「障害のある子が生まれたら、どうしよう」
妊娠中や、これから子どもを望む時期に、その不安が頭から離れなくなることがあります。
「できれば健常児がいい」
中には、「障害のある子は、産みたくない」とまで思ってしまう方もいるかもしれません。
私は、重度知的障害を伴う自閉症の長女を育てる父親です。
そのうえで三女を妊娠したときには、「この子まで重い障害があったら、うちは支えきれるだろうか」と、怖くなりました。だから私たち夫婦は、NIPT(新型出生前診断)を受けています。
障害のある子を実際に育てる大変さも、「生まれる前に知っておきたい」という不安も、どちらも自分ごととして通ってきました。
このブログ記事では、障害のある子が生まれる確率と原因、妊娠中の今できること、そして、もし生まれてきたときにその日から始められることを、当事者の立場でお伝えします。
不安を、全部消すことはできません。
それでも、あなたとご家族が納得して選ぶための材料は、そろえられます。
※本記事はプロモーションを含みます。
目次
「障害児が生まれたらどうしよう」その不安は、おかしくない

まず、いちばん伝えたいことから書きます。
「障害のある子が生まれたらどうしよう」と怖くなること。
「健常児がいい」と願うこと。
「正直、産みたくない」と思ってしまうこと。
そのどれもが、責められるような気持ちではありません。
同じ不安を打ち明けた人に、「そんな考えなら産むべきじゃない」「子どもがかわいそう」と返している言葉を、見かけることがあります。そういう言葉に、よけいに追い詰められた方もいるかもしれません。
でも、あなたが不安を抱えているのは、無責任だからではありません。
むしろ、これから生まれてくる子の人生と、家族の暮らしを、真剣に想像しているからです。
真剣だからこそ、怖い。
それは、いい加減な人には出てこない感情だと、私は思っています。
「大変さ」を知っている人ほど、不安は深くなる
障害のあるご家族や身近な人と関わった経験がある方。
自分自身が、きょうだい児として育った方。
そういう方ほど、「あの大変さを、自分の子に背負わせたくない」「自分たち家族が、支えきれるだろうか」と、強く不安になります。
これは、障害のある人を否定しているのとは違います。
現実の重さを、知っているだけです。
私たち夫婦も、長女の育児のなかで、本当に大変な時期を通ってきました。
だから、「健常児がいい」と願う気持ちを、きれいごとで否定することはできません。
診断名を聞いた帰り道、私たちは何も話せなかった
長女が「知的障害を伴う自閉症」と診断されたのは、3歳のときでした。
その帰り道、私たち夫婦は、ほとんど言葉を交わせませんでした。
これからどうなるのか。
どこまで伸びるのか。
自分たちに育てていけるのか。
これからどうなるのか。
自分たちに育てていけるのか。
答えの出ない問いばかりが、頭に浮かんでいました。
あのとき私が求めていたのは、「大丈夫、なんとかなるよ」という励ましではありませんでした。
不安を否定しないまま、次に何をすればいいのかを、静かに教えてくれる情報でした。
この記事は、あのときの自分に読ませたいつもりで書いています。
だから、もう一度だけ。
あなたが悪い親だから、不安なのではありません。
その不安は、これから親になろうとしている人の、まっとうな感情です。
障害のある子が生まれる確率と原因【誰のせいでもない】

不安を落ち着けるために、まず「数字」と「原因」を、冷静に見ておきましょう。
ここは体験ではなく、一般的な情報として整理します。
何らかの先天性疾患をもって生まれる割合
生まれてくる赤ちゃんのうち、何らかの先天性疾患をもって生まれる割合は、およそ3〜5%とされています。(数値は資料により幅があります。医学の成書などで示される目安です。)
100人生まれたら、そのうち3〜5人。
決して「まずない話」ではありませんが、裏を返せば、多くの赤ちゃんはそうではない、という数字でもあります。
そして、この「先天性疾患」には、生まれてすぐ分かるものもあれば、成長の中で少しずつ分かってくるもの(発達障害など)もあります。妊娠中の検査で分かるものと、分からないものがある、ということです。
主な原因は、大きく4つに分けられる
原因は完全に解明されていないことも多いのですが、大きくは次のように整理されます。
- 染色体の変化:ダウン症(21トリソミー)など、染色体の数や構造の変化によるもの。
- 遺伝子の変化:特定の遺伝子の変化によるもの。
- 環境の要因:妊娠中の感染症(風疹、サイトメガロウイルスなど)、一部の薬、母体の病気など。
- 原因が特定できないもの:はっきりした原因が分からない場合も、少なくありません。特に発達障害は、多くの要因が複雑にからむと考えられています。
ここで、どうしても伝えておきたいことがあります。
染色体や遺伝子の変化によるものの多くは、精子と卵子が出会った時点で、すでに始まっています。
妊娠に気づく前の行動や、妊娠初期の食事で「防げたのに」というものでは、基本的にありません。
つまり、「これをしたから」「あれをしなかったから」と、自分を責める必要はないんです。次の章でお話しするように、リスクを下げられる部分や、備えられる部分はあります。
ただ、その出発点は「後悔しないための備え」であって、「あなたのせい」という話ではない。
そこは、はっきり分けて考えてほしいと思います。
不安を「調べられる不安」と「調べられない不安」に分けてみる

ここからが、私たち夫婦が実際に通った考え方です。
三女を妊娠したとき、私たちは怖かった。
当時、長女の育児は相変わらず手がかかり、二女もまだ幼くて目が離せない時期でした。そこに3人目。もしその子まで重い障害があったら、今の家族で支えきれるだろうか、と。
障害のある子を否定したいのではありません。
ただ、長女、二女、妻、家族みんなの今を考えたとき、簡単には「大丈夫」と言えなかったんです。
そのとき、私は不安をこう分けて考えました。
- 調べられる不安:今の医療で、生まれる前にある程度まで調べられること。
- 調べられない不安:どんな検査でも、生まれてみないと分からないこと。
たとえば、いくつかの染色体の変化については、生まれる前に「可能性が高いか低いか」を調べる方法があります。
一方で、長女のような発達障害は、生まれる前に分かる検査はありません。
不安を全部消すことは、誰にもできません。
でも、「調べられる部分」と「調べられない部分」を分けると、少なくとも「調べられる不安」については、自分たちで手を打てる。
そう気づいたとき、頭の中が、少しだけ整理されました。
大切なのは、不安をゼロにすることではありませんでした。
「調べられることは調べた」と、あとで自分たちが思えるかどうか。
私たちにとっては、そこが分かれ道でした。
妊娠中の今、できること【できることから、ひとつずつ】

ここからは、「妊活中」「妊娠中」の方に向けて、今できることを整理します。
数を増やす必要はありません。できることから、ひとつずつで十分です。
はじめに、ひとつだけ。私は医療の専門職ではありません。この先の検査や栄養の話は、公的な情報と、当事者としての経験を分けてまとめたものです。
取り入れるかどうかの判断は、主治医や専門家への相談を前提に読んでください。
私たち夫婦が、二女・三女の妊活・妊娠のときに取り組んだのは、次のようなことでした。
1. 健康的な生活を送る【基本だけど、あなどれない】
先ほどお伝えしたとおり、障害の多くは生活で防げるものではありません。
それでも、母体の健康を整えることは、赤ちゃんにとってもお母さん自身にとっても、土台になります。
- バランスのとれた食事を意識する
- 無理のない範囲で体を動かす
- しっかり休み、眠る
- 喫煙・飲酒はやめる(受動喫煙にも注意)
- 手洗いなど、基本的な感染症対策をする(特に妊娠初期の風疹などは注意)
こうした妊娠前からの心身の準備は、国も「プレコンセプションケア(妊娠前からの健康管理)」として情報発信しています。妊娠を考え始めた時期から、できる範囲で整えておくと安心です。
*出典:こども家庭庁「はじめよう プレコンセプションケア」
長女を妊娠していた頃の私たち夫婦は、不健康そのもの。
仕事に追われ、食生活は乱れ、ストレスもたまっていました。
それが直接の原因だったとは思っていません。
ただ、二女・三女のときは、その反省から、できる範囲で生活を整えました。
「あのときやれることをやっておけば」と後悔しないために、基本は大事にした、というだけの話です。
2. 葉酸を意識してとる【エビデンスがある備え】
数ある「妊娠中にいいこと」のなかでも、根拠がはっきりしているのが、葉酸です。
葉酸を十分にとることは、赤ちゃんの神経管閉鎖障害(二分脊椎など)の発症リスクを下げることにつながる、と国も示しています。
厚生労働省は、妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性に、通常の食事に加えて、サプリメントなどから1日400μgの葉酸をとることをすすめています。とる時期の目安は、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月頃までです。
*出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」
ここで、はっきり線を引いておきます。
葉酸で下げられるとされているのは、あくまで神経管閉鎖障害などのリスクです。
自閉症や知的障害を「葉酸で防げる」という話ではありません。
そこを大きく期待させる情報には、注意してください。
葉酸は緑黄色野菜や納豆などにも含まれますが、食事だけで毎日400μgを補うのは、なかなか難しいのが実際です。 だからこそ、サプリメントで補う人が多いんですね(とりすぎにも上限があるので、用量は守ってください)。
わが家では、二女・三女の妊活・妊娠のとき、妻が葉酸サプリを飲んでいました。
「妊活は夫婦で」という考えから、私も男性向けの成分が入ったものを飲むようにしたんです。
(長女のときは、妻が妊娠してから飲み始め、私は飲んでいませんでした。今思えば、もっと早くから夫婦で取り組んでもよかったな、と感じています。)
月に数千円で、できることのひとつです。
妻が飲んでいたもの、私が飲んでいたものは、それぞれ次のとおりです。
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「妊活は夫婦で取り組むもの」という考えから、私もこちらを飲んでいました。
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3. 出生前診断・NIPTという選択肢【安心を買う検査ではありません】
「生まれる前に、赤ちゃんの状態を、ある程度でも知りたい」 そう考える方のための選択肢が、出生前診断です。
なかでも、母体への負担が少ない検査として知られているのが、NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査/新型出生前診断)です。
NIPTでわかること・わからないこと
まず、事実を正確に押さえます。
- 調べる方法:妊婦さんの血液を採り、その中に含まれる胎児由来のDNAの断片を分析します。採血だけなので、羊水検査のような流産のリスクは、ほぼありません。
- 調べる対象:認証を受けた施設では、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つについて、可能性があるかどうかを調べます。病気の重さや症状までは分かりません。
- わからないこと:この3つ以外の多くの病気、そして自閉症などの発達障害は、対象外です。
- 受けられる時期:一般に妊娠9〜10週以降とされています。
- 結果まで:採血から1〜2週間ほど。
- 費用:健康保険は使えず、自費で、10万円弱〜20万円ほどが目安です(施設により異なります。最新は各施設の公式サイトでご確認ください)。
- 確定診断ではない:NIPTは「可能性」を調べる検査です。陽性となった場合、はっきりさせるには羊水検査などの確定検査が必要になります。
*出典:出生前検査認証制度等運営委員会(日本医学会)「NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)とは」
私たちがNIPTを受けた理由と、受けて分かったこと
三女の妊娠のとき、私たちはNIPTを受けることにしました。
理由は、前にお話しした「調べられる不安」と「調べられない不安」を分けた結果です。
発達障害のように調べられないものは、受け止める覚悟をするしかない。でも、調べられる部分については、調べておきたい。そう考えたんです。
受けたのは、平石こどもクリニックの提携院でした。検査そのものは採血で終わり、結果は1週間ほどで、メールで届きました(妻が三女を妊娠・出産したのは40代のときです。年齢は、検査を考えるひとつのきっかけでもありました)。
ここで、書いておきたいことがあります。
検査を受けて私たちが得たのは、「安心」ではありませんでした。
どんな結果でも、育てていく覚悟が消えるわけではないし、調べられない不安は残ったままです。
得られたのは、「調べられることは調べた」という納得でした。
だから、NIPTを「不安を安心に変えてくれる検査」として、軽々しくおすすめすることは、私にはできません。
これは、安心を買う検査ではないんです。
「自分たちは、納得して選んだ」と、あとで思えるようにするための、ひとつの選択肢です。
受けるかどうかは、ご夫婦で決めることです。
そして、いちばん大事なのは、「陽性だったら、どうするのか」を、受ける前に話し合っておくことだと考えています。
「陽性だったら」の話は、避けて通れない
ここから先は、簡単な話ではありません。
陽性という結果の先には、産み育てていくのか、それとも妊娠を続けないという選択をするのか、という、とても重い問いが待っていることがあります。
どちらが正しいと、私が言えることではありません。
そして、どちらを選んだ人のことも、私は責められません。
世の中には、「陽性なら、多くの人が産まない選択をする」といった言葉で、あなたの背中を押そう、あるいは責めようとする声もあります。でも、他人の数字は、あなたが背負う問いの答えにはなりません。
大切なのは、あなたとパートナーが、時間をかけて納得できるかどうかです。
だからこそ、検査の前後に遺伝カウンセリング(専門家との相談)を受けられるかどうかが、大きな意味を持ちます。一人で、あるいは夫婦だけで抱えるには、重すぎる問いだからです。
施設は「検査項目の多さ」より「支えてくれる体制」で選ぶ
NIPTは、施設によって、調べられる項目も、陽性だったときのサポートも、大きく違います。
日本医学会の認証を受けた施設もあれば、そうでない施設もあります。
どちらを選ぶにしても、確認してほしいのは、検査項目の多さより、「カウンセリングやアフターフォローの体制が整っているか」です。
結果を受け取ったあと、相談できる相手がいるかどうかで、抱え方はまったく変わります。
私たち夫婦がNIPTを受けると決めるまでの葛藤や、施設をどう比べたかは、以下の記事にまとめています。
迷っている段階の方は、こちらもあわせて読んでみてください。
そのうえで、「まずは受検先の情報を見てみたい」という方のために、私たちが利用した平石こどもクリニックに関する記事も置いておきます。
4. 臍帯血を保管するという選択肢【出産のときだけの選択】
これは妊娠中というより、出産のときの選択になります。
臍帯血とは、出産時に、赤ちゃんとお母さんをつなぐへその緒や胎盤に流れている血液のことです。
この血液には、さまざまな細胞のもとになる「幹細胞」が含まれています。
臍帯血を使った移植は、白血病などの一部の血液の病気に対して、治療法のひとつとして確立されています。
一方で、自閉症や脳性麻痺などへの応用は、現時点では研究・臨床試験の段階であり、「確立した治療」ではありません。ここは、期待をふくらませすぎないよう、正確にお伝えしておきます。
臍帯血は、出産のときにしか採れません。 私たち夫婦は、二女・三女の出産のとき、民間バンクでの保管を選びました。
「もしものときの備え」として、そして「将来の医療への希望」として、家族の安心材料のひとつになっています。
保管には費用がかかりますし、公的バンクと民間バンクの違いもあります。
「保管しておけばよかった」と後悔したくないから選んだ、というのが私たちの本音ですが、これも人によって考え方が分かれる選択です。
費用の目安や、公的・民間の違い、わが家がどう考えたかは、以下の記事で詳しくまとめています。
もし、障害のある子が生まれてきたら【その日から始められること】

ここまでは「生まれる前」の話でした。
ここからは、「もし生まれてきたら」に向き合います。
どんなに備えても、生まれてみないと分からないことはあります。
だからこそ、「そのとき、何から始めればいいか」を知っておくことは、不安を小さくしてくれます。
診断を受けた直後は、無理に受け止めなくていい
告知の直後は、頭が真っ白になるかもしれません。悲しみ、戸惑い、罪悪感。いろんな感情が、一度に押し寄せてきます。
そのとき、感情を無理に抑えなくて大丈夫です。泣きたいときは、泣いてください。
私たち夫婦も、たくさん泣きました。
すぐに全部を受け入れて、完璧な親になろうとしなくていいんです。
時間をかけて、少しずつで構いません。
使える公的支援は、思っているより多い
障害のある子を育てる家庭には、さまざまな公的支援が用意されています。
知らないままだと使えないものばかりなので、ここで骨組みだけ押さえておきます。
まず動くべきは、お住まいの地域の相談窓口(保健センターや、市区町村の障害福祉の担当課)です。
どんな支援があって、どう手続きするかを、丁寧に教えてくれます。
- お金の支援:特別児童扶養手当、障害児福祉手当、医療費の助成など(多くは所得制限や条件があります)。
- 手帳:療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など。サービスの利用や割引につながります。
- 療育・教育:児童発達支援、放課後等デイサービス、特別支援教育など。利用料の多くは公費でまかなわれます。
- 相談先:保健センター、児童相談所、発達障害者支援センター、相談支援事業所など。
制度の名前や内容は、自治体によって違うことがあります。
まずは「相談する」。ここが、すべての入口です。
(制度・手当の条件や金額は変わることがあります。最新の内容は、お住まいの自治体の公式情報でご確認ください。)
家族みんなで抱える【夫婦・きょうだい児・自分のケア】
障害のある子の育児は、ひとりで抱えるものではありません。
- 夫婦:気持ちを正直に話し合い、家事や育児の分担を決める。どちらかに偏らないようにする。
- きょうだい児:がまんや寂しさを抱えやすい存在です。「あなたも大切だよ」が伝わる時間を、意識してつくる。
- 自分自身:親が倒れたら、支援も止まります。一時預かりなどを使って休むことは、わがままではなく、必要なことです。
わが家では、長女の存在を、妹たち(二女と三女)にとって「特別なこと」ではなく「当たり前の日常」にしたいと思っています。
大変な面も含めて、それがわが家の形なのだと、日々の暮らしのなかで自然に伝わればいい。
そう考えています。
すでに産んで、後悔しかけているあなたへ
もし、あなたがすでにお子さんを産んでいて、 「産まなければよかったのかもしれない」と感じているとしたら。
その気持ちを、責めないでください。それは、あなたが冷たいからではありません。
多くの場合、それは疲れのサインです。眠れていない、休めていない、頼れる先がない。
そういう状態が続けば、人は誰しも、そう感じることがあります。
必要なのは、反省ではなく、休息と、頼れる先です。
一人で抱えず、相談窓口や、同じ立場の親の集まりに、まず声を届けてみてください。
同じように「後悔」と向き合った経験は、別の記事でも書いています。
今しんどい方は、こちらも読んでみてください。
重度でも、少しずつ伸びていく
最後に、希望の話もしておきます。ただし、盛らずに書きます。
長女は、重度知的障害を伴う自閉症です。言葉は、今もほとんどありません。
それでも、2歳から療育を続ける中で、彼女なりに育ってきました。
ジェスチャーで要求を伝えられるようになったり、身の回りのことが少しずつできるようになったり。
その一つひとつが、私たち夫婦にとっては、小さくない喜びです。
急に変わったわけではありません。
合う関わり方を探して、うまくいかなくて、また試して。
数か月単位で観察と工夫を繰り返した先に、少しずつ変わってきました。
「障害がある=絶望しかない」ではない。
かといって、「頑張ればすべて報われる」でもない。
その間のどこかに、それぞれの家族の暮らしがあります。
よくある質問【障害児・出産の不安Q&A】

最後に、この不安の中でよく出てくる疑問に、当事者の立場で答えます。
Q
こんな不安を抱く自分は、産まないほうがいいのでしょうか?
A
不安があること自体は、産む・産まないの答えにはなりません。
不安は、あなたが真剣に考えている証拠であって、資格の問題ではないからです。
産むかどうかは、ご夫婦の価値観、体調、生活、支えられる環境などをふまえて、二人で納得して決めることです。
ネット上の誰かの断罪も、逆に「絶対に産むべき」という圧力も、あなたの判断の基準にする必要はありません。
Q
NIPTを受ければ、障害があるかどうか全部わかりますか?
A
いいえ、全部は分かりません。
認証施設のNIPTで分かるのは、主に3つの染色体の変化(ダウン症、18トリソミー、13トリソミー)の可能性で、病気の重さや症状までは分かりません。自閉症などの発達障害は、対象外です。
「生まれる前にすべてが分かる検査」は、今のところ存在しない、と考えておくのが正確です。
Q
葉酸を飲めば、自閉症は防げますか?
A
防げません。葉酸で下げられるとされているのは、神経管閉鎖障害(二分脊椎など)のリスクです。自閉症や知的障害を防ぐ効果を示すものではありません。「葉酸で発達障害を防ぐ」といった強い表現には、注意してください。それでも、根拠のある備えのひとつとして、葉酸をとる意味はあります。
Q
1人目が健常児なら、2人目も大丈夫ですか?
A
「1人目がこうだったから、2人目もこう」とは、単純には言えません。先天性疾患の多くは、受精の時点で起こることが多く、上の子の状態が下の子を保証するわけではないからです。過度に楽観する必要も、過度に恐れる必要もありません。気になる場合は、検査という選択肢を、冷静に検討してください。
Q
身近に障害のある家族がいて、遺伝が心配です。
A
ご自身のきょうだいや親族に障害のある方がいて、「自分の子にも受け継がれるのでは」と不安になる方もいます。遺伝が関係するかどうかは、障害の種類によって大きく異なり、一概には言えません。ネットの断片的な情報だけで結論を出すと、不安が実態以上にふくらんでしまうことがあります。気になる場合は、遺伝カウンセリング(専門家への相談)で、ご家族の状況をふまえた説明を受けられます。まずは、正確な情報を持つ人に相談してみてください。
Q
すでに産んで、育てていく自信がありません。
A
その気持ちを、まず否定しないでください。自信のなさは、能力の問題ではなく、多くは「支えが足りていない」ことのサインです。公的支援、相談窓口、同じ立場の親の集まり。頼れる先は、思っているより多くあります。一人で結論を出す前に、まず相談してみてください。
まとめ|安心は買えない。でも、納得は選べる
この不安をめぐっては、「不安は自然、前向きに乗り越えよう」という優しい言葉も、「産みたくないなんて言うな」という厳しい言葉も、世の中にはあふれています。
でも、あなたに本当に必要なのは、そのどちらでもないかもしれません。
不安を否定されないまま、次に何ができるかを、静かに知ること。私は、そう思っています。
もし今、あなたが妊娠中で不安を抱えているなら。
- まずは、生活を整えることから。
- 根拠のある備えとして、葉酸を検討する。
- NIPTや臍帯血保管は、「安心を買う」ためではなく、「納得して選ぶ」ために、夫婦でよく話し合う。
もし、すでにお子さんの障害と向き合っているなら。
- 一人で抱えず、公的支援や相談窓口を使う。
- 正確な情報を集め、お子さんに合った関わり方を、少しずつ探す。
- そして、あなた自身の休息も、支援の一部として大切にする。
どんな検査も、不安を全部は消してくれません。
私たちがNIPTで得たのも、安心ではなく、「調べられることは調べた」という納得でした。
消せない不安を抱えたまま、それでも、納得して次の一歩を選ぶ。
そのための材料に、この記事が少しでもなれたなら、うれしく思います。
