「やめてと言ってもやめないけど、もしかして発達障害なのかな……」または「発達障害の子どもがやめてと言ってもやめない……」とお困りの親御さんへ。
私の娘も発達障害で、やめてと言ってもやめないことが多かったのですが、声かけなどを工夫することで少しずつ効果が見られるようになりました。今回はその実体験をもとに、問題行動への対策についてご紹介します。
- やめてと言ってもやめないのは発達障害児の特徴(でも定型発達の子にもある)
- 発達障害の子どもに、やめてと言ってもやめない理由
- やめてと言ってもやめない場合の具体的な対策
この記事を読めば、お子さんが「やめてと言ってもやめない」ときの対応方法がわかります。
私たち夫婦の実体験から具体的な対策について紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
なお、今回の記事は『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』という本を参考にしています。ABA(応用行動分析)を利用した親からの適切な「言葉かけ」の方法を、イラストをまじえながらコツやポイントをわかりやすく解説していますので、興味があれば是非読んでみてください。
※本記事にはプロモーションが含まれています。
目次
やめてと言ってもやめない子は発達障害?対策は?
そもそも、「やめてと言ってもやめない」子どもは発達障害なのでしょうか。もちろん、それだけで発達障害とは言い切れませんし、健常児のお子さんでも十分ありえる話です。
ただし、「やめてと言ってもやめない」というのは確かに発達障害の子どもの特徴でもあります。『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』では、子どもが問題行動を起こすときの目的を以下の4つに分類しています。
- 要求(〇〇が欲しい)
- 拒否・逃避(〇〇はやりたくない)
- 注目(親や周囲の人から注目されたい)
- 感覚刺激が欲しい
特に自閉症などの発達障害の子どもは、欲しいものや気に入らないことがあるときに言葉で表現することが苦手な傾向があるため、癇癪を起こすなどの問題行動につながる(「やめてと言ってもやめない」)ケースが多くなってしまいます。
繰り返しになりますが、こういった特徴がある子どもはすべて発達障害というわけではなく、あくまで傾向としての話です。
よって、こういった問題行動が起こる目的に対して適切な対応をすれば、効果が期待できます。詳細については次から詳しく紹介していきますが、もしまだ療育に通われていない場合や検討中の方は、こういった問題行動の抑制にもつながるので早めの通室がおすすめです。
以下の記事でおすすめの療育を詳しく紹介していますので、興味がある方はご覧ください。
やめてと言ってもやめないときの対応【良い例】
ピノ子にも実践してみた結果、以下の4つの方法が効果的でした。
- 肯定的な言葉をかける
- 指示は簡潔・具体的にする
- 親が主導権を握る
- 状況によってはスルーする
それぞれ詳しく見ていきます。
肯定的な言葉をかける
これは慣れが必要ですが、「否定的な言葉を使わない」ことを日頃から心掛けておく必要があります。「~しない」「~しちゃダメ」ではなく、「~しようね」と言い換えるのです。
たとえば、ピノ子の場合は以前は口に物を入れたり、虫刺されがあるとそこをひたすら搔きむしるという傾向がありました(今も注意していないと出てしまいますが……)。
この場合、「食べない!」「掻かない!」ではなく、「口から出そうね!」「手はお膝ね!」というような指示をします。これはピノ子というよりは、私たち親が慣れるのに少し時間がかかりました。。
しかし今では自然と肯定的な言葉かけができるようになり、ピノ子もある程度指示に従ってくれるようになりました。
指示は簡潔・具体的にする
たとえば部屋のおもちゃを片づけてほしいときに、「片づけて!」だけだと簡潔・明瞭な指示とは言えません。「何を」「どのように」片づけたらよいのか、わかりやすく指示する必要があります。
具体的には、できれば子どもと目が合う位置まで行って、「遊ぶのはもうおしまい。お片づけしよう」といったように声をかけます。次に、どのおもちゃをどこに片づけるのかを指示します。「このおもちゃはこの箱に入れよう」「このぬいぐるみはソファの上に戻そう」といった具合です。
片づけの例でいうと、ピノ子の場合は最初かなり苦労しました。。苦手だったのもあるでしょうが、それこそ何をどうしていいのかわからなかったみたいで……しかし、この方法を取り入れるようになってからは、少しずつ指示が通るようになりました。
というか、今では指示しなくても勝手に片づけることもあるくらいです(笑)
親が主導権を握る
感情的に叱ったり、力で服従させるのはもちろんよくありません。しかし、親の指示を聞ける体制にしておくのは大事なことですし、もし危険なことや人に迷惑をかけることをしたときは、厳しい態度で接することも重要です。
たとえばテレビを見たい子どもに対して部屋の片づけをさせたいとき、「いやだ!」と言われても笑顔で共感の言葉をかけながら「いやだよねー、でもお片づけするよ」といったように、少し手伝いながらでもよいのでやらせることが大事です。
もちろん、いきなりできるわけではないと思います。ピノ子の場合も、最初はすごく抵抗されました。。それでも回数を重ねることで、徐々に指示が通るようになってきました。
根気が必要ではありますが、信頼関係を構築できればその後が楽になります。今のうちから取り組んでおきましょう。
状況によってはスルーする
もし上記のような指示や注意をしてもふざけて聞かないような場合は、あえてスルーすることも必要です。このケースでは、先述した「注目」されたいがために問題行動をとっていると考えられるからです。
あえて注意せずに放っておくと、自分が注目されないことに気づいて問題行動をやめることもあります。これは判断が難しいところですが……日頃からお子さんの様子を観察しておき、「このケースはふざけている」「このケースは注意喚起が必要」といったようにするほかありません。
なかなか一朝一夕にはいきませんが、タイミングよく適切な声かけができるよう、私たち親もがんばりましょう。
やめてと言ってもやめないときの対応【NG例】
一方で、以下のような方法はあまり好ましくないので注意が必要です。
- 注意や命令ばかりする
- 漠然とした指示をする
- 子どもの言いなりになる
注意や命令ばかりする
「〇〇しない!」「ダメでしょ〇〇しちゃ!」というように、私たち親はつい否定的な言葉をかけがちです。しかし、特に発達障害の子どもからすれば「また怒ってるなあ」と落ち込んだり、反発心を抱いたりしてしまいます。。
そうなると、「やめてと言ってもやめない」状況がもっと続いてしまいます。。
漠然とした指示をする
「ちゃんと〇〇しなさい!」「しっかり〇〇しようね」など、漠然とした指示を出していないでしょうか。特に発達障害の子どもにとっては、漠然とした指示はわかりにくいため、かえって混乱してしまいます。。
また、同時に複数のことを指示するのも避けたいです。「結局何をどうしたらいいんだろう……」となってしまい、癇癪などにつながってしまうケースもあります。
子どもの言いなりになる
子どもに対して注意したり指示したりすると、激しく抵抗したり癇癪を起こされることもあるでしょう。
たとえば子どもに「おもちゃを片づけなさい!」と指示をしても、「まだテレビを見たい!」「もっと遊びたい!」となってしまうと、親が「もう疲れたから好きにさせておくか……」と言いなりになったほうが楽なことも多いと思います。
しかし、これでは「抵抗すれば自分のやりたいことができる」という思い込みにつながってしまいます。。そうなると、ずっと子どもの言いなりになってしまうので注意が必要です。
まとめ【「やめてと言ってもやめない」には効果的な声かけを】
発達障害の子どもが「やめてと言ってもやめない」または問題行動を起こしている際の声かけは、「どのタイミングでどう指示をするか」ということがポイントです。普段からお子さんの様子を客観的に分析しておけば、いざというときにわかりやすく具体的な指示ができるようになります。
また、忘れてはならないのが、指示を聞けた際に「褒めてあげること」です。できたことを褒めてあげる、できなくても取り組もうとしたらその過程を褒めてあげるなど、たくさん褒めてあげましょう。そうすることでお子さんとの信頼関係はさらに強くなり、指示も通りやすくなるでしょう。
さらに、『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』では、遊びを通して親子関係をよくしていく方法についても書かれています。もっと詳しい内容を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
今回の記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
*今回参考にした本 ⇒ 『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』