高齢出産でダウン症児を産んだら後悔する?【対策と事例を紹介】

高齢出産でダウン症児を産んだら後悔する?【対策と事例を紹介】
ケンサク

ケンサク

はじめまして、ケンサクといいます。
知的障害を伴う自閉症の娘(ピノ子)への療育に奮闘中の父親です。

ー主な経験ー
■療育
◎前職で児童発達支援事業立ち上げに携わる
◎約10の療育(児童発達支援事業所)を体験
■出生前診断・臍帯血(※妻)
◎3人目の妊娠にて新型出生前診断(NIPT)
◎2人目・3人目の出産にて臍帯血を保管
■教材
◎学校教材の編集・制作経験(約7年)
◎発達障害児に役立つ教材の分析

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「高齢出産になるし、もしダウン症の子どもを産んだらどうしよう……後悔するかな……」という方へ。
ダウン症などの染色体異常の確率は35歳を過ぎると顕著に増加するため、多くの方が出生前診断などの対策を検討します。
とはいえ、ダウン症を後ろ向きに捉えるかどうかは、親御さん次第。このブログ記事では参考になるダウン症の事例なども紹介しながら、健常児を産むための対策、ダウン症児を育てるイメージなどを紹介します。

この記事を読んでわかること
  • ダウン症に対する考え方(事例あり)
  • 健常児を産むための対策
  • ダウン症児を育てるイメージ(サポート方法)

この記事では、ダウン症のお子さんを育てる親御さんの実体験などをはじめ、健常児を産むための対策、ダウン症児を育てるイメージなどを紹介します。
障害児を育てる私たち夫婦の実体験もまじえていますので、ぜひ参考にしてください!

高齢出産でダウン症児を産んだら後悔する?

高齢出産でダウン症児を産んだら後悔する?

高齢出産でダウン症児を産んだら後悔するかどうかは、生まれてきたお子さんのダウン症の症状や親御さんの考えにもよるので、一概には言えないでしょう。

ダウン症のお子さんでも、親御さんが愛情深く育てて健やかに成長しているケースもあれば、合併症が多くて苦労したり、周囲からの心無い対応で大変な思いをされているケースもあります。

後悔しないための対策としては、次のような方法がおすすめです。私たち夫婦も高齢出産のときに取り組みました。

高齢出産で取り組んだこと(取り組んでおきたいこと)

詳細は後半で説明しますが、まずはダウン症とは何か、そしてダウン症のお子さんを持つ方の実際の声などを紹介していきます。

ダウン症とは?

そもそもダウン症とは、先天的な遺伝子疾患で、染色体異常によって引き起こされます。具体的には、21番目の染色体が通常2本のところ、3本存在することによって発症。トリソミー21とも呼ばれます。

ダウン症のタイプ

ダウン症は、主に3つのタイプに分類されます。

  • 標準型
    ほとんどのダウン症がこのタイプで、21番目の染色体がすべての細胞で3本あります。
  • 転座型
    21番目の染色体の一部が他の染色体に付着している状態で、21番目の染色体の遺伝情報が過剰になります。
  • モザイク型
    一部の細胞にだけ21番目の染色体が3本ある場合です。このタイプは「標準型」「転座型」よりも症状が軽い傾向があります。
ダウン症のタイプ

ダウン症の特徴

【主な身体的特徴】

  • 小さな頭部
  • 平坦な顔立ち
  • 斜め上に上がった目
  • 小さな耳と口
  • 手足の小ささ

【主な発達の特徴】

  • 知的障害:
    個人差があるものの、多くの場合は軽度から中等度の知的障害が見られます。
  • 発達の遅れ:
    歩行や言語の発達が遅れることがあります。
  • 平均寿命:
    最近では60歳前後と言われています。

合併症の懸念

ダウン症の場合、以下のような合併症のリスクが高くなります。

  • 心臓病
  • 呼吸器問題や感染症
  • 消化器系の異常
  • 視覚や聴覚に問題
  • 甲状腺機能低下症

ダウン症児の育児経験【ポジティブな例】

ダウン症のお子さんを持ちながら前向きに生きている親御さん、そしてお子さん自身も明るく生きているというケースはたくさんあります。

著名人の例を出すと、元陸上日本代表の松野明美さん。松野さんは35歳の高齢出産で二番目のお子さんを出産され、ダウン症と診断されました。

出産後、心臓に重大な欠陥が見つかり、ダウン症についても後ほど知らされたとのこと。当時はもちろん相当に辛い思いをされたそうですが、様々な葛藤も経て、今では「心から産んでよかった」と思えるようになったそうです。

競争で勝つことしか頭になかった私に健太郎は、
「自分のペースで走ることが一番大切」
であることを教えてくれたのです。

彼の存在がなければ、
私は人間として本当に大切なものに
気づかないで過ごしてしまったはずです。

ありがとう、健太郎。

私を選んで生まれてきてくれて、本当にありがとう。

https://www.matsunoakemi.net/

兄弟姉妹がダウン症の場合【ネガティブな例】

一方で、ダウン症のお子さんがいることで大変な苦労をしているというケースもあります。

上述したように、ダウン症には様々な合併症のリスクを伴います。先に述べた松野さんの例でも、やはり合併症には大変苦労され、辛い思いもされていたようです。

そして、それ以外に多いのが、きょうだい児で苦労を強いられるという場合。実際に、以下のようなWeb上・SNSの声があります。

僕にはダウン症の弟がいます
小学生の時からそれのせいでいじめられるようになりました。菌扱いされたり、教科書やノートに死ねって書かれたり、いろんなもの捨てられたりです。
親に相談したかったけど、母親は弟のことで手一杯で、僕がなんかやらかすと、お願いだからあんたまでお母さんを困らせないでって言われてたので、相談しようにもできませんでした。とにかく地獄で何度も死のうかと思ったくらいです
今は高校生なのですが、その出来事のせいで弟がいると言うことを誰にも言えません
話しの流れで兄弟いるかって会話になることあると思うんですけど、毎回兄弟はいない、一人っ子だと言っています。
半年付き合ってる彼女にさえも言ってません。最近家行きたいって言われてるのですが弟がいる以上無理です
弟が悪いわけじゃないってわかってるけど、弟が原因でいじめられて、弟中心の生活で親からも構ってもらえなくて、今もこうやって悩まなきゃいけないしとにかく憎いんです。いなくなってほしいって思っちゃうんです。
どうしたらいいんでしょうか

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13278725513

親御さんやダウン症である本人ではなく、このようにきょうだい児として辛い思いをされているというケースもあります。ダウン症のお子さんを育てるということは、こういったリスクも考える必要があります。

年齢別のダウン症発症率

以下の表は、年齢別のダウン症の発症率です。ダウン症児が生まれる確率は年齢と共に増加し、特に35歳を過ぎるとリスクが高まります。

高齢出産を考える際には、このリスクも考慮しておく必要があります。

年齢発症率
20歳1/1667
30歳1/952
35歳1/385
40歳1/106
45歳1/30

出典:厚生労働省「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書 参考資料より

高齢出産で後悔しないための対策は?

高齢出産で後悔しないための対策は?

繰り返しになりますが、ダウン症の子どもを産んで後悔するかしないかというのは、やはり一概には言えません。ただし、「できれば健常児が欲しい」と考える親御さんのほうが多いのではないでしょうか(決してダウン症の方を否定するわけではありません)。

「健常児を産む」という観点で言えば、できることはあります。私の長女はダウン症ではありませんが、重度知的障害を伴う自閉症児です。そういった背景もあり、二女・三女の妊活・出産時には「できれば健常児が欲しい」と思い、夫婦で以下のようなことに取り組みました。

高齢出産で取り組んだこと(取り組んでおきたいこと)

新型出生前診断NIPT)を受ける

NIPTは、ダウン症などの染色体異常(疾患)がないかどうか、事前に把握できる検査です。高齢出産で後悔しないための対策として、まず最初に考えられるものです。

私の妻も三女の出産時が高齢出産だったこともあり、NIPTを受けました。

ちなみに、私たち夫婦が受けたのは平石クリニック。提携クリニックが多く、検査結果が陽性だった場合に受ける羊水検査は全額負担してもらえます。有名で実績があり、安心感があるのもポイントでした。

NIPTについては、後ほど詳しく紹介します。

葉酸サプリを活用する

定番ですが、葉酸サプリもおすすめです。「葉酸をたくさんとれば確実に健常児を産める」というわけではありませんが、葉酸サプリなどで葉酸を積極的に摂取することで、自閉症やダウン症のリスクを低減できるという研究報告もあります。

以下の記事で詳しく紹介中です。

健康的な生活を送る

これも、「健康的な生活を送れば健常児を産める」というわけではありませんが、母体と赤ちゃんの健康にとって重要なことに変わりありません。

上述した葉酸をはじめ、ビタミン、ミネラルなど、栄誉豊富でバランスの取れた食事をする。定期的に運動する。睡眠をしっかりとって規則正しい生活を送り、ストレスを減らす。

当たり前のことですが、しっかりやろうと思うと意外と難しいものです。。完璧にとは言いませんが、可能な範囲で実践していきましょう。

臍帯血を保管する

臍帯血はへその緒や胎盤の中を流れる血液で、赤ちゃん本人や家族が重い疾患にかかったとき、この臍帯血を移植することで治療できる可能性が高まるというものです。出産時のみ採取することができます

ダウン症の対策ではありませんが、自閉症や脳性麻痺など、現在治療法のない病気に備えることができる大変貴重なものです。出産後、赤ちゃんに万が一重い疾患があったときの対策として、大きな価値があります。

私たち夫婦は二女と三女の出産時に、この臍帯血をステムセル研究所で保管しました。

臍帯血については、以下の記事で詳しく紹介しています。

まずは新型出生前診断(NIPT)の検討を

まずは新型出生前診断(NIPT)の検討を「まずは新型出生前診断(NIPT)の検討を」

上述したように、新型出生前診断(NIPT)は高齢出産で不安を感じている場合に、まず検討すべき選択肢です。

母体の血を採取して赤ちゃんの染色体異常を検査するNIPTは、ダウン症などの染色体異常の早期発見に役立ち、妊娠中の不安を軽減できます。

以下、もう少し詳しくご紹介していきます。

新型出生前診断(NIPT)のメリットとデメリット

NIPTの主なメリットとデメリットは次のとおりです。

メリット

  • 母体に対するリスクが少ない
  • 検査精度が高い(99%以上)
  • 早期(妊娠10週目以降)に実施可能

デメリット

  • 費用が高め
  • 確定診断ではなく、陽性の場合は追加の検査が必要
  • 健康保険や医療費控除が適用されない

おすすめのNIPT

高齢出産でダウン症児を産んだら後悔する?「平石クリニック」
(出所:NIPT 平石クリニック公式HP)

私たち夫婦が受けたNIPTは、こちらの平石クリニック顧客満足度は5年連続95%以上を誇ります。

全国に提携クリニックがあるので、自宅の近くで受けられるのも強み。また、検査結果が陽性だった際の羊水検査も全額負担してもらえます。

全国に提携クリニックあり・羊水検査は全額負担

平石クリニックを含めたNIPTについては、以下の記事でさらに詳しくまとめています。

>>NIPT(新型出生前診断)のおすすめ7選!|認可外や東京の施設も

羊水検査とは?

羊水検査は、妊娠15~18週頃に実施できる、羊水を採取して染色体異常を調べる方法です。確定診断としての役割を果たし、NIPTよりも正確な結果を得ることができます。

ただし、流産のリスクが約0.1~0.3%あるとされ、母体や赤ちゃんの影響も僅かながらあります。こういったリスクについて十分納得したうえで、検査を受けることが大切です。

出生前診断の種類と精度

出生前診断には、ご紹介したNIPTや羊水検査を含め、いくつかの種類があります。

なお、出生前診断は、診断が確定できない「非確定的検査」と、検査の結果に基づいて診断が確定できる「確定的検査」に分けられます。以下、特徴をまとめました。

非確定的検査特徴精度費用(目安)時期(目安)
超音波検査 妊娠初期から行える。胎児の形態異常や成長を確認する。70〜80%程度5,000〜10,000円妊娠初期から分娩まで
母体血清マーカー検査母体の血液を検査し、特定の染色体異常のリスクを評価。80%程度20,000〜30,000円妊娠15〜20週
NIPT母体の血液から胎児のDNAを検出し、染色体異常のリスクを評価。99%以上150,000〜200,000円妊娠10週以降
確定的検査   特徴精度費用(目安)時期(目安)   
羊水検査羊水を採取し、染色体異常や遺伝子疾患を確認。僅かに流産のリスクもあり。99%以上100,000〜150,000円妊娠15〜18週
絨毛検査  胎盤の絨毛を採取し、染色体異常や遺伝子疾患を確認。僅かに流産のリスクもあり。98〜99%150,000〜200,000円妊娠10〜14週

精度の高さとリスクの低さを兼ね備えたNIPTがおすすめではありますが、妊娠週数や費用なども考慮して、ご家族や担当医師と相談しながら検討を進めることが大切です。

ダウン症の子どもを育てるイメージ(サポート方法)

ダウン症の子どもを育てるイメージ(サポート方法)

私たち夫婦の経験からは、高齢出産であればNIPTや葉酸サプリの活用、健康的な生活を心掛けるといった対策をとることをおすすめしますが、「ダウン症の子どもが生まれても大丈夫」「NIPTはやらない」「普通に過ごしていれば大丈夫」といった考えもあるでしょう。

その結果、もしダウン症の子どもが生まれた場合には、様々なサポートも必要です。以下、簡単ですが参考までにまとめておきます。

子育てのコツ

  • わかりやすい言葉で説明し、じっくり付き合う
  • こだわりを否定せず、子どもの気持ちを尊重する
  • 個性を伸ばすために、好きなことや得意なことを見つける
  • 日常生活に結びつけて学ぶ機会を設ける
  • 姿勢が保てるように、適切な椅子を選ぶ

教育と療育

  • 早期療育を行うことで、必要なスキルを早い段階から身につける
  • 子どもの発達に合わせた学習を受ける

医療方面のサポート

  • 定期的な健康チェック
  • 専門医への定期的な相談

社会的支援の活用

  • 療育手帳を取得して、様々なサービスを受ける
  • 各自治体や民間の支援制度を活用する

なかなかイメージがしにくいかと思いますが、以下の書籍や動画をご覧いただくと、理解が深まるはずです。興味のある方はご覧ください。

たのしくできるダウン症の発達支援 アセスメント&プログラム

『たのしくできるダウン症の発達支援 アセスメント&プログラム』

生まれた赤ちゃんがダウン症だったら…【ウェークアップ】

まとめ【悩んだら早めの対策を】

高齢出産でダウン症児を産んだら後悔するかどうか、実際の事例を紹介しつつ、リスクや対策などについて解説しました。

ダウン症のお子さんでも、親御さんが愛情深く育てているケースもあれば、きょうだい児として大変な苦労をされているケースもあります。後悔するかどうかは、ご紹介した事例を参考に、将来をイメージしてみてください。

なお、高齢出産の場合はダウン症の赤ちゃんを産む確率が高くなるため、「健常児が欲しい」とお考えの方は、しっかりと対策をする必要があります。その場合は、出生前診断(特にNIPT)など、前向きに検討してみてください。

私もNIPTを受けましたが、本当にやっておいてよかったと思っています。

もし今悩んでいる場合でも、早めの対策をおすすめします。ご紹介した以下の対策について、ぜひ前向きに取り組んでみてください。

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。

高齢出産で取り組んでおきたい主な対策
  • 新型出生前診断:
    ダウン症などの染色体異常(疾患)がないかどうか、事前に把握できる検査です。高齢出産で後悔しないための対策として、まず最初に考えられるものです。
  • 葉酸サプリ
    葉酸サプリなどで葉酸を積極的に摂取することで、自閉症やダウン症のリスクを低減できるという研究報告もあります。
  • 臍帯血の保管
    ダウン症の対策ではありませんが、自閉症や脳性麻痺など、現在治療法のない病気に備えることができる大変貴重なものです。
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