
「軽度知的障害があると、やっぱり勉強できないのかな……」
「この子の将来のために、親としてできることは何だろう?」
そんなお悩みを持つ親御さんへ。
私の娘は“重度”の知的障害を伴う自閉症ですが、日々の療育と学習方法の工夫で、彼女なりのペースで確かな成長を見せてくれています。
この記事では、7年以上の教材編集経験と、娘との療育で得た知見をもとに、ご家庭でできる具体的な勉強法をご紹介します。
- 軽度知的障害の子が勉強につまずく本当の理由
- 親が今日から実践できる7つの具体的な学習サポート法
- サポートを続けるための親自身の心の保ち方と、将来を見据えた考え方
軽度知的障害のお子さんが「勉強できない」と諦める前に、ぜひこの記事を読んでみてください。
「できた!」を引き出すヒントが、きっと見つかります!

※本記事にはプロモーションが含まれています。
知的障害や発達障害を持つ子におすすめの教材は、以下の記事で詳しく紹介しています。
目次
軽度知的障害は勉強できない?【今の努力は、必ず子どもの「生きる力」になる】

まず、最も大切なことをお伝えします。
「軽度知的障害=勉強ができない」は、誤解です*。
確かに、定型発達のお子さんと同じ方法、同じペースで進めるのは難しいかもしれません。
しかし、お子さんの特性に合わせたやり方でサポートすれば、学ぶ力は着実に育っていきます。
そして、その学びの一つひとつが、点数を取ること以上に、
お子さんの「将来の自立につながる、生きる力」そのものを育むのだと、
私は重度の障害を持つ娘との日々の中で確信しています。

この記事では、具体的な学習法の解説に加え、その努力を将来へどうつなげていくか、という視点もあわせてお伝えしていきます。
なぜ? 軽度知的障害の子どもが勉強につまずく「3つの理由」

効果的なサポートのためには、まず、
「なぜ、うちの子は勉強でつまずくのだろう?」
という根本原因を知ることが近道です。
これは本人のやる気の問題ではなく、脳の特性によるものです。
近年の神経心理学研究でも示されている主な理由を3つご紹介します。
理由①:抽象的な言葉の理解に時間がかかる
軽度知的障害の子どもは、「ちゃんと」「少しだけ」「後で」といった、
目に見えない曖昧な言葉や概念を理解するのが苦手な傾向があります。
学校の授業ではこうした言葉が多用されるため、先生の指示が理解できず、行動に移せないことがあります。
理由②:一度に複数の情報を処理するのが苦手(ワーキングメモリ)
軽度知的障害の子どもは、「教科書の〇ページを開いて、問3の問題をノートに解いてね」のように、
複数の指示を同時に記憶して実行する力(ワーキングメモリ)に課題がある場合があります。
一つ目の指示に集中している間に次を忘れてしまうため、
周りからは「聞いていない」「やる気がない」と誤解されてしまうこともあります。
理由③:認知・判断のスピードがゆっくり
軽度知的障害の子どもには、
物事を理解し、「どうしよう」と判断するまでの情報処理に時間がかかる特性があります。
そのため、授業の速いペースについていけなかったり、テストで時間内に解答できなかったりします。
《参考文献》
*“Deficits of duration estimation and working-memory updating in individuals with idiopathic mild intellectual disability” (2023)
*“Neurocognitive functioning of children with mild to borderline intellectual disability and psychiatric disorders” (2021)
軽度知的障害の子でも、今日からできる! 7つの学習サポート法

「つまずきの理由」がわかれば、あとはそれを補う工夫をするだけです。
ここでは、私の教材編集者としての知見と、重度知的障害である娘との療育経験から、
「これは効果がある」と実感している7つの方法をご紹介します。
1. スモールステップ化|課題は「3分で終わる量」から
「ドリル1ページ」では、ゴールが遠すぎてやる気が起きません。
「漢字を1文字だけ書く」「計算問題を1問だけ解く」など、
お子さんが確実に「できた!」と感じられるレベルまで課題を分解します。
この小さな成功体験の積み重ねが、勉強への抵抗感をなくす何よりの薬です。
2. 視覚支援ツールの併用|「見てわかる」は最強の武器
言葉での指示が通りにくい子には、絵や図、写真を使った「見てわかる」サポートが絶大な効果を発揮します。
「今日のやること」をイラストでリスト化したり、
時計のイラストで「長い針が6になったら終わり」と示したりするだけで、
驚くほどスムーズに行動できることがあります。
3. マルチセンサリー学習|五感をフル活用して記憶に刻む
「見る」「聞く」「触る」など、複数の感覚を同時に刺激することで、記憶は格段に定着しやすくなります。
たとえば、算数の「繰り上がり」を学ぶ場合。
口で「10になったら……」と唱えながら、おはじきを実際に動かして隣の位に移動させる。
こうした一手間が、理解を助けます。
4. タイムタイマーで時間を可視化|「終わり」を見せて安心させる
「あとどれくらい?」という不安は、集中力の大敵です。
残り時間が色で減っていくタイマーは、「終わり」が視覚的にわかりやすい。
見通しが立ち、安心して課題に取り組むことができます。
5. ごほうびメニューの行動強化|「頑張る理由」をデザインする
勉強の後に楽しい予定を用意するのは、立派な行動強化(「正の強化」)です。
「これが終わったら、好きなYouTubeを10分見よう」など、
具体的で魅力的なごほうびを用意して、学習意欲を引き出しましょう。
6. 習熟チェックリストの導入|「成長の足跡」を見える化する
「できたこと」は、忘れずに記録しましょう。
「ひらがな50音」や「九九」の表を用意し、クリアできたらシールを貼ったり、花丸をつけたりします。
自分の成長が一目でわかることは、次へのモチベーションにつながります。
7. ICT教材(タブレット学習など)の活用|「好き」を学びに変える
ゲームや動画が好きなお子さんなら、その興味を学びに直結させましょう。
タブレット教材は、正解すると音が鳴ったり、キャラクターが褒めてくれたりと、
子どもを飽きさせない工夫が満載です。
紙のドリルでは見向きもしなかった子が、夢中で取り組むことも珍しくありません。
《参考文献》
*国立特別支援教育総合研究所(NISE)『知的障害教育における授業づくりと学習評価に関する研究』(R5報告) PDF
*山梨大学研究紀要「ASD児への視覚刺激を活用した支援の利点と教材作成上の留意点」(2023) PDF
*Scoping review “Clinical Utility of Multisensory Environments for People with Intellectual & Developmental Disabilities” (2020)
*“Using a Time Timer to increase appropriate waiting behavior in a child with developmental disabilities” (Res Dev Disabil, 2009)
*日本発達障害学会誌「発達障害の適応行動を支える強化随伴性の理解と支援」(2021)PDF
*論文「重度知的障害児教育におけるタブレット端末利用の効果と課題」(日本特別ニーズ教育学会誌, 2022)
軽度知的障害の子におすすめの教材【無料お試し可】

家庭でのサポートをより効果的にするために、子どもの特性に合わせて作られた教材の力を借りるのも賢い選択です。
ここでは、私が教材編集者としての視点からも「よくできている」と感じるものを、厳選してご紹介します。
最もおすすめ すらら|発達障害の子の「わかる!」にとことん寄り添う

発達障害や学習障害のある子のために開発された、無学年式のタブレット教材です。
つまずきの根本原因をAIが自動で診断し、お子さんが本当に理解できる単元までさかのぼってくれるのが最大の特徴。
キャラクターとの対話形式で、飽きずに続けやすい工夫も満載です。
すららの口コミ
\89.1%の子が学習継続! まずは無料体験から/
【スモールステップの徹底】四谷学院 療育55段階プログラム

「わかるまで絶対に先に進まない」という徹底したスモールステップで、お子さんの自己肯定感を育むことに特化した教材です。
自閉症教育で有名な武蔵野東学園が監修しており、教材の信頼性は折り紙付き。
一つひとつ着実に「できた!」を積み重ねたいお子さんに最適です。
四谷学院の口コミ
\【資料請求はこちら】今なら無料の判定テスト付き/
【シンプル・低価格】全家研ポピー
余計な付録がなく、シンプルでわかりやすい構成の紙教材です。
教科書に沿った内容で、学校の予習・復習にぴったり。
何より他社と比べて価格が手頃なのが大きな魅力。
まずは家庭学習を習慣づけたい、という場合に最適です。
*全家研ポピー>>公式サイトはこちら
軽度知的障害の子へサポートを続けるためのコツ:親の心の保ち方

先ほど、7つのサポート方法やおすすめの教材をご紹介しましたが、
「毎日続けるのは正直しんどい……」と感じるのが親の本音だと思います。
「わかっているけど、イライラしてしまう」
「他のきょうだいの世話もあって、付きっきりにはなれない」
その気持ち、痛いほどわかります。
大切なのは、親が100%頑張り続けないことです。
そのために、「環境」と「日々の療育」で、親の負担を軽くする仕組みを作りましょう。
- 環境を整える:
勉強するときはテレビを消し、机の上には関係ないものを置かない。
短時間でも集中できる「学習スペース」を確保するだけで、親が「集中しなさい!」と叱る回数は減ります。 - 日々の療育が土台になる:
特別な勉強時間だけでなく、お風呂で数を数えたり、食事の準備を手伝ってもらったりといった日常の中での療育的な関わりが、いざという時の集中力や話を聞く力を育てます。
「勉強」と構えず、日々の生活の中で学びの土台を作っておくことが、結果的に親の心の余裕につながるのです。
《参考文献》
*児童発達支援ガイドライン(2017 年版)
軽度知的障害の子の中学進学と、その後の進路を見据えて

小学生の学習支援と同時に、少しずつ考えておきたいのが中学校への進学と、その先の進路です。
今の学びは、すべてこの未来の選択につながっていきます。
知的障害のあるお子さんの進路は、主に以下が考えられます。
- 地域の公立中学校の特別支援学級
- 特別支援学校の中学部
- 私立中学校(受け入れ態勢は学校による)
大切なのは、偏差値や世間体ではなく、「お子さんが3年間、安心して自分らしく成長できる場所はどこか」という視点です。
今のうちから学校見学に行ったり、地域の相談会に参加したりして、情報を集め始めましょう。

お子さんの学習の様子を記録しておくことは、進路相談の際に「うちの子はこういう支援があれば、これだけ頑張れます」という客観的な資料になり、より良い進路選択につながります。
将来を見据えて、今からできる対策については、以下の記事で詳しく紹介しています。
よくある質問(FAQ)

ここでは、軽度知的障害の子どもを育てる親御さんが疑問を持ちやすいことをまとめました。
Q
IQが低いと、将来、就職して自立するのは無理なのでしょうか?
A
いいえ、そんなことはありません。
一般企業でも障害者雇用枠があり、多くの人が働いています。
また、就労継続支援A型・B型事業所など、個々の能力や特性に合わせて働ける福祉サービスも充実しています。
学齢期に「小さな課題を乗り越える経験」や「人とのコミュニケーション」を学ぶことこそが、将来の就労と自立の土台となります。
Q
特別支援学級と通常学級(普通級)、どちらを選ぶべきですか?
A
お子さんの特性と、親御さんの方針によって最適な選択は異なります。
特別支援学級は、手厚い支援で学習面の遅れをカバーしやすいメリットがあります。
一方、通常学級は、多様な子どもたちとの関わりの中で社会性を育む機会が豊富です。
どちらにもメリット・デメリットがありますので、学校の先生や支援機関とよく相談し、お子さんにとってより良い環境を選択することが重要です。
《参考文献》
*厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」
*厚労省「就労継続支援(A型・B型)における留意事項」(2025年4月改訂)PDF
まとめ:焦らず「1%の成長」を積み重ね、未来へつなげよう
この記事で一貫してお伝えしてきたのは、
「軽度知的障害=勉強できない」は誤解であり、今の努力は必ず子どもの「生きる力」になるということです。
つまずきの原因は、やる気ではなく、脳の特性にあります。
だからこそ、
- 課題を極限まで小さく分ける
- 「見てわかる」工夫をする
- 親が頑張りすぎない仕組みを作る
といった、特性に寄り添うサポートが何よりも大切です。
日々のサポートは、本当に根気がいります。
思うようにいかず、途方に暮れる日もあるかもしれません。
でも、どうか思い出してください。
昨日できなかった計算が今日できたら、
それは100点満点と同じくらい価値のある、輝かしい「1%の成長」です。
その小さな成長の先に、お子さんが自分らしく、たくましく生きていく未来がつながっています。
この記事が、その未来を信じるための、一つの道しるべになれば幸いです。
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