「療育に通わせようと思っているけど、意味がないんじゃないかな……」「療育に通っているけど効果を感じない……」とお考えの親御さんへ。
自閉症の娘を持ち、療育に通わせていた私の経験上、「確実に成長した」と感じています。しかし、療育の利用方法によっては十分な効果が得られない可能性も。
この記事では療育に通っていた娘の実体験もまじえながら、療育の効果的な利用方法などについて紹介していきます。
- 療育の効果を最大限引き出す方法
- 療育の選び方
- 療育の効果
この記事を読めば、「療育は意味がない」と思ったときに取り組むべきことがわかります。
私たち夫婦が、自閉症の娘を療育に通わせた実体験をもとに紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
目次
療育は意味がない?【目的を見直してみましょう】
発達障害の子どもや発達がゆっくりの子どもの成長を促すために、選択肢としてまず考えられるのが「療育」です。私の娘のピノ子も療育に通っていましたが、療育先の親御さんからは「あまり効果を実感できない」「意味がないんじゃないか」という声を、確かに聞くこともありました。
療育に意味がないと感じる理由
療育に意味がないと感じてしまうのは、主に以下のような理由が考えられます。
- 効果が現れるまでに時間がかかる
- 子どもの状態や特性に合わない
- 親の期待値が高すぎる
効果が現れるまでに時間がかかる
療育の効果は、すぐに現れるものではありません。特に発達障害を持つ子どもたちの場合、長期間にわたって継続的な支援が必要です。焦らず、少しずつ進歩を見守ることが大切です。
子どもの状態や特性に合わない
療育は子どもの状態や特性に合わせて、一人ひとりに合った療育方法で行われるべきです。型にはまった方法だけでは、効果が出ないこともあります。個々の特性を理解し、最適な療育プランを立てることが必要です。
親の期待値が高すぎる
親が療育に対して過度な期待を抱いていると、効果を感じられないことがあります。現実的な目標を設定し、それに向けて段階的に進めるのが効果的です。
そもそも、療育の目的とは?
療育の目的は、おそらく親御さんの教育方針やお子さんの成長度合いによって、各家庭ごとに多少違ってくると思います。
たとえば、やや重めの障害をかかえているお子さんの場合は「少しでも過ごしやすい日常生活を送れるようにしたい」、軽度の障害をかかえているお子さんや、いわゆるグレーゾーンのお子さんの場合は「可能な限り健常児に近づけるようにしたい」、といった具合です。
ピノ子の場合は前者に当てはまり、「少しでも過ごしやすい日常生活を送れるようにしたい」と思って療育に通わせるようになりました。その目的であれば、ピノ子は十分に成長してくれていると実感しています。
「療育は意味がない」とお考えの親御さんの中には、ついつい当初の目的以上のことを求めてしまっているケースもあるのではないでしょうか。私たち夫婦も、「もっと成長してほしい」「成長スピードが遅い」などと思うこともついついあります。。
療育はすべてを解決してくれるものではありませんので……当初の療育の目的を果たせていれば、それで十分だと思っています。
療育の効果を最大限引き出すには?
しかし、場合によっては「少しどころか、全然効果を感じない」ということもあるかもしれません。療育といっても様々な療育があります。私たち親は子どもの特性を見極めて、その子に最適な療育を選択することも大切です。
療育の選び方については、後ほどご紹介しますが、自閉症のピノ子が最も伸びたと感じたのはリタリコジュニア。こちらに通っていたときの様子や、成長度合いなどについては以下の記事で詳しく紹介しています。
加えて、子どもの成長は療育だけではなく、家庭での過ごし方、親との関わり方、食事、睡眠……などなど、あらゆる要素が関係してきます。
療育の効果を最大限に引き出すには、こういったことに私たち親が日頃から最善を尽くす必要もあるのです。
「療育は意味がない」「効果を感じない」とお考えの親御さんは、今通っている療育や、療育以外の過ごし方を一度見直してみるのもよいでしょう。療育以外の過ごし方(家庭での療育)についてはこちらのブログで色々な情報を発信していますが、以下の記事でおすすめの書籍もご紹介しています。
身につけておきたい知識がまとまっているので、興味があればご覧ください。
今の療育を続けるべきか?【見直すべきタイミング】
療育を続けるべきかどうかは、私たち親にとって大きな悩みです。療育の効果を実感できないと、「続ける意味がないのでは」と疑問に思うこともあります。
療育を続けるべきかを判断するには、主に次のような基準があります。
- 子どもの成長が見られるかどうか
- 療育の目標が達成されつつあるか
- 子どもの日常生活に改善が見られるか
- 親の負担が増えていないか
子どもの成長が見られるかどうか
療育を続ける最も重要な判断基準は、子どもの成長が見られるかどうかです。小さな進歩でも、成長が感じられるのなら、療育は効果を発揮していると言えます。
療育の目標が達成されつつあるか
設定した療育の目標が少しずつでも達成されている場合は、療育を続ける価値があるでしょう。ほかの子と比べてではなく、あくまでお子さんの目標に対しての成長度合いを確認しましょう。
子どもの日常生活に改善が見られるか
療育の効果は、子どもの日常生活に現れます。日常生活において、癇癪が減った、できることが増えたなど、以前と比べて改善が見られるかどうかも重要な判断基準です。
親の負担が増えていないか
私たち親が無理をしていると、子どもの療育どころではなくなり、結果的に悪影響が及ぶ可能性があります。親自身の負担が大きくなりすぎていないかも考慮すべきでしょう。
療育の選び方
では、療育はどのように選べばよいのでしょうか。まず前提として、療育は大きく「個別療育」と「集団療育」に分けられます。
個別療育
子ども一人ひとりの発達状況や目標に合わせて、指導員の先生が個別に指導します。具体的には次のようなものです。
- 言語聴覚士による言語訓練
- 作業療法士による運動機能や日常生活動作の訓練
- 心理士による心理テストやカウンセリング
- 音楽療育士による音楽を使った遊びやコミュニケーションの訓練
集団療育
子ども同士でグループを作ったり、大人数で活動したり遊んだりします。具体的には次のようなものです。
- お友だちと一緒に遊ぶ
- お話や絵本の読み聞かせをする
- 手作りや工作をする
- リズム遊びや体操をする
- お散歩や外遊びをする
お子さんの特性を踏まえて、「どちらのほうが馴染みやすそうか」または「子どもの伸ばしたい能力はどちらのほうが伸ばせそうか」を考えてみましょう。
たとえば、言語発達が遅れている場合は言語聴覚士がいる個別療育を検討する、他のお友達ともっとコミュニケーションをとれるようにしたい場合は関わる機会が多い集団療育を検討する、といった具合です。
また、「個別療育」「集団療育」に関わらず、療育によって強みとするところは異なります。事前にHPを確認したり資料請求してみたり、見学・体験などを通して決めることをおすすめします。
具体的な療育先については、私たち夫婦が実際に児童発達支援を見学した体験談をまとめた、以下の記事をご覧ください。
慣れてきたら掛け持ちもおすすめ
療育に通ってみて、もし物足りなさを感じる場合には、療育を掛け持ちすることもおすすめです。ピノ子の場合もはじめは1つの療育に通っていましたが、体力もついてきて「もう少しできそうだなあ」と思ったタイミングで掛け持ちをするようになりました。
ただし、お子さんによってはストレスに感じることもあるでしょうし、親御さんの負担が増えることもあります。療育の掛け持ちについては以下の記事で詳しく紹介していますので、気になる方はご覧ください。
療育の効果
お話ししてきましたように、お子さんが普段からよい状態で日常生活を送るようサポートしつつ、お子さんの特性に合った療育に通わせることで、はじめて療育の効果を最大限引き出せると考えています。
当たり前のことですが、そもそも子どもによって成長度合い・特性は異なりますし、適切な療育も異なるので一概には言えません。ここでは、一般的に言われている療育の効果と、実際にピノ子が成長した療育の体験談についてまとめておきます。
療育の効果【一般的な場合】
療育を受けることで子どもが得られる主なメリット(効果)は、次のとおりです。
- 社交性の向上
- 自己表現力の向上
- 学習能力の向上
- 自立心の育成
社交性の向上
療育を通じて、子どもは他人とのコミュニケーション能力を向上させることができます。お友だちにも興味を持つようになることで、関係が良好になり、社会性も育まれます。
自己表現力の向上
自分の気持ちや考えを言葉や行動で表現できるように、子どもの自己表現力を高めるための訓練も行います。子どもの自信にもつながるため、大きな成長が期待できます。
学習能力の向上
集中力や記憶力、問題解決力などが鍛えられることで、学習能力の向上が期待できます。
自立心の育成
療育を通じて、子どもは自立心を育むことができます。自分で考え、行動する力を養うことで、将来的に自立した生活を送る基盤が構築できます。
療育の効果【自閉症のピノ子の場合】
自治体での療育(2歳)
ピノ子が自治体の療育に通い始めたのは2歳。集団療育で、トランポリンや平均台、ジャングルジムなどの遊具を使って遊ぶ、親子で手をつないで皆で輪になって行進する、椅子に座って先生の手遊び歌などを聞く、というような活動を行っていました。
結果、最初は活動に参加すらできていなかったピノ子は、楽しんで参加できるようになり、じっとしているのが苦手だったのも少しですが解消され、癇癪も少し減るといった効果が見られました。2歳という早いうちから通えたのもよかったと思います。
早期療育については以下の記事でも紹介していますので、気になる方はこちらもご覧ください。
民間の療育(年少~年長)
2歳の頃の療育でピノ子も少しずつできることが増えてきましたので、3歳(年少)からは新しく民間の療育にも通わせるようにしました。こちらも集団療育で、屋外活動(お散歩や公園遊びなど)・屋内活動(お絵描きや食事指導など)どちらも行う生活型の療育でした。
結果、今まで体幹がなくてまともに歩けていなかったピノ子がある程度しっかり歩けるようになったり、ペンを正しく持って線を引いたり、野菜など色々なものを食べられるようになったりと……本当によく成長してくれたと思います。
そして年中からは、先ほどご紹介したリタリコジュニアに通うことに。年長まで通った結果、無発語だった重度知的障害を伴う自閉症のピノ子が、音声模倣ができるまで成長しました。
まとめ【「療育は意味がない」と思ったら見直しを】
「療育は意味がないんじゃないか」「療育に通っているけど効果が見られない」という場合は、日頃から十分に子どもをサポートできているか、かつ、療育そのものが子どもに合っているのかどうかを振り返るよい機会だと思います。
私たち夫婦もそのような時期を経て、新たな療育に通わせてみたり、頻度を見直したりして、ピノ子の成長につなげられたと実感しています。
繰り返しになりますが、療育はすべてを解決してくれるものではありませんので、「どうしたら療育を最大限生かせるか」を考え、取り組んでみてください。そうすれば、よりいっそうお子さんの成長につながると考えています。
「どの療育を選んだらいいかわからない」という場合は、文中でご紹介した以下の記事を参考にしてみてください。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。