「子どもが逆さバイバイをしているけど、大丈夫かな?」と不安に感じている親御さんへ。
逆さバイバイは発達の過程で健常児にも見られる行動なので、それだけでは自閉症と断定できません。自閉症のサインなのか、それとも自然な発達の一部なのか。このブログ記事では、問題がない逆さバイバイのケース、親ができる逆さバイバイの治し方について詳しく解説しています。
- 逆さバイバイをする理由
- 逆さバイバイと自閉症(発達障害)との関係性
- 逆さバイバイの治し方
この記事を読めば、逆さバイバイを治す具体的な方法がわかります。自閉症の娘に実践して効果のあった方法を中心に紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
目次
逆さバイバイは問題ない?健常児でもやる?
逆さバイバイ(逆手バイバイ)とは、子どもが「バイバイ」と手を振るときに手のひらを自分に向けてしまうことです。子どもがまだ自分と他人の視点を区別できないことが原因で起こります。
逆さバイバイは、特に生後9ヶ月から1歳頃の子どもに見られます。この時期は、子どもが手や指の動きを練習し、様々なジェスチャーを試す時期。発達障害や自閉症の子どもにも見られますが、必ずしもそうとは言い切れません。
逆さバイバイは発達障害のサイン?
逆さバイバイは発達障害や自閉症のサインとして捉えられることがありますが、必ずしもそうであるとは限りません。逆さバイバイは、多くの健常児にも見られる動作だからです。
子どもたちは周囲の模倣を通じて成長します。たとえば、親が「バイバイ」と手を振っているのを見て、子どももその身振りをマネしようとします。しかし、初めてでは動作がきちんとできず、手のひらを内側に向けてしまうこともあります。
発達の過程では、逆さバイバイは自然な現象とも言えるんです。
健常児が逆さバイバイをする場合の理由
健常児にも逆さバイバイが見られる理由は、幼児の発達段階における「自己」と「他者」の区別がまだ十分でないことが大きな要因です。
子どもは大人の動作をマネする際、大人の視点ではなく自分自身の視点で動作を捉えるため、手のひらを自分に向けて手を振ることがあります。これは成長とともに自然と改善され、ほとんどの子どもは2〜3歳になる頃には正しい手の振り方を学ぶので、問題ないと言えるでしょう。
また、上述したように、手や指の動きを試している場合も。さらに、逆さバイバイは感情表現の1つとしても見られ、子どもは喜びや興奮を手の動きで表現することもあります。
逆さバイバイを遊び感覚で行うことも多く、周囲の反応を楽しんでいる場合もあります。
逆さバイバイの原因を、もう少し具体的に
逆さバイバイは、主に以下の2つの原因で生じます。
鏡像反応
子どもは、自分が相手から見られている姿を想像できないため、相手の動作を真似するときに鏡像的に反応します。
たとえば、相手が右手で手を振ると、子どもは左手で手を振ります。同様に、相手が手のひらを外側に向けて手を振ると、子どもは手のひらを内側に向けて手を振ってしまうのです。
逆さバイバイをする子どもは、自分に向いている手のひらが、相手にも見えていると思っているんです。。
視覚的注意
子どもは、自分が見ているものに強く注意を向けます。
たとえば、他人が手を振るときに手のひらが見えると、子どもは手のひらに注目します。そのため、自分が手を振るときにも手のひらを見ようとしてしまいます。
これらの原因は、子どもがまだ自分と相手の視点を切り替えたり、自分と相手が同じものを見ているのを認識する能力が発達していないことと関係があると考えられています。
逆さバイバイの発達段階と年齢
逆さバイバイは、子どもの発達段階に応じて変化します。以下は、一般的な逆さバイバイの発達段階と年齢です。
生後9ヶ月~1歳
子どもは他人の手を振る動作に反応して、自分も手を振り始めます。しかし、まだ手のひらの向きには気づかず、健常児でも逆さバイバイをすることがあります。
1歳~2歳
子どもは他人の手のひらに注目して、自分も手のひらを見ようとします。
しかし、手のひらを見ると逆さになってしまうことには気づかず、健常児でも逆さバイバイを続けてしまうことがあります。
2歳~3歳
子どもは自分と相手の視点を区別できるようになります。そのため、正しいバイバイをすることができます。
逆さバイバイは、子どもの発達に合わせて自然に改善されることが多いです。そういう点では、幼児期に逆さバイバイをしていても問題ないケースが多いと言えるでしょう。
しかし、3歳を過ぎても逆さバイバイをしている場合は注意が必要です。対策については、記事後半で紹介しています。
ちなみに、私の娘のピノ子(自閉症児)もしばらく逆さバイバイをしていましたが、次に紹介する方法で改善することができました。
逆さバイバイを治す方法【健常児にも有効】
逆さバイバイ(逆手バイバイ)を治す方法は主に以下の3つで、すごくシンプルです。
- 手本を見せる
- 正しいバイバイを褒める
- 手首や肘をサポートする
「こんなことで本当に治るの?」と思われるかもしれませんが、自閉症のピノ子にも効果のあった方法ですので、もし実践されていない場合は試してみてください。
以下、詳細についてご紹介します。
手本を見せる
子どもに正しいバイバイの仕方を見せるという、最もシンプルな方法です。
たとえば、「ママはこうやってバイバイするよ」と言いながら、手のひらを外側に向けて手を振ります。また、子どもが逆さバイバイをしたときには、「あれ?おててが逆さまだよ?」などと言って修正します。子どもと同じ方向を向いて教えてあげるとよいでしょう。
正しいバイバイを褒める
子どもが正しくバイバイをしたときには、「上手にバイバイできたね!すごいね!」と言って大げさに褒めてあげましょう。これは逆さバイバイに限りませんが、シンプルに「褒めて伸ばす」ということです。
手首や肘をサポートする
子どもが逆さバイバイをしたときやバイバイをする場面で、「こうやるんだよ」と言って優しく手首や肘を持って正しい方向に動かしてあげます。
体感的に正しい動作を覚えさせるという、やや強引なようですが効果的な方法です。
ピノ子もひたすらこの方法で逆さバイバイを改善しました。もちろん、何度も何度も矯正してあげないといけないので、おそらく何百回とやったことでしょう。。
ピノ子の場合は自閉症ということもあり、1年以上かかりましたが……もしピノ子よりも軽いお子さんの場合は、もっと早くに効果が出るはずです。
なお、当たり前のことですが、これらの方法を強制的に行うことは避けましょう。あくまでお子さんのペースでサポートしてもらえればと思います。
また、以下の動画では上記の方法以外も解説されていますので、参考にしてみてください。
逆さバイバイと自閉症の関連性
逆さバイバイは、自閉症(発達障害)の一つの兆候とされることがあります。自閉症の子どもは、他人の視点や感情を理解することが難しいため、逆さバイバイをすることがあると考えられています。
しかし、逆さバイバイだけで自閉症と判断することはできません。逆さバイバイは、上述のように正常な発達の範囲内で起こる(健常児にも出る)こともありますし、自閉症の子どもでもしないこともあります。
自閉症の初期兆候としての逆さバイバイ
自閉症児は、他者の視点を理解するのが難しいため、逆さバイバイが改善されずにそのまま続く傾向があります。具体的には、他者とのアイコンタクトや言葉によるコミュニケーションが苦手であることが同時に見られる場合、逆さバイバイが自閉症の兆候の一つである可能性が高まります。
娘のピノ子は、目は合いにくいし言語コミュニケーションが取れなかったので……まさに自閉症の兆候の一つとなりました。
健常児と自閉症児の逆さバイバイの違い
健常児が逆さバイバイをしていても、時間が経つにつれて自然と改善されます。
一方、自閉症児の場合、逆さバイバイがずっと続くことがあり、並行して他者とのコミュニケーションが苦手といった傾向が見られることがあります。冒頭でご紹介したように、健常児であれば2歳から3歳にかけて正しい手の振り方を学びますが、自閉症児の場合は、この時期を過ぎても改善が見られないことがあります。
自閉症の子どもの特徴
自閉症の子どもには、他にも以下のような特徴が見られることがあります。
- 目を見ない:
目を見て話すことが苦手。名前を呼ばれても反応しない。 - 言葉が遅い:
言葉の発達が遅れる傾向がある。また、言葉を反復したりする(同じ言葉を繰り返す)ことが多い。 - 興味が限られる:
特定の物や動作に強く興味を持つ。独特のこだわりも強い。 - その他:
感覚過敏や感覚鈍麻になりやすいです。また、睡眠や食事に問題があることも。
もしこれらの特徴がある場合は、早めの対策をおすすめします。具体的な対策については、次から紹介していきます。
逆さバイバイへの不安がある場合の対応
逆さバイバイがなかなか改善せずにいつまでも続くと、親としては不安になるでしょう。その場合は、ぜひ以下のような取り組みをしてみてください。
- かかりつけの小児科医や、発達専門の医療機関や市区町村の窓口に相談する
- 療育を活用する
不安な場合は、とにかく早めの相談・行動が大切です。まだ療育に取り組まれていない場合は、早めの検討をおすすめします。療育は早いに越したことはありませんし、仮に健常児であっても成長を促すことにつながります。
早期療育のメリットや、おすすめの療育や・療育の選び方などについては、以下2つの記事で詳しく紹介しています。
>>療育は早めに通わないと後悔する?【健常児だったとしても効果あり】
>>【実体験】民間療育おすすめ8選!|人気の児童発達支援事業所を紹介
逆さバイバイについて、よくある疑問
逆さバイバイについて、多くの親御さんが気になる点や不安に感じる点をまとめます。
逆さバイバイは誰でもやるの?
逆さバイバイは成長とともに自然に消えていくことがほとんど。健常児でも見られるため、必要以上に心配する必要はありません。ただし、3歳を過ぎても続く場合は注意が必要です。
逆さバイバイと自閉症の関連性は?
逆さバイバイは、自閉症の初期兆候の一つとして考えられることがあります。
しかし、逆さバイバイだけでは自閉症と判断することはできません。自閉症の場合、他にもアイコンタクトが取りにくい、言葉の発達が遅れている、コミュニケーションスキルが未発達といった特徴も見られることが一般的です。
逆さバイバイの治し方は?
逆さバイバイの治し方は次の通りです。
- 手本を見せる
- 正しいバイバイを褒める
- 手首や肘をサポートする
私の娘のピノ子はこの方法で治しましたが、必ずしもこれが正しいとは限りません。お子さんの特性も踏まえ、もし合わなそうな場合は無理に取り組むのは避けることをおすすめします。
逆さバイバイに関するまとめと対処法
このブログ記事では、逆さバイバイについて詳しく解説しました。以下に要点をまとめます。
- 逆さバイバイは、健常児にもよく見られる自然な発達過程
- 自閉症との関連性が疑われることもあるが、単独で判断することはできない
- 3歳を過ぎても続く場合は、各種相談先や療育を活用するのがおすすめ
- 逆さバイバイの治し方は、親が正しいやり方を覚えこませるのが効果的
逆さバイバイは多くの子どもが経験する一時的な行動であり、心配しすぎる必要はありません。しかし、不安を感じる場合や3歳を過ぎても改善が見られない場合には、早めの対応が重要です。
お子さんのために、今できることを少しずつ実践していきましょう。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。