【実体験】慣らし保育で「泣かない」のは発達障害のサイン?

【実体験】慣らし保育で「泣かない」のは発達障害のサイン?
ケンサク

ケンサク

はじめまして、ケンサクといいます。
知的障害を伴う自閉症の娘(ピノ子)への療育に奮闘中の父親です。

ー主な経験ー
■療育
◎前職で児童発達支援事業立ち上げに携わる
◎約10の療育(児童発達支援事業所)を体験
■出生前診断・臍帯血(※妻)
◎3人目の妊娠にて新型出生前診断(NIPT)
◎2人目・3人目の出産にて臍帯血を保管
■教材
◎学校教材の編集・制作経験(約7年)
◎発達障害児に役立つ教材の分析

FOLLOW

「うちの子は慣らし保育で全然泣かないけど、大丈夫かな?」と感じている親御さんへ。
他の子が泣いている中、自分の子が泣かないと、「発達障害なのかな?」と不安になるかもしれません。私の長女もそういう時期があり、実際に発達障害でした。
ただ、泣かないのには様々な理由があり、発達障害が関係している場合もあれば、単なる性格の可能性もあるので、一概には言えません。

この記事を読んでわかること
  • 慣らし保育で「泣かない」のは発達障害のサインかどうか
  • 子どもが泣かない理由
  • 慣らし保育での対応方法

このブログ記事では、慣らし保育で子どもが「泣かない」理由を詳しく解説し、親としてできる具体的な方法なども紹介します。安心して子育てに向き合えるよう、ぜひ最後までご覧ください!

慣らし保育で「泣かない」のは発達障害?

慣らし保育で「泣かない」のは発達障害?

「慣らし保育で泣かないのは発達障害と関係しているのではないか」と心配する親御さんは少なくありません。しかし、泣かないことだけで発達障害と判断するのは難しく、他の傾向と併せて総合的に見る必要があります。

発達障害の主なサインと泣かないことの関連性

発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、様々な種類があります。

その中でもASDの特徴として、「感情表現が乏しい」「環境の変化に対して特異な反応を示す」ということがあります。慣らし保育中に泣かない場合、「感情を抑えているのでは?」と感じることも。

具体的には、ASDのお子さんの中には、親との分離不安を感じにくい、または表に出さないケースがあります。一方で、保育園での刺激が強く、帰宅後に癇癪を起こす場合も。

たとえば、保育園では終始静かに過ごし、泣くどころか笑顔も少なかったものの、家ではその日のうっぷんを晴らすように感情を爆発させるというケース。こうしたケースが発達障害の特徴に当てはまる可能性はありますが、すべての泣かない子どもが発達障害であるわけではありません。

泣かない理由が発達障害であるケース・ないケース

泣かない理由には発達障害が関連している場合もあれば、そうでない場合もあります。それぞれのケースの具体例を見ていきましょう。

発達障害が関連している可能性がある場合

  • 感情表現が極端に少ない
  • 他の子どもとの関わりに消極的
  • 環境の変化に対する適応が非常に遅い
  • 感覚過敏(音や光に対する過剰な反応)がある

発達障害とは関係がない場合

  • もともと性格が落ち着いている
  • 家庭で十分に自己肯定感が育っている
  • 保育園で安心感を得ている(先生や施設への信頼感)
  • 環境変化への適応能力が高い

発達障害を疑うべきサイン

泣かないことが発達障害に関連しているかを判断するには、他の特徴や傾向を総合的に観察することが重要です。以下は、特に注意したいサインです。

注意すべきサイン

  • 人と目を合わせるのを避ける
  • 言葉の発達が遅れている
  • 同じ遊びや行動を繰り返すことが多い
  • 社会的な興味や関わりを持ちたがらない
  • 過度に静かである、または過剰に興奮する

これらのサインが複数見られる場合、注意が必要です。

私の娘も、これらはほとんど当てはまっていました。。

以下の記事で、私たち夫婦が娘の発達に違和感を感じたきっかけをまとめていますので、参考にしてみてください。

慣らし保育で泣かない理由とは?

慣らし保育で泣かない理由とは?

慣らし保育で泣かない理由は様々で、個性や性格、育った環境、発達の特性が影響していることがあります。

そもそも泣かない子どもは珍しい?

初めて保育園に通う子どもの多くは泣く傾向があると言われています。

泣く理由は、親との離別による不安や新しい環境への戸惑いが大きいです。一方で、泣かない子どもは、もともと冷静な性格だったり、適応能力が高い場合があります。また、「泣かない」ことが、実際には感情を押し殺しているサインであるケースも。

慣らし保育中の子どもの心の状態

子どもが泣かない背景には、上述したように感情の抑制や特定の気質が影響している場合もあります。

たとえば、敏感で周囲の環境に強く影響される子どもは、初めての状況に対して一時的に「フリーズ」していることもあります。これは、自分を守るための本能的な反応とされています。

具体的には、環境に慣れるのに時間がかかる「慎重な性格」を持つ子どもや、親の感情を敏感に感じ取る子どもに見られる傾向です。家庭では元気いっぱいなのに、保育園では大人しくなりがちな場合も含まれます。

こうした心の状態を知るためには、保育士とコミュニケーションを取り、普段の様子やその日の行動の変化について話し合うことが有効です。

泣かない子どもが抱える隠れた不安のサイン

泣かない子どもでも、不安やストレスを抱えている場合があります。たとえば以下のような行動です。

不安のサインの例

  • 家庭で急に癇癪を起こすようになった
  • 夜泣きや寝付きが悪くなる
  • 好きだったおもちゃや遊びに興味を示さなくなる
  • 食欲が減少する
  • 無表情が増える、笑顔が少なくなる

こういったサインが見られる場合は、無理に慣らそうとせず、子どものペースに合わせて進めることが大切。親が安心感を与えることで、少しずつ心を開いてくれることも多いです。

慣らし保育は子どもが新しい環境に適応するためのプロセスなので、焦らず、寄り添いながら進めていきましょう。

どうしても不安になってしまう場合はどうする?

どうしても不安になってしまう場合はどうする?

子どもが慣らし保育で泣かないと、発達や愛着形成について不安になる親御さんは多いです。まずは冷静に状況を把握することから始めましょう。

保育士に相談するポイント

子どもの行動について心配なことがある場合、まずは落ち着いて保育士の先生に相談するのが大切です。特に泣かないことについての不安は、早めに共有することで適切なアドバイスが得られます。

以下は、相談時に押さえておきたいポイントです。

相談のポイント

  1. 具体的な行動や状況を伝える
    泣かない場面や、そのときの子どもの様子を詳しく説明します。
  2. 家庭での行動パターンも伝える
    家庭での変化や特別な行動(夜泣きや癇癪など)も重要な情報です。
  3. 自分の不安を正直に話す
    心配している内容や、気になることを率直に伝えましょう。

泣かない理由が子どもの性格や環境にある場合、保育士は徐々に環境に慣れさせる方法を提案してくれます。また、専門家による発達のスクリーニングを通じて、安心材料を得られることもあります。

親の心配を共有することが、子どもをより良い環境で育てる第一歩になります。

泣かないことへの誤解を解消する考え方

「泣かない=発達障害がある」と決めつけてしまうのは早計です。子どもが泣かない背景には、ポジティブな要因も多く含まれているからです。たとえば、家庭での愛情が十分に伝わっていることで、子どもが新しい環境でも安心している場合があります。

「他の子と違う」という比較が、親の不安を強めることもあります。子どもを保育園に通わせ始めたとき、周りの子が泣いている中で自分の子が泣かないと違和感を覚えるかもしれません。しかし、「環境を楽しんでいる」という可能性も十分に考えられるんです。

すべての子どもが同じように適応するわけではないため、まずは冷静に見守ることが大切です。

親が心穏やかでいることは、子どもにとっても大きな支えになります。「大丈夫」という心構えを持ちながら、一歩ずつ進んでいきましょう。

家庭での工夫と慣らし保育をスムーズに進めるコツ

家庭での工夫と慣らし保育をスムーズに進めるコツ

慣らし保育をスムーズに進めるためには、家庭での工夫があるとなおよいです。家庭で子どもが安心感を持てるような環境を整えることで、保育園での新しい体験に対する抵抗感を和らげることができます。

子どもの感情を引き出すコミュニケーションの取り方

子どもの感情を引き出すには、親が子どもの気持ちに寄り添う姿勢を持つことが大切です。

たとえば、保育園から帰ってきた子どもに「今日は楽しかった?」と聞くだけではなく、「どんな遊びをしたの?」や「どの先生が優しかった?」と具体的な質問をすることで、子どもが答えやすくなります。

また、子どもが言葉で表現できない場合には、絵本やおもちゃを使って気持ちを引き出す方法も効果的。絵本を読みながら「この子はどうして泣いているのかな?」と問いかけ、自然な形で子どもの感情を探ることができます。

感情を引き出すことで、子どもの不安を軽減し、慣らし保育への適応を助けることができます。そして、日々の会話を通じて親子の信頼関係を深めることが、何よりも大切です。

慣らし保育に向けた家庭での準備

子どもが安心感を持ち、新しい環境に適応しやすくなるための準備は、以下のポイントを意識して行いましょう。

家庭での準備ポイント

  • 保育園のリズムに合わせた生活習慣を整える
    起床時間や食事のタイミングは、保育園のスケジュールに合わせて調整しましょう。
  • 保育園で使うグッズを一緒に選ぶ
    お気に入りのキャラクターが描かれたバッグやタオルなど一緒に選んで、「保育園は楽しい」という印象を与えましょう。
  • 短時間でも離れる練習をする
    少しでも親から離れて過ごす経験を積むことで、不安を軽減できるようにします。
  • 保育園についてポジティブに話す
    「お友だちとたくさん遊べるよ!」「園庭や公園でいっぱい遊べるよ!」など、保育園の楽しいシーンを想像してもらいましょう。

娘は発達障害ではあるものの、慣らし保育を始める少し前から朝食の時間や昼寝の時間を保育園の時間に合わせることで、多少なりとも保育園のスケジュールに馴染むことができました。

他の保護者の体験談から学ぶ成功例と失敗例

以下は、他の親御さんが慣らし保育で実践してみた、成功例と失敗例をまとめたものです。

成功例

  • 段階的な慣らしスケジュールの実施
    • たとえば、最初は午前中のみの短時間から始め、徐々に昼食やお昼寝を含むスケジュールに拡大していく方法が効果的。
    • 子どもが保育園での生活リズムにスムーズに適応できるよう、家庭でも同じようなリズムを取り入れました。
  • 親のポジティブな態度
    • 親が明るい声と笑顔で「楽しい場所に行く」という雰囲気を演出することで、子どもの不安を軽減できたという例。親が「俳優・女優」として、保育園に行くことを楽しそうに振る舞うことで、子どもが安心感を持つようになった家庭もありました。
  • 父親の積極的な関与
    • 父親が送り迎えを担当することで、子どもが泣く頻度が減り、保育園に自ら遊びに行くようになったという成功例もあります。父親が子どもに不安を悟らせないように振る舞ったことが効果的でした。
  • 保育園との密なコミュニケーション
    • 保育士との連絡ノートや会話を通じて、子どもの様子を確認し、家庭での対応を調整した家庭では、子どもが早く保育園に慣れることができたという報告があります。

失敗例

  • 親の不安が子どもに伝わる
    親が子どもを送り出す際に不安な表情や態度を見せたことで、子どもがさらに不安を感じ、保育園で泣き続ける状況が続いた例。親が「楽しい場所に行く」という雰囲気を演出できなかったことが原因とされています。
  • 早すぎる時間の登園
    慣らし保育のスケジュールを無視して、早朝に子どもを連れて行った結果、保育士から注意を受けたという失敗例もあります。
  • 子どもの体調や心理的負担を軽視
    子どもが泣き続けたり、ミルクや水分を摂取できない状況で無理に慣らし保育を進めた結果、期間が延長されたり、保育園から早めのお迎え要請があった例。子どもの体調や心理的負担を優先する必要があります。
  • 親の準備不足
    慣らし保育中に必要な持ち物や準備が不十分で、保育園での対応がスムーズに進まなかった例もあります。たとえば、哺乳瓶の乳首や着替えの不足が問題となったケースが挙げられます。

*参考
>>わが家はこうして「慣らし保育」を乗り越えた
>>保育園の慣らし保育で失敗した私から伝えたいこと
>>慣らし保育はこう乗り切る! 先輩ママに聞くスケジュール&コツ

>>Yahoo!知恵袋

慣らし保育では、親のポジティブな態度、段階的なスケジュール、保育園との密な連携が重要。一方で、親の不安が子どもに伝わったり、準備不足が原因で失敗することも。親自身も慣らし保育の期間を活用してリフレッシュし、余裕を持って対応することがポイントです。

泣かない子どもへのサポート【発達障害と個性の理解】

泣かない子どもへのサポート【発達障害と個性の理解】

上述したように、慣らし保育で泣かない子どもには、その子ならではの個性や発達の特性が関係している場合があります。

個性としての「泣かない」と、発達障害の可能性を区別しながら、それぞれの対応方法を詳しく紹介します。

泣かないことが子どもの個性である場合

子どもが慣らし保育で泣かない理由が、性格や個性に起因することは少なくありません。たとえば、慎重で観察力が高い子どもは、まず周囲の状況をじっくり見てから行動を起こすことがあります。これは「適応が遅い」のではなく、環境を理解しようとする慎重さから来るものです。

こうしたケースでは、親が子どものペースを尊重し、焦らず見守ることが大切。「泣かない=適応している」と必ずしも言えない一方で、「子ども自身が環境に順応する時間が必要な個性」として受け入れる姿勢が重要です。

保育園との連携も大事

子どもの発達をサポートするためには、保育園と連携することが欠かせません。もし発達障害の可能性がある場合、子どもを見守る仕組みを早めに整えることが重要です。

具体的な方法

  • 保育士と日々の様子を共有する
    子どもの行動や変化を定期的に伝え合い、情報を共有します。
  • 定期的に面談をしてもらう
    発達に不安がある場合は、相談して定期的に話し合いの場を設けてもらいます。
  • 発達検査を受けるタイミングを相談する
    必要に応じて、発達検査を受けるかどうかを相談します。
  • 家庭での取り組みをフィードバックする
    保育園の方針も聞きつつ、家庭でも同じ対応を試み、結果を共有します。

発達障害の娘の場合も、早めに不安があることを保育士の先生に相談して、早い段階で加配をつけてもらうようにお願いしました(加配については以下の記事をご覧ください)。

もし、将来的に発達障害の診断を受けてしまった場合は……?

慣らし保育の月齢で発達障害の診断が下るケースは、そう多くはないはずです。ただ、残念ながら私の娘のように診断が出てしまうケースも考えられなくはありません(娘の場合は3歳1カ月で診断が出ました)。

ただし、発達障害の診断を受けた場合でも、適切なサポートを行えば、子どもはその個性を活かして成長していくことが可能です。

療育の選び方、家庭療育の方法、発達を促すおもちゃや教材など、このブログでは他にも役立つ情報を発信しています。もし現時点で発達に不安がある場合は、以下の記事にも目を通しておいてください。

まとめ

今回は、慣らし保育で「泣かない」ことが発達障害なのかどうかについて、詳しく紹介しました。

要点のまとめ

  • 慣らし保育で泣かない理由は様々
    子どもの性格や個性、育った環境、発達の特性が関係している。
  • 泣かないことが発達障害の可能性を示す場合も
    他の傾向やサインも含めて、総合的に判断する必要がある。
  • 泣かない子どもの個性を尊重
    子どものペースを尊重し、焦らず見守ることが大切。
  • 親ができる対応方法
    保育園と連携しながら、適切なサポートを行う。
  • 家庭でできる工夫
    親子のコミュニケーションを深め、保育園のリズムに合わせた生活を心がける。

親子で安心して慣らし保育を進めるためには、保育園との連携、そして家庭での丁寧な準備が重要です。まずは焦らず、子どものペースに合わせて進めていきましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

関連記事