発達障害児に YouTube ばかり見せたらダメ?【対策を紹介】

発達障害の子どもに YouTube ばかり見せたらダメ?【具体的な対策を紹介】
ケンサク

ケンサク

はじめまして、ケンサクといいます。
知的障害を伴う自閉症の娘(ピノ子)への療育に奮闘中の父親です。

ー主な経験ー
■療育
◎前職で児童発達支援事業立ち上げに携わる
◎約10の療育(児童発達支援事業所)を体験
■出生前診断・臍帯血(※妻)
◎3人目の妊娠にて新型出生前診断(NIPT)
◎2人目・3人目の出産にて臍帯血を保管
■教材
◎学校教材の編集・制作経験(約7年)
◎発達障害児に役立つ教材の分析

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「発達障害の子どもが YouTube ばかり見て困っている……」という親御さんへ。
YouTube の見せすぎはあまりよいとは言えませんが、メリットも少なからずあります。私は発達障害の娘を持つ親として、療育などから得たアドバイスを参考に、YouTube を適度に活用しながら娘と接してきました。
今回はその具体的な方法を紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 発達障害児に YouTube を見せるメリット・デメリット
  • 発達障害児に YouTube を見せすぎない方法

この記事を読めば、発達障害のお子さんへの効果的な YouTube の活用方法がわかります。
発達障害の娘に実践して効果のあった方法を中心に紹介していますので、ぜひ参考にしてください!

発達障害児に YouTube ばかり見せたらダメ?【メリットもある】

発達障害の子どもに YouTube ばかり見せたらダメ?【メリットもある】

冒頭でも触れましたが、YouTube の見せすぎはやはりよくありません……(苦笑)これは発達障害の子どもに限らずの話ではありますが。。細かな理由については「YouTube のデメリット」の部分で後ほど解説しますが、視聴時間をうまく制限したうえで活用すれば、メリットも生まれます。

好奇心や学びの機会が広がる

おそらく、お子さんがご覧になっている YouTube は一定のジャンルに偏る傾向があるのではないでしょうか。動物や乗り物、特定のキャラクター、あるいは動きに特徴があるもの……などなど、子どもの特性によって様々でしょう。

YouTube を活用することで子どもの興味があることや知りたいことを探求し、知識や経験を広げることができます。また、動画は音や映像で情報を伝えるので、文字や言葉に苦手意識がある子どもでも理解しやすいのも特徴です。

学習や発達に役立つコンテンツが豊富

YouTube には、子どもの学習や発達に役立つコンテンツもたくさんあります。たとえば、人間関係やマナー、感情認識やコミュニケーションなどを教える動画です。発達障害の子どもにとって難しいことが多い社会性や感情表現などについても、YouTube で学ぶことができます。

ストレスや不安を軽減

YouTube には楽しい動画や癒し系の動画もたくさんあります。発達障害の子どもは日常生活でストレスや不安を感じることが多いので、YouTube を見て笑ったりリラックスしたりすることで気分転換ができます。また、自分の好きな動画を見ることで自己肯定感の向上も期待できます。

家事をしているときとか疲れているときとか、ついつい YouTube ばかり見せてしまいますよね……でも、このようにうまく活用すればメリットもあります!

発達障害児に YouTube ばかり見せるデメリット

発達障害の子どもに YouTube ばかり見せるデメリット

テレビの見せすぎにも共通しますが、発達障害の子どもに YouTube ばかり見せることは単純に視力の低下や運動不足、睡眠不足につながるのはもちろん、以下のようなデメリットも考えられます。

注意力や集中力が低下する

発達障害の子どもは自己制御や判断力に課題を持つことが多いので、「YouTube を見始めると止まらない」「他のことに集中できない」といった悩みをかかえる親御さんは多いと思います。(私の娘のピノ子もそうでした。。)

一度見始めた後に視聴をやめさせようとすると癇癪を起こしてしまう……ということも少なくないでしょう。

現実との乖離や孤立化が進む

YouTube は子どもにとって魅力的なコンテンツですが、見せすぎることで現実の人間関係や社会生活に適応できずに、YouTube に逃げ込んだり依存したりする可能性が出てきてしまいます。極端に言えば、将来的に自分の能力や可能性を伸ばす機会を失うことにつながる危険性があります。

発達障害児に YouTube を見せる際の注意点や対策

発達障害の子どもに YouTube を見せる際の注意点や対策

上述のように、発達障害の子どもに YouTube を見せることにはメリットとデメリットがあります。 では、どうすればメリットを最大限に活かしながら、デメリットを最小限に抑えることができるでしょうか。

以下、発達障害児の娘を育てる私の経験と、療育先からいただいたアドバイスをもとに注意点や対策をいくつかご紹介します。

視聴時間を制限する【視聴後の切り替え手段を考えておく】

やはり前提として、視聴時間をある程度制限することが必要です。「それができれば苦労はない」というご指摘をいただきそうですが……少しずつでいいのです。

たとえば、今は3時間見ているなら2時間30分、2時間見ているなら1時間45分、といった具合です(言葉の理解があるお子さんは、あらかじめ時間を設定しておくのももちろん有効です)。

ピノ子の場合も最初は2時間くらい続けて見ていたのですが、「このままではマズい」と考えた私たち親は対策を練ることに。具体的には、いつもより30分程度視聴時間を削るところからスタートしました。

ピノ子の場合はアンパンマンやしまじろうなどのアニメを見るのが好きなので、およそ1ストーリー分を減らすイメージです。

やはり視聴後はいつもより物足りなさを感じてしまい、癇癪を起こすことがほとんどでした。とはいえそれは事前にわかっていることなので、その後の切り替え手段として気に入っているおもちゃを出す、外に散歩しに出かける、おやつでごまかす……などなど、あらゆる対策を講じました。

なお、おもちゃの活用については、こちらの記事が参考になるかと思いますので、よかったらご覧ください。

もちろん、それが最初からうまくいったわけではありませんが、そのことで少しでも癇癪を起こしている時間を減らすことができました。そして、徐々にピノ子の受け入れ態勢も構築されていき、今では1日30分程度で済むようになりました。

子どもと一緒に見る【無理のない範囲で関わる時間を増やす】

要するに「子どもの興味に共感する」ということになります。

ピノ子はまだまだ言葉の意味を満足に理解できませんが、見ているアニメのストーリーなどに親が関心を示すことで、「一緒に楽しんでくれてるんだ」という印象は与えられていたかと思います。そうすることで、1人で見ているときよりも満足感が高くなることが期待できるでしょう。

もし言葉の理解が進んでいるお子さんの場合は、どんな動画に興味を持っているか、動画に対してどんな感想や意見を持っているかを聞いてみるといいと思います。感想や意見を交換したりすることでコミュニケーションのきっかけになるでしょう。

とはいえ日々忙しい中、常に一緒に見るというのがなかなか難しいのも承知していますので……少しの時間、5分でも10分でも、一緒に見てあげる習慣をつくるとよいと思います。

YouTube 以外の遊びも楽しむ【こだわりを防止】

そもそも論ですが、YouTube ばかりにならないために興味のある遊びのレパートリーを増やしておくのも重要です。

先に述べましたが、日ごろからお気に入りのおもちゃを使わせるようにしたり、定期的に買い物や散歩へ連れ出してみたり……子どもの特性に合わせて色々な手段が考えられます。こちらの記事で紹介している感覚統合遊びなども面白いものが多いので、よかったら参考にしてください。

当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、こういった遊びを全部やろうとするとかなりの労力を消費しますので……まずはどれか1つからでも、少しずつ取り組んでいくのがよいと思います。

また、ある程度発達が進んでいるお子さんは、教材に取り組んでもらうのもおすすめです。詳しくは以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

まとめ

発達障害の子どもに YouTube を見せるのは、「好奇心や学びの機会が広がる」「ストレスや不安が軽減される」といったメリットがあり、「注意力や集中力が低下する」「現実との乖離や孤立化が進む」といったデメリットがあります。

これらのメリットとデメリットをバランスよく考えながら、視聴時間を少しずつ制限したり、親子で一緒に見たり、YouTube ばかりではなくそれ以外の遊びも楽しんだりすることで、YouTube をより良く活用することができます。

当たり前のこと(だけど難しいこと……)ですが、私たち親が子どもの YouTube 利用を適切に管理・サポートすることが大切です。できるところから少しずつでもいいので取り組んでいけば、時間はかかりながらもよい方向に向かっていくのではないかと思います。

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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