【実体験】通所受給者証のデメリットは?|メリットや申請方法も紹介

ケンサク

ケンサク

はじめまして、ケンサクといいます。
重度知的障害を伴う自閉症の娘を育てる父親で、7年以上療育を行ってきました。
子ども発達障がい支援アドバイザー資格を保有。

【経験・実績】
◎児童発達支援事業立ち上げに携わる
◎約10の療育(児童発達支援事業所)を体験
◎学校教材の編集・制作経験(約7年)
◎発達障害児向け教材の分析
◎3人目の妊娠にて新型出生前診断(NIPT)
◎2人目・3人目の出産にて臍帯血を保管
【メディア掲載】
◎「よくわかるNIPT・遺伝子検査」

療育、出生前診断、臍帯血、妊娠・出産に役立つ情報を、わかりやすく実践的な形式でお届けします。

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子どもを療育に通わせるために、通所受給者証の取得を検討されている親御さんへ。
「受給者証を取得するデメリットはないのかな?」という不安もあるでしょう。実際に受給者証を取得して療育に通った私の娘の実体験をもとに、デメリットとメリット、申請方法、そして療育の選び方についても紹介していきます。

この記事を読んでわかること
  • 通所受給者証のデメリット・メリット
  • 通所受給者証の申請方法

この記事を読めば、通所受給者証、そして療育の選び方についての理解が深まります。自閉症の娘の実体験を踏まえて紹介していますので、ぜひ参考にしてください!

通所受給者証のデメリットは?

通所受給者証のデメリットは?

結論、通所受給者証のデメリットはほとんどないありません。むしろメリットのほうが大きいです。後述しますが、私の娘が通所受給者証を取得して療育に通っていた経験上、そう感じています。

しかし、受給者証を取得するかどうかを迷っていた親御さんが周囲にいたのも事実です。そういった親御さんがデメリットに感じていたのは、主に以下の2つです。

周囲から「発達障害」とみなされてしまう

通所受給者証を取得して療育に通わせることで、周囲から「あの子は発達障害なんだ」と見られてしまうのに抵抗がある親御さんもいます。

障害者手帳や療育手帳の場合は、障害がなければ取得できないものなので、そのように見られてしまうかもしれませんが……受給者証の場合は、あくまでお子さんが必要な支援を受けるためのものなので、必ずしも発達障害とは言い切れません

とはいえ、「療育に通っている=障害がある」と誤解されてしまうのではないか、という不安(デメリット)がどうしても拭えないという親御さんもいらっしゃいます。

パートナーと揉めてしまう

パートナー(主に父親)が「子どもの成長の遅れを認めない」という話も耳にしました。母親が療育に通わせたいために通所受給者証を取得したいと思っても、父親が「そこまでしなくても大丈夫だろう」と考えるご家庭もあるようです。その結果、意見が合わずに喧嘩になってしまうことも。。

私も発達障害児の父親として、受け入れたくない気持ちもわからなくはないですが……お子さんの将来を考えるのであれば、早く療育を受けさせてあげることのほうが重要だと感じています。

通所受給者証とは?

通所受給者証とは?

通所受給者証は、正式名称を「障害児通所受給者証」といい、児童福祉法に基づいて発行される証明書です。

発達に課題のある子どもが、児童発達支援放課後等デイサービスなどの療育サービスを受ける際に必要となります。具体的には、知的障害、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、言語障害、自閉症、情緒障害など、様々な障害のある子どもが利用でき、未就学児から18歳までの子どもが対象となります。  

通所受給者証の少し不便なところ(課題)

デメリットとは少し異なりますが、一般的に言われている受給者証の「課題」はいくつかありますので、簡単にまとめておきます。

利用できるサービスの種類や範囲の制限

受給者証を利用できるサービスは、児童発達支援や放課後等デイサービスなどに限定されています。

そのため、他のサービス、たとえば、ABAセラピーや音楽療法などを受けたい場合、受給者証が使えず、全額自己負担となる可能性があります。  

サービス提供者に関する制限

通所受給者証を利用できるサービス提供者は、受給者証の制度に参加している事業者に限られます。そのため、希望するサービスや提供者が近くにない場合や、すぐに利用できないケースも。

また、サービスの質や内容が、必ずしも親御さんが考えているレベルに達しているとは限りません。

手続きの煩雑さ

受給者証を取得するためには、市区町村への申請や更新手続きが必要です(詳しい方法は後述します)。

手続きには診断書や医師の意見書などの必要な書類を集めたり、窓口に足を運んだりする必要があり、手間もかかります。

受給者証の利用に関してわからないことは、お住まいの市区町村の児童福祉課や障害児相談支援事業所に問い合わせてみましょう。

通所受給者証のメリット

冒頭で、通所受給者証のデメリットはほとんどないとお伝えしました。ではメリットは何でしょうか。

私たちが実際に取得して思うのは、主に以下の2つです。

様々な療育に通うことができる

通所受給者証のデメリットは?「様々な療育に通うことができる」

受給者証を取得することで、子どもに最適な療育を受けられるようになります。たとえば児童発達支援には個別指導と集団指導がありますが、どちらに通ったとしても個々の特性に応じた療育を受けられるので、子どもの成長につながります。

サービスの質や内容が、すべてハイレベルとは限りませんが、ピノ子の場合は療育に通うことで大きく成長できたと実感しています。

また、複数の療育に通うのもおすすめです。詳しくは以下の記事で紹介していますので、ご覧ください。

施設の利用額が安くなる

通所受給者証のデメリットは?「施設の利用額が安くなる」

児童発達支援や放課後等デイサービスなど、受給者証が使える施設の利用額が安くなります。具体的には、1割負担で利用できるようになります。所得に応じて負担上限額は決まっていますが、利用額が上限に達した場合でも、超えた分の利用額は負担することなく利用することが可能です。

ただし、療育の施設やプログラムによっては、受給者証が使用できないところもあります。

私たちが療育を検討していた際も使用できない施設がありましたが、中々の金額だったので……多くの施設は利用可能ですが、使えるだけで経済的な負担はまったく違ったものになります。

通所受給者証の申請・取得・更新方法

通所受給者証のデメリットは?「通所受給者証の申請・取得・更新方法」

通所受給者証は、住んでいる市区町村から交付されます。取得するには以下の手順を踏みます。

  1. 自治体の窓口で手続き相談をする
  2. 障害児支援利用計画(案)を作成する
  3. 障害児支援利用計画(案)の提出
  4. 審査 → 受給者証の交付

以下、もう少し具体的に見ていきましょう。

1.自治体の窓口で手続き相談をする

  • 子育て総合支援センターや役所の保健福祉課などで、利用したいサービスの内容や計画の説明を聞きます。
  • 申請書類を記入し、必要に応じて添付書類(障害者手帳や医師の診断書など)を準備します。
  • 聞き取りや面接が行われる場合があります。

2.障害児支援利用計画(案)を作成する

  • 利用したいサービスの種類や時間、目的などを記入します。
  • 利用を検討している施設と相談しながら作成することができます。

3.障害児支援利用計画(案)の提出

  • 前項で作成した利用計画(案)と申請書類を自治体に提出します。

4.審査 → 受給者証の交付

  • 提出された資料や利用計画(案)に基づいて審査が行われます。
  • 審査結果によっては、内容の変更や追加資料の提出を求められる場合があります。
  • 審査が通れば、受給者証が交付されます。

療育の適切な選び方

ピノ子の場合は、上述のように療育を掛け持ちすることで成長を実感できました。では、そもそも療育はどのように選べばよいのでしょうか。以下、詳しく見ていきましょう。

個別指導か集団指導か

通所受給者証のデメリットは?「個別指導か集団指導か」

「メリット」でも述べましたが、児童発達支援には大きく、個別指導集団指導の2つのタイプがあります。まずはお子さんの特性を判断したうえで、どちらがよいかを検討しましょう。

個別指導

子ども一人ひとりの発達状況や目標に合わせて、支援員が個別に指導します。たとえば、言葉やコミュニケーション、自己表現、集中力、社会性などのスキルを向上させるためのトレーニングや遊びを行います。具体的には次のようなものです。

  • 言語聴覚士による言語訓練
  • 作業療法士による運動機能や日常生活動作の訓練
  • 心理士による心理テストやカウンセリング
  • 音楽療法士による音楽を使った感情表現やコミュニケーションの訓練

集団指導

子ども同士でグループを作って、共同で活動したり遊んだりします。たとえば、リズム遊びや手遊び、絵本や紙芝居の読み聞かせ、工作やお絵かきなどです。集団生活への適応や協調性、友だちとの関わり方を学ぶことができます。具体的には次のようなものです。

  • お友だちと一緒に遊ぶ
  • お話や絵本を読む
  • 手作りや工作をする
  • 音楽や体操をする
  • お散歩や外遊びをする

最近では、個別指導と集団指導を組み合わせることでより発達を促す取り組みをしている事業所もあります。おすすめの児童発達支援については以下の記事でも紹介していますので、参考にしてください。

子どもの特性に合った体制かどうか

通所受給者証のデメリットは?「子どもの特性に合った体制かどうか」

療育によって強みとするところは異なります。たとえば、「言葉の遅れについて相談したいけど言語聴覚士の先生がいない」「歩き方が悪いので相談したいけど作業療法士の先生がいない」といった具合です。

お子さんが苦手としているのはどのようなことか、または伸ばしていきたいのはどういった能力なのか、事前に判断したうえで療育を選ぶようにしましょう。

ピノ子の例で言いますと、言語発達が遅れていたのでまずは言語聴覚士のスタッフのいる個別療育を検討。また、他のお友達とコミュニケーションをとることがほとんどできていなかったので、関わる機会が多い集団療育も併せて調べてみた、といった具合です。

事前にHPを確認したり資料請求してみたり、見学・体験などを通してじっくり選ぶことをおすすめします。

まとめ

通所受給者証の取得にデメリットはほとんどなく、むしろメリットのほうが多いということを書かせていただきました。

ご家庭の状況にもよるかとは思いますが、お子さんの発達に不安を感じているのであれば、早めに療育に通うことをおすすめします。そのために、通所受給者証を取得することを前向きに検討してもらえればと思います。

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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