
「臍帯血バンク、興味はあるけれどデメリットやリスクも知っておきたい……」
決して安くはない費用がかかるものですから、そう考えるのは当然です。
メリット(将来の治療の可能性)は大きいものの、当然ながらデメリットもあります。
私たち夫婦も、契約前には「本当に元が取れるのか?」「無駄にならないか?」と真剣に悩みました。
この記事では、実際に民間バンクで臍帯血を保管した私たちが、検討時に「デメリット」として認識したポイントと、それでも保管を決めた理由(どう折り合いをつけたか)について、包み隠さず紹介します。
- 臍帯血バンクの3つのデメリット
- 契約前に我が家がチェックした懸念点
- デメリットを超えて「利用」を決めた決定的な理由
良い面だけでなく、リスクや負担についても理解した上で検討したい方の参考になれば幸いです。

※臍帯血バンクのうち、今回は私たち夫婦が利用した「民間の臍帯血バンク」について紹介します。
※本記事は、筆者の個人的な体験および情報収集に基づいた記録であり、医学的な助言や診断を目的としたものではありません。
※臍帯血保管や再生医療に関するご判断は、必ず厚生労働省の公式サイトや担当の医師にご相談の上、ご自身の責任において行ってください。
目次
私たちが感じた臍帯血バンクの3つのデメリット

臍帯血バンクには「将来の安心」という大きなメリットがありますが、現実的な壁も存在します。
私たちが検討時にリストアップした主なデメリットは、次の3点でした。
- 保管費用が安くはない
- 本人以外(家族)に100%使える保証はない
- 病気を「確実に治す」魔法ではない
デメリット①【保管費用が安くはない】
1つ目の、そして最大の壁はやはり費用です。
民間バンクでの保管は公的医療保険の対象外(自由診療扱い)となるため、10年間の保管で総額300,000円前後(プランによる)が目安となります。
出産前後はただでさえ出費がかさむ時期なので、この金額は家計にとって無視できない要素でした。
なお、具体的な費用やプランについては、以下の記事で私が調べた内容をメモしています。
デメリット②【本人以外の家族への適合性】
2つ目は、本人以外の家族に100%使えるかどうかはわからないという点です。
臍帯血を採取された赤ちゃん本人に使用する場合は、自身の細胞なので拒絶反応のリスクは極めて低いです。
しかし、もし「きょうだい」や「親」の治療に使いたいとなった場合、白血球の型(HLA型)が適合する必要があります。
きょうだい間での適合確率は4分の1(25%)と言われており、必ずしも使えるとは限らない点は理解しておく必要がありました。
デメリット③【治療効果の不確実性】
3つ目は、保存された臍帯血が将来必ず役に立つとは限らないという点です。
再生医療は日進月歩の分野ですが、現時点ではすべての病気に効果があるわけではありません。
特に、私たちが期待している自閉症や脳性麻痺への利用に関しては、まだ研究段階(臨床研究)であり、「確実に治る」と保証された治療法ではないことを理解する必要がありました。

「高いお金を払っても、結局使わない(使えない)かもしれない」
このリスクをどう捉えるかが、決断の分かれ目でした。
そもそも臍帯血バンクとは?(公的と民間の違い)

検討の前提として、バンクの仕組みについても整理しておきます。
臍帯血バンクとは、将来の病気や治療に利用するために、赤ちゃんのへその緒に含まれる血液(臍帯血)を保存する施設です。
臍帯血には「造血幹細胞」などが豊富に含まれており、白血病などの治療や、再生医療への応用が期待されています。
公的バンクと民間バンクの決定的な違い
非常に重要なのが、「公的」と「民間」の違いです。
目的がまったく異なります。
公的バンクは、白血病の患者さんなど、「第三者のため」に無償で寄付する仕組みです。
一度寄付したら、自分のもとには戻ってきません。
民間バンクは、保管料を支払って「自分の子や家族のため」に保管しておく仕組みです。
私たち夫婦は「将来、自分の娘に何かあったときの選択肢を残したい」と考えたため、民間バンクを選択しました。

臍帯血バンクを検討する際の注意点|契約前に私たちが確認・注意したポイント

デメリットを踏まえた上で、私たちが「ここだけは確認しておこう」と注意したポイントを紹介します。
①コストを「日割り」で考えてみる
総額30万円と聞くと高く感じますが、「10年間の安心料」として日割り計算してみました。
たとえば、ステムセル研究所の10年プラン(当時)で計算すると、1日あたりのコストは数十円〜百円程度。
「1日100円以下で、もしもの時の保険に入れるなら……」と考えると、決して高すぎる投資ではないと私たちは判断しました。
また、一括払いが厳しい場合、分割払いが可能かどうかも重要なチェックポイントでした(ステムセル研究所は分割手数料無料のプランがあったので助かりました)。
②「何に使えるか」の現状を知る
過度な期待は禁物です。
「これを保管すればどんな病気も治る」わけではありません。
しかし、自閉症や脳性麻痺など、「現代の標準医療では決定的な治療法がない領域」において、臨床研究などの選択肢になり得るという点は、私たちにとって十分すぎる動機でした。
③企業の信頼性と経営状況
10年、20年と預けるわけですから、「預けた会社が倒産してしまった」というのが一番のリスクです。
そのため、「企業の規模」「経営の透明性(上場しているかなど)」「保管実績(シェア)」は徹底的に調べました。
結果として、国内シェア99%以上を持ち、東証に上場しているステムセル研究所を選ぶのが、リスク管理の面で最も合理的だと判断しました。
ステムセル研究所については、以下の記事で詳しく紹介しています。
それでも私たちが臍帯血バンクを利用した理由

費用もかかる、確実に使う保証もない。それでも私たちが二女・三女の臍帯血保管を決めたのには、明確な理由があります。
「あのときやっておけば」という後悔だけはしたくなかった
最大の理由は、長女が重度の自閉症であることです。
現在、自閉症を根本的に治す薬や手術はありません。
しかし、臍帯血を用いた臨床研究は、その数少ない「未来の希望」の一つです。
臍帯血は、分娩時のわずか数分間しか採取するチャンスがありません。
あとから「やっぱり保管したい」と思っても、絶対に取り戻せないのです。
もし将来、医療が進歩して臍帯血治療が一般的になったとき、「あのとき、数万円を惜しんだせいで、娘に治療を受けさせてあげられない」と後悔することだけは、絶対に避けたかったのです。
「使う機会が来なければ、それはそれで家族が健康だった証拠」。
そう割り切って、私たちはお守りとして保管することに決めました。ました。
SNS(X)でも、同様に「後悔したくない」という声が見受けられました。

X(旧Twitter)の声
まとめ【デメリットは「安心料」と捉えました】
今回は、臍帯血バンクのデメリットと、私たちがそれをどう捉えたかについて紹介しました。
確かに費用などのデメリットは存在します。
しかし、「出産時の一瞬しか手に入らない、我が子の治療資源」を確保できるメリットは、お金には代えがたいものがありました。
もし、以前の私たちのように「少しでも将来の不安を減らしたい」と考えている方は、まずは資料請求をして、ご家族でじっくり話し合ってみることをおすすめします。
正しい情報を知った上で「保管しない」と決めるのと、知らずに「機会を逃す」のとでは、納得感がまったく違いますから。

臍帯血バンクの詳細や申込み方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。
今回の記事が、後悔のない選択の一助になれば幸いです。

