絵本を開いた瞬間に、娘は立ち上がってどこかへ行きました。
追いかけて、座らせて、また開く。
そのページを読み終わる前に、また離れていく。
そんな時期が、わが家で何年も続きました。
「言葉が遅い子には絵本がいい」と、療育でも病院でも言われます。その通りだと思って、我が家も何冊も買いました。本棚は増えたのに、娘の口からは何も出てきません。
読み聞かせを続けているだけで、じゅうぶん立派だと思います。もし買った絵本が一度も最後まで読めていなくても、それはあなたの読み方が下手だからではありません。
このブログ記事では、知的障害を伴う自閉症の娘に反応がよかった絵本12冊と、選び方、そして「読んでくれない日」にわが家がやってきたことをまとめました。絵本が合わないお子さんのための、絵本以外の入口もお伝えします。
私は元教材編集者で、知的障がい支援士の資格を持つ父親ですが、専門家の解説というよりは、読んだり読まなかったりを繰り返した家庭の記録として読んでみてください。
※本記事はプロモーションを含みます。
目次
言葉が遅い子におすすめの絵本は、この6シリーズ12冊【まず結論】

娘に反応がよかった絵本と、療育や発達相談などですすめられた絵本は、次の12冊です。
- 言葉が遅い子(まだ言葉が出ていない子)の場合:
「だるまさんシリーズ(3冊)」
「これなあに?かたぬき絵本シリーズ(3冊)」
「ぶーぶーぶー」
「じゃあじゃあびりびり」 - 言葉が出始めた子の場合:
「赤ちゃん版ノンタンシリーズ(3冊)」
「あっちゃんあがつく たべものあいうえお」
1冊ずつの詳しい内容は、記事の後半で紹介します。
ただ、その前に書いておかなければならないことがあります。
この12冊を読めば言葉が出ます、とは書けません。わが家は、そうならなかったからです。
12冊を読んでも、すぐに言葉は出ませんでした【7年後に「はい」が出るまで】

娘は1歳6ヶ月のとき、発語がありませんでした。
名前を呼んでも振り向かない。
指さしもしない。
親と目が合うことも、ほとんどない。
欲しいものがあると、私の手首をつかんで冷蔵庫まで引っ張っていく。いわゆるクレーン現象です。
そこから、絵本を読み続けました。療育で教わったとおり、擬音語のある本を選んで、毎日読みました。
それでも、意味のある言葉は出ませんでした。半年たっても、1年たっても、3年たっても。
この時間に意味はあるんだろうか。何度もそう思いました。
言葉ではなく、先に増えたもの
ただ、言葉以外のところは、少しずつ動いていました。
大人と目が合う場面が増えた。
名前を呼ぶと反応する場面が出た。
「ちょうだい」のジェスチャーで、欲しいものを伝えられるようになった。
絵カードを使って、水やご飯を要求できるようになった。
私はずっと「言葉が出るかどうか」だけを見ていたので、この変化にしばらく気づきませんでした。
でも、後から振り返ると、ここが最も大きかったんです。
言葉が出る前の段階には、模倣、呼名反応、指さしといった、人に向かうやりとりの芽があります。公的な情報でも、これらは言葉を覚えていくうえで大切な対人コミュニケーションの一歩として説明されています。
*出典:国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「乳幼児期」
絵本は、この「言葉の手前」を増やすために使えます。目の前の紙を一緒に見る。大人の声を聞く。指をさす。同じ音を真似しようとする。発語はそのずっと先にあります。
ようやく、「はい」が出ました
娘が小学3年生の夏、音声模倣がはっきり出てきました。こちらが出した音を、真似して返せる場面が増えたんです。そのなかで、「はい」と声に出して返す場面が出てきました。
1歳6ヶ月のあの日から、7年以上が経っていました。
しかも、そのとき娘はもう絵本を読んでいませんでした。小学生になった頃から、読み聞かせは自然に終わっていたんです。
ですから、絵本のおかげで「はい」が出た、とは言えません。療育も、学校も、家庭でやってきたことも全部混ざっていて、何がどう効いたのかは私にも分かりません。
書けるのは、時間軸の事実だけです。7年以上かかりました。日々の積み重ねの先にあった変化です。
今の時点で成果が見えていないとしても、それは失敗ではないと思っています。
絵本を買い足す前に、わが家が確認したこと【1歳半健診で指摘されたら】

言葉の遅れが気になるとき、本を買い足す前に確認しておきたいことがあります。
わが家の順番は、こうでした。
- 1歳4ヶ月:自治体の相談機関に電話
- 1歳5ヶ月:小児科と耳鼻科を受診し、聞こえに大きな異常がないことを確認
- 2歳0ヶ月:自治体の療育・相談を利用開始。言語聴覚士の助言を受けて、家庭での取り組みを始めた
電話をかけたきっかけは、発達への不安が日ごとに大きくなっていったことでした。妻がひとりで抱えきれなくなって、話し合い、相談してみようと決めたんです。
相談は、診断を決める行為ではありませんでした。観察を始める入口でした。
言葉の遅れの背景に、聞こえの問題が隠れていることもあります。絵本を何冊読んでも、そもそも聞こえにくければ届きません。順番として、まず耳を確認しておくと安心できます。
なお、1歳6か月児健診と3歳児健診は、母子保健法にもとづいて市区町村に実施が義務づけられています。健診で指摘されたときも、健診を待たずに気になっているときも、相談の入口はお住まいの自治体の窓口です。
*出典:こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」
※制度の運用や相談窓口は自治体によって異なります。最新の情報はお住まいの自治体の公式サイトでご確認ください。
言葉を促す関わり方全般については、以下の記事でもまとめています。
言葉が遅い子の絵本の選び方【3つの判断軸】

言葉を引き出す絵本の条件として、よく言われるのは「擬音語」「繰り返し」「シンプルな絵」の3つです。これは正しいと思います。娘にも、この条件の本がいちばん残りました。
そのうえで、わが家が実際に使っていた判断の順番をお伝えします。
軸1:発達段階で選ぶ
年齢ではなく、今できていることで選びます。
絵をじっと見られない段階の子に、ストーリーのある絵本を渡しても、たいてい閉じられます。娘がそうでした。
おおまかな順番は、こうです。
見る → 触る・めくる → 同じ絵を何度も見る → 指をさす → 大人の動きを真似する → 音を真似する
今どこにいるかで、選ぶ本が変わります。「見る」の段階なら、色がはっきりしていて1ページに1つしか描かれていない本。「指をさす」が出てきたら、問いかけられる仕掛けのある本です。
軸2:1ページの情報量で選ぶ
情報が多い絵本ほど、どこを見ればいいのか分からなくなります。
わが家の基準は単純で、開いたページに何が描かれているかを、親が一言で言えるかどうかでした。「くるま」「いぬ」で済むなら合っている。説明が必要なら、まだ早い。
図鑑のようなタイプに進むのは、指さしが出てからで間に合います。
軸3:お子さんの「好き」から選ぶ
定番と言われる本が合わないことは、ふつうにあります。
娘は食べ物と動物が好きでした。だから「これなあに?かたぬき絵本シリーズ」も、10種類以上あるなかで「どうぶつ」「くだもの」「やさい」を選びました。この3冊だけ、明らかに反応が違ったんです。
評価の高い本を先に買って、反応がなくてがっかりする。私はこれを何度もやりました。
順番を逆にしてよかったと思っています。まずお子さんの好きなジャンルを1冊。定番はその後で大丈夫です。
言葉が遅い子・自閉症の子におすすめの絵本12選

以下、娘に反応がよかった絵本と、療育施設やかかりつけの病院などからすすめられた絵本です。
わが家で実際に反応があったものと、すすめられたけれど娘はまだその段階に届いていないものが混ざっています。区別が分かるように、それぞれ明記しました。
言葉が遅い子(まだ言葉が出ていない子)
だるまさんシリーズ(3冊)

手足の生えただるまさんが、伸びたり倒れたりします。出だしが「だ・る・ま・さ・ん・が」という音節の繰り返しになっていて、子どもにとって聞き取りやすい構成です。
「どてっ」のような擬音語と動きがセットになっているので、音と動作が結びつきやすいのも特徴です。
向いている段階:絵を見る段階から。大人が体を動かして一緒に読めるので、座っていられない子でも入りやすいです。
わが家の場合:最初は本より、読んでいる私の動きのほうを見ていました。それでよかったと思っています。まず人に注目してもらうところからでした。
これなあに?かたぬき絵本シリーズ(3冊)

動物や食べ物が、型抜きされたページに隠れています。形を見て「これなあに」と問いかけられるので、聞く機会と答える機会を増やせます。
型抜きの形と実物との対応を理解することにもつながります。
向いている段階:指さしが出はじめた頃。答えを言えなくても、指をさしてくれれば成立します。
わが家の場合:10種類以上あるシリーズのうち、「どうぶつ」「くだもの」「やさい」がよく合いました。好きなジャンルを選べるのが、このシリーズの強みだと思います。
ぶーぶーぶー

いろいろな色の車が出てきて、「ぶーぶーぶー」の擬音語がつきます。繰り返しのパターンがあるので、子どもにとって次の展開が予測しやすい内容です。
読んだあとに、実際の車のおもちゃで遊ぶところまでつなげられるのもいいところでした。絵と実物が結びつくと、言葉の理解が進みやすくなります。
向いている段階:色や形に反応しはじめた頃から。
じゃあじゃあびりびり

1ページごとに、赤、青、黄、緑とはっきりした色が使われています。ストーリーがないので、言葉の理解が進んでいない子でも入りやすい構成です。
「じゃあじゃあ」「びりびり」といった擬音語が中心なので、音を真似しやすいのも特徴です。
向いている段階:いちばん最初の1冊として。
わが家の場合:娘は赤ちゃんの頃から、長いあいだこの本がお気に入りでした。合う本は、何年も残ります。
言葉が出始めた子
ここから2つは、「次の段階になったら」とすすめられた絵本です。娘はこの段階に届かないまま読み聞かせの時期が終わったため、わが家の反応は書けません。すすめられた理由とあわせて紹介します。
赤ちゃん版ノンタンシリーズ(3冊)

表情や仕草が豊かなノンタンの絵本です。日常生活や自然なやりとりが描かれていて、身近な言葉を身につけていくのに向いています。
全部で9冊ありますが、最初の1冊としては『ノンタンにんにんにこにこ』『ノンタンもぐもぐもぐ』『ノンタンあそびましょ』あたりが、登場するキャラクターの数と文字のバランスがよく、見やすいと思います。
向いている段階:単語がいくつか出てきた頃から。
あっちゃんあがつく たべものあいうえお

身近な食べ物を五十音順に並べた絵本です。濁音、半濁音も含めて69音すべてが登場します。
音の区別や順序を覚えるのに使えますし、形や味を表す言葉も出てくるので、単語の幅を広げるのにも向いています。
向いている段階:文字や音そのものに興味が出てきた頃から。
合わなかったときの見切り方
1冊買って、3回読んで、まったく見ない。よくあることです。
わが家の目安は「3回試して視線が来なければ、いったん本棚に戻す」でした。処分はしません。しばらくしてから出すと、急に見ることがあります。
娘の場合も、小さい頃に反応がなかった本を、幼稚園に入ってから毎日読むようになったことがありました。
合わなかったのは、その本が悪いのでも、選んだあなたが間違えたのでもなく、タイミングがまだ来ていないだけかもしれません。
絵本を読んでくれないときに、わが家がやったこと

この記事で最もお伝えしたいところです。
本を選ぶより、読める状態をつくるほうが、わが家では何倍も難しかったからです。
読む前に、体を使う日をつくる
まず試してほしいのが、読む前に体を動かすことです。
娘は、家の中でじっとしている時間が長いほど、絵本の前に座れませんでした。逆に、散歩をしてきた日や、外で思いきり動いた日は、机の前に座っていられる時間が明らかに長くなったんです。
わが家では、休日に私が父親の担当として長い距離を歩きました。手をつないで、少し速めのテンポで。「止まって」で止まる練習も、その中でやりました。
歩いたあとのほうが、話を聞ける。座れる。この順番に気づいてから、読み聞かせの前にまず体を使うようにしました。
絵本を開く前の30分に、答えがあることもあるんです。
1ページで終わっていい
もうひとつが、こちらの要求を下げることです。
1冊を最後まで読み切ろうとすると、たいてい途中で離脱します。そこで、目標を「1ページ見たら終わり」に変えました。
最後まで読まない。読み終える前に、こちらから閉じる。
もの足りないくらいで終わると、次の日に嫌がりにくくなりました。娘の課題はどれもそうでしたが、段差を下げれば登れることがあります。「あと1ページ」を積み重ねていくほうが、結果的に長く続きました。
読みながら、言葉を足しすぎない
これは私の失敗です。
娘に少しでも入ってほしくて、読みながら質問を重ねていました。「これなに」「わんわんだよ」「ほら見て」。
でも、声を足すほど、娘は本から離れていきました。
言葉が多すぎるとき、娘にとってそれは支援ではなく、処理しきれない刺激になっていたのだと思います。読むときは読む。問いかけるなら、1ページに1回まで。それくらいで足りました。
読む前に数秒だけ、姿勢や目の様子を見るのも習慣にしていました。ぼんやりしている日は、無理に読まない。それも判断のうちです。
読む時間と場所を決める
絵本への抵抗が減ってきたら、読む時間と場所を決めます。寝る前やお昼寝の前など、毎日同じ場面に組み込むと、そのうちパターンになります。
ただ、「絵本を読まないと気が済まない」という強いこだわりになると、旅行先や体調の悪い日に困ります。定着してきたら、あえて読まない日を混ぜておくといいと思います。
「追いかけてでも読む」の条件
以前の私は、離れていく娘を追いかけてでも読んでいました。去っていったから終わり、ではなく、見せ続けることを優先していたんです。
実際、それで少しずつ絵本に興味を示すようになったのも事実です。
ただ、今の私なら条件をつけます。
追いかけていいのは、娘が嫌がっていないときだけ。癇癪の気配があるとき、体がぐったりしているときは、追いません。追われて嫌な記憶がつくと、絵本そのものが苦手なものになってしまいます。
粘るのは大事です。粘る日と、引く日を分けるのは、もっと大事でした。
療育に通っているのに変化が見えにくい、という時期もあると思います。
原因が療育の内容ではなく、家で過ごす時間の設計にあることもあります。私が7年かけて遠回りしたその話は、以下の記事にまとめています。
絵本が合わない子に、絵本の代わりにやってよかったこと

すべての子に絵本が合うわけではありません。
これは、絵本を否定しているのではありません。絵本でやりたかったこと、つまり大人と同じものを見る、名前と物を結びつける、要求を伝える。これらは絵本以外でもできる、という話です。
わが家で助かったのは、次の3つでした。
- 絵カード:「水を飲む」「ご飯を食べる」「トイレ」「テレビ」を1枚ずつカードにして、渡せば要求が通る仕組みにしました。娘はここから、自分の意思を伝えられるようになりました。
- 実物と写真をそろえる:絵より写真のほうが分かりやすい子もいます。家にあるコップを撮って、実物の横に並べる。それだけで指さしが出た場面がありました。
- ジェスチャー:「ちょうだい」「お願い」、手を振って「違う」。娘は肩をたたいて大人を呼ぶこともできるようになりました。
絵本が読めなくても、やりとりは増やせます。
伝わる経験が増えると、癇癪が減ることもあります。わが家では、要求が通らないことによる泣き叫びが、目に見えて減りました。
絵本を最後まで読めないことを、責める必要はありません。入口はひとつではないからです。
絵本の習慣がついてきたら、机に向かう課題に進むのもいいと思います。詳しくは以下の記事をご覧ください。
絵本を読まなくなった日【やめどきと、そのあと】

わが家の読み聞かせは、いつのまにか終わりました。
小学生になった頃です。娘が本棚に来なくなり、こちらから開いても、以前ほど見なくなりました。やめようと決めた日はありません。読む場面が減っていって、そのまま戻らなかった、というだけです。
正直なところ、少し怖かったです。これまで積み上げてきたものが、なくなってしまうような気がして。
でも、後退はしませんでした。
目が合う、名前を呼ぶと反応する、絵カードやジェスチャーで要求する。読み聞かせをやめたあとも、そこは残り続けました。そして、音声模倣が出るようになりました。
だから今は、こう考えています。絵本は、続けることが目的ではありませんでした。やりとりの経験を貯める入口のひとつで、その役目が終われば、離れていいものだったのだと思います。
やめどきの目安として、わが家の感覚をお伝えします。
- お子さんが自分から本に近づかなくなり、開いても視線が来ない状態が続いたとき
- 読み聞かせより、体を使った遊びやほかの課題のほうが反応がいいと感じるとき
- 親のほうが「読まなければ」と義務で開いていると気づいたとき
読み聞かせの習慣がなくなっても、やりとりを増やす方法はほかにもあります。今のわが家で続いているのは、絵カードと、身振りでのやりとりです。
続けられなくなった時期があっても、そこで終わりではありません。
よくある質問【言葉が遅い子と絵本】

Q
絵本は何冊そろえればいいですか?
A
わが家の実感では、たくさん買うより、合った1冊を何度も読むほうが残りました。
反応のある本が1冊見つかったら、まずそれを軸にしてください。増やすのは、その本に飽きが見えてからで間に合います。
Q
同じ絵本ばかり読んでも大丈夫ですか?
A
大丈夫だと思います。娘も、「じゃあじゃあびりびり」を何年も読みました。
繰り返しがあるからこそ、次のページで何が出てくるかを予測できるようになります。予測できることは、言葉の手前の力として大事です。
ただ、その本以外を一切受けつけないほど強いこだわりになりそうなときは、同じ系統の別の本を1冊混ぜてみてください。
Q
言葉が遅い子のトレーニング本は、親が読んだほうがいいですか?
A
1冊は読んでおくと、判断がしやすくなると思います。
私も専門書を読み漁った時期がありました。ただ、途中から「読むほどやることが増えて、苦しくなる」状態になりました。
集めるために読むのではなく、今の段階を知るために読む。うちの子は今どこにいて、次の一歩はどこか。それが分かる本を1冊だけ選ぶ読み方をおすすめします。
気持ちのほうが限界に近いときは、専門書より、同じ立場の人が書いた漫画やエッセイのほうが助けになることもあります。
Q
何日も読めない日が続いてしまいます。
A
わが家もそうでした。仕事で余裕がない週は、まるごと読まないこともありました。
毎日続けられたほうがいいのは確かです。ですが、読まない日があったせいで言葉が遅れる、というほど単純な話でもないと思っています。
続かないなら、1日1ページに下げてください。それも無理なら、いったん置いていいと思います。
Q
もう3歳(4歳、5歳)ですが、今から始めても遅くないですか?
A
遅くないと思います。
娘に音声模倣がはっきり出てきたのは、小学3年生になった夏でした。8歳を過ぎてからです。しかも、その時点で読み聞かせはもう終わっていました。
早く始められるならそのほうがいい、とは言われます。ですが「もう遅い」と決めてやめてしまうことのほうが、わが家にとっては損でした。
期待の置き方だけ変えてみてください。今日読んだから明日話す、ではありません。数年かけて、やりとりが少しずつ増えていく。そういう積み重ねです。
まとめ【絵本は言葉を出す道具ではなく、やりとりを増やす入口】
擬音語と繰り返しのある、シンプルな絵本を選んで読む。この基本は間違っていません。娘にも、その通りの本が残りました。
ただ、読み聞かせを終えてから振り返って分かったのは、絵本の役割は「言葉を出させること」ではなかったということです。
一緒に同じものを見る。指をさす。真似しようとする。この、言葉の手前にあるやりとりが増えていった先に、「はい」という音声模倣がありました。
今日からできることは、2つあります。
反応のあった1冊を決めて、1ページで終わりにすること。 そして、絵本の前に少し体を動かす日をつくってみることです。
読めない日があっても、あなたの読み聞かせが無駄になることはありません。
家でやることを、増やす方向で考えていないでしょうか。
私は7年間、足し続けて遠回りをしました。教材も、声かけも、課題も、目標も。減らしたことで、ようやく娘に入っていったものがあります。
その考え方と、家庭での具体的な手順をまとめたのが、以下のnote「引き算の家庭療育」大全です。
新しく何かを買い足すための内容ではありません。今やっていることを整理して、削るところを決めるための内容です。特別な教材も、専門知識も要りません。
ところで、絵本はお子さんのためのものですが、親御さん自身が読むための本も、別に必要だと私は思っています。
重度知的障害を伴う自閉症の娘を育ててきた中で、私自身「自分のために読む本」に何度も助けられてきました。発達障害をテーマにした漫画は、専門書とは違う角度で「自分だけじゃない」と思わせてくれます。
同じ立場の親御さん向けに、5冊を厳選した記事もあります。併せてご覧ください。


