも効果的です。
おすすめは、ピノ子も体験したへやすぽアシスト。累計2万人以上のサポート実績があり、各種メディアやSNS等で話題のオンライン療育です。
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以下の記事で、ピノ子が体験した様子やへやすぽアシストの詳細をご覧いただけます。
まとめ【タイプに合わせて最適な感覚統合遊びを】
以上、『子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション』という本を参考に、感覚統合を発達させる遊びやトレーニング、支援の具体例についてまとめました。
まずはお子さんがどういったトラブルを抱えているか(どのタイプに該当するか)を判断したうえで、適切な感覚統合の遊びや支援に取り組んでみてください。
正直、ピノ子もこれらすべての取り組みを毎日行っているわけではありませんが、やればやるほど少しずつできるようになってきたのは事実です。感覚統合を発達させて、少しでもお子さんの成長をサポートしてもらえると嬉しいです。
今回は家庭での取り組み方を中心にご紹介しましたが、へやすぽアシスト(詳細はこちらの記事で)のように感覚統合にも力を入れている療育を活用するのも有効です。ぜひ、この機会に検討してみてください。
今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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*今回紹介した本⇒『子ども理解からはじめる感覚統合遊び 保育者と作業療法士のコラボレーション』