「自閉症の子どもと目が合わない……どの程度なら大丈夫なのかな。。」と心配されている親御さんへ。
目が合わない程度は人それぞれで、自閉症の子どもたちは目が合わないことがあっても、さほど気にしなくてよい場合もあります。ただし、目が合わないことが原因でコミュニケーションに支障をきたす場合も。
今回は、自閉症の娘を持つ私の経験をもとに、目を合わせる方法についても紹介します。
- 自閉症の子どもと目が合わない理由
- 自閉症の子どもと、どの程度目が合わないなら大丈夫か
- 自閉症の子どもと目を合わせる方法
この記事を読めば、自閉症の子どもと目を合わせるための具体的な方法がわかります。
自閉症である、私の娘に対して実践して効果のあった方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
目次
自閉症の子どもと目が合わない……どの程度ならOK?
そもそも、目が合わないのは自閉症の子どもの特徴?
自閉症の子どもが目を合わせない(目が合わない)のは、自閉症の特徴の一つです。ただし、目が合わないからといって、必ずしも自閉症であるとは限りません。特に小さい子どもは視力が発達していなかったり、物や人の顔の認識能力がまだ未熟であることもあります。
自閉症の子どもたちに限って言うと、確かに目を合わせることが苦手であることが多いので、友達や大人とコミュニケーションを取る際に支障が生じることがあります(私の娘のピノ子もそうです)。
また、通常であれば視線を合わせることで相手の感情や意図を読み取ることができますが、目を合わせないことにはそうもいきません。
ピノ子も3歳くらいまでは全然目が合わないので本当に苦労しました。。
とはいえ、重度知的障害を伴う自閉症のピノ子でも、2歳くらいから少しずつ療育を始めることで、6歳の今では普通に目を合わせることができるようになりました。
なお、ピノ子にも行った早期療育のメリットなどについては以下の記事で詳しく紹介しています。
自閉症の子どもと目が合わない理由は?
自閉症の子どもが目を合わせない理由は、私が様々な療育や書籍で得た情報だけでも諸説あります。
- 感覚過敏で視線を合わせることが苦痛
- 視線からの情報を処理するのが難しい
- 視覚情報を過剰に受け取ったり、逆に必要な情報を取りこぼしたりする
- 他者の視線をコミュニケーションの一部として認識することが難しい
よく言われてきた印象では「自閉症の子どもは視線を合わせることで脳が過剰反応して不快感を感じるため、目を合わせないようにしている」ということでしょうか。
ピノ子に関して言えば、1歳くらいから目が合わないというか「目をそらす」ことをしていた印象でした。目を合わせようとすると、プイっとそっぽを向かれてしまうのです。。今思えば、「あえて目をそらしていたんだなあ……」と感じています。
自閉症の子どもと目が合わない場合でも、どの程度なら大丈夫?
では、どの程度目を合わせることができれば大丈夫なのでしょうか。
自閉症の子どもが目を合わせない頻度や程度は個人差がありますので、一概には言えません。子どもによってはまったく目を合わせない場合もあれば、特定の状況や人に対しては目を合わせることができる場合もあります。
結論、これも私が療育や発達相談などから話を聞いた中では、コミュニケーションを自然に取れれば問題ないと言えそうです。親やお友達が不自然に感じたり、困らないレベルであればよいのではないでしょう。
ちなみにピノ子は、「名前を呼んでも振り向かない」「目の前で話しても目を合わせない」「写真を撮るときにカメラ目線ができない」……不自然に感じることが多々ありました。。
上記のように、明らかに目が合わない場合の対処法や療育方法については次からご紹介しますので、参考にしてみてください。
自閉症の子どもと目が合わないときの対策【一般的なもの】
自閉症の子どもと目を合わせるための具体的な対策は、私たち親が積極的に関与し、環境を整えることが重要です。たとえば以下のような方法が挙げられます。
- 子どもがリラックスできる環境を整える
- 遊びやゲームを通じて自然に目を合わせる練習をする
- 積極的に褒めて、目を合わせる行動を強化する
これらを実践することでコミュニケーション能力の向上につながり、子どもが目を合わせることにもつながります。
目を合わせる練習方法とその効果
まずは子どもがリラックスできる環境を整えます。子どもが安心感を持てる場所で、短時間から始めて徐々に時間を延ばしていきます。
具体的には、お気に入りのおもちゃやゲームを使って、自然に目を合わせる機会を作ることが有効です。視線を合わせることを目的としたシンプルなゲームであったり、視線を使った指示に従う練習を通じて、目を合わせることが楽しい経験であると感じさせることができます。
遊びやゲームについて、詳しくは後述します。
子どもが目を合わせたときには、褒めたり、特別なご褒美を与えてあげると行動の強化につながります。これらを継続的に行うことで、子どもは徐々に目を合わせることに慣れていきます。
目を合わせるための遊びやゲームの紹介
自閉症の子どもが目を合わせるためには、遊びやゲームを取り入れることが効果的です。以下は、楽しく目を合わせる練習ができる具体的な遊びやゲームの例です。
- 表情遊び:
笑顔、驚き、悲しみなどの様々な表情を親が見せて、子どもにその表情を真似してもらうゲーム。表情を見せる、真似してもらうことで自然に目を合わせることが促されます。鏡の前でやるのも効果的です。 - 視線を誘導する遊び:
たとえば光るおもちゃや指を使って子どもの視線を誘導し、一緒に動きを追いかけます。視線の動きを追う中で、目を合わせる瞬間をつくるようにしましょう。 - ボール転がし:
親と子どもの間にボールを転がす遊び。ボールを転がす際に「次は〇〇くん(ちゃん)の番だよ」と言って、ボールを受け取る前や後に目を合わせるよう促します。 - 歌遊び:
簡単な手遊び歌や動作を取り入れた遊び。たとえば「手を叩こう」や「顔を見てにっこり笑って」など、目を合わせる動作を歌詞に組み込むとよいでしょう。
これらの遊びは子どもにとって自然な形で目を合わせることを促すものですが、もちろん個人差があります。決して無理強いはせず、子どものペースに合わせて進めましょう。
自閉症の子どもと目が合わないときの対策【重度の娘の場合】
自閉症の子どもが目を合わせる練習方法について、ここからは重度知的障害を伴う自閉症のピノ子に実践して効果のあった、具体的な療育方法をご紹介します。
興味を示しているものに顔を近づけて、子どもの視界に入る
おもちゃ、絵本、テレビなど、子どもの好きなものであれば何でもよいです。
たとえばピノ子はおままごとのおもちゃが好きなので、野菜や果物のおもちゃで遊んでいるときに「にんじんあったね!」「トマト美味しそうだね!」といったかたちで興味を示しているものに共感しつつ、自分の顔を近づけます。
また、食事で介助して食べさせるときは、親の顔の前に食べ物を持ってくることで目を合わせるようにするのです。(半ば強引ですが……)
なお、自閉症児におすすめのおもちゃについては以下の記事で詳しく紹介していますので、こちらもご覧になってください。
目のトレーニングをする
目が合わない自閉症の子どもは、目の動きが弱いことがあります。ピノ子もそうなのですが、動いているものを追視したりするのがすごく苦手でした。。
これに対して、たとえば絵本を読むときには指を指しながら読んであげたり、子どもの指を使って絵をなぞらせるなどして、目の動きを鍛えます。また、おもちゃの車などの動く物を目で追わせるのも有効です。
絵本の読ませ方などについてはこちらの記事でも紹介していますので、よかったらご覧ください。
ちなみに、ピノ子の場合は食へのこだわりが強いので、「親の顔の前に食べ物を持ってきて食べさせる」というのが一番効果があったと思います。こうすると嫌でも親が視界に入ります(笑)
とはいえ、半年~1年くらい続けて、ようやく少しずつ目が合うようになってきたというのが現状です。。
もちろん子どもによって特性は異なりますので、好きなものをうまく活用して、目線を合わせられるように取り組んでみてください。
まとめ
自閉症の子どもと目が合わないと、私たち親も落ち込んでしまって目を合わせることをしなくなってしまうのではないでしょうか。
私たち夫婦も実際にそういう時期がありましたが、早くから目を合わせるように療育に取り組むことをおすすめされ、今では普通に目が合うようになりました。
ピノ子はまだまだできないことがたくさんありますが、それでも目が合うようになったからこそ、日常生活でできるようになったことも増えました。そういう点では、もしまだ療育をされていない場合は、早めに取り組んでいただくことをおすすめします。
おすすめの療育については以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。