「急に笑いが止まらない」「笑ってはいけない場面で笑ってしまう」といった自閉症のお子さんをかかえる親御さんへ。
私の娘も自閉症で、やはり同じように笑いが止まらないときがありますが、いくつかの対処法で極力防ぐことができています。今回はその具体的な方法のほか、「意味のない笑い」を出させない方法についても紹介します。
- 自閉症の子どもの笑いが止まらないときの対処法
- 自閉症の子どもが意味もなく笑ってしまう理由
- 意味のない笑いを出させない方法
この記事では、自閉症の子どもの笑いが止まらないときの対処法のほか、そういった笑いを出させない日頃の取り組みについても、実体験をもとに紹介します。ぜひ参考にしてください!
目次
自閉症の子どもの笑いが止まらないときの対処法
何の脈絡もなく突然笑い出したり、笑ってはいけない場面で笑いが止まらないといったことは、自閉症のお子さんにはよくある傾向でしょう。私の娘のピノ子も自閉症の小学生ですが、同様に笑いが止まらないことは未だにあります。。
結論、ピノ子に実践して効果のあった、笑いが止まらないときの対処法は次のとおりです。
- 一定時間歩かせる
- 手先を使う動きをさせる
- その他(場所を変える、水を飲ませる、など)
これらの対処法については後ほど詳しく紹介しますが、そもそも、突然笑い出したり笑ってはいけない場面で笑いが止まらないといった「意味のない笑い」が出てしまうのはなぜか、ということについても触れていきます。
「とりあえず対処法だけわかればいい」という方は、「自閉症の子どもの笑いが止まらないときの対処法【実際に効果の出た方法】」からご覧いただければと思います。
自閉症の子どもが意味もなく笑ってしまう理由
そもそも、自閉症の子どもはなぜ突然笑い出したり、笑ってはいけない場面で笑いが止まらないのでしょうか。「意味のない笑い」が出てしまう原因として考えられるのは、主に以下の2つです。
脳の活動水準の低下
たとえば何かの課題に集中して取り組んでいたり、しっかりとした足どりで歩いていたり、言葉が出ている子であれば会話やコミュニケーションができているときなどは、意味もなく笑うことはないでしょう。
一方で、飛び跳ねやつま先歩きをしていたり、常同行動(手をひらひらさせる、体をゆらすなど、意味なく繰り返し行う行動)にふけっているときは、脳が活発に動いていない状態です。こういうときに「意味のない笑い」が出てしまうことが多いでしょう。
ピノ子もまさにそうで、家で自由にさせている時間(目的を持って活動できていない時間)に急に笑い出し、笑いが止まらなくなるときが多いです。。
状況や感情などの理解が苦手
自閉症の子どもは、相手の感情や状況を把握することが難しい傾向があります。相手の気持ちを理解することが難しいため、たとえば叱られているのに笑ってしまうことも。定型発達の子どもにとっては自然な反応である「叱られている=悪いことをした」という理解が、自閉症の子どもにとっては難しいのです。。
私も以前はピノ子に対して「静かにしなさい!」と叱ることも多かったですが、やはり効果はありませんでした。。
そのほか、嫌がる相手の気持ちなども理解しにくいですし、静かにしなければならない場所もわからず、環境の中での適切な言動が把握しにくい傾向もあります。
加えて、相手の表情から気持ちを読むことが苦手なため、声の強弱や顔の変化が面白く感じられ、意味のない笑いにつながってしまうことも。。また、ストレスや嫌な感情から逃れるために、気持ちとは正反対の「笑い」が止まらなくなることもあります。
自閉症の子どもの笑いが止まらないときの対処法【実際に効果の出た方法】
子どもの発達段階や特性にもよりますが、自閉症のピノ子が笑いが止まらないときに実践して効果のあった対処法は、次の3つです。
- 一定時間歩かせる
- 手先を使う動きをさせる
- その他(場所を変える、水を飲ませる、など)
一定時間歩かせる
家にいるときも外出先でも使いやすい方法です。笑いが止まらない、脳が活発に動いていない状態であれば、目的を持った行動をさせることが大事。手っ取り早いのが「歩くこと」です。
とはいえ、こういうときはちょっと歩いただけでは笑いは止まらず、飛び跳ねたり走りだしたりということも多いと思います。親と手をつないで、一定のペースで一歩一歩しっかり歩くことを心がければ、自然と落ち着いてくるでしょう(ピノ子の場合もそうでした)。
手先を使う動きをさせる
上述したように、目的を持った活動をさせるには、一人でも取り組めるような課題をさせるのもおすすめです。主に自宅にいるとき向けにはなりますが、たとえば「ひも通し」や「パズル」。目で見て、手で動かすことが必要なので、集中して取り組むことで笑いを落ち着かせる効果が期待できるでしょう。
ピノ子の場合も、自宅にいて笑いが止まらないときの対処法として、よくこの2つを使って落ち着かせていました。
なお、こういった一人で遊べるようなグッズやおもちゃは以下の記事でも詳しく紹介していますので、興味がある方はご覧ください。
その他(場所を変える、水を飲ませる、など)
感情をコントロールするのが難しい自閉症の子どもに対しては、静かな場所へ移動させて刺激を抑えるなど、環境の調整も有効です。呼吸を整えるために水を少しずつ飲ませるのもよいでしょう。
ある程度指示が通りやすい子であれば、座位や立位をさせるのも効果的です。ピノ子も自宅にいるときは一定時間決まった場所に立たせることで、落ち着くこともあります。
また、誤った対処法としてついやりがちなのは「叱ること」。これは自閉症のお子さんを育てる親御さんであればお分かりかと思いますが、あまり効果がありません。。
言葉が理解できるお子さんであれば、正しい行動を教えるほうが効果的です。絵カードなどを使ってわかりやすく指示してあげる方法もあります。
「指示が通りにくい」というお子さんの場合は、紹介した3つの方法などを試していただくほうがよいでしょう。
意味のない笑いを出させない方法【最も大事】
笑いが止まらないときの対処法についてご紹介しましたが、そもそもそういう状況にならないよう、日頃からトレーニングしておくことが最も大事です。ピノ子の場合も完全にできているわけではありませんが、できるだけ脳が活発な状態を継続することで、ある程度抑制できています。
先ほどもご紹介した「歩くこと」や「手先を使う動き」などを含め、自宅にいるときは可能な限り以下のような取り組みをしています。
- 一定時間歩く
- 手先を使う課題をさせる
- 食事療法に取り組む
- 睡眠をしっかりとる
普段から歩いておくことは、笑いが止まらないときの対処法になるだけでなく、意味のない笑いをそもそも出させないことにもつながります。できれば毎日30分~1時間程度歩けると理想ですが、難しい場合は少しの時間でもいいです。
ピノ子も最初は全然歩けませんでしたが、継続して取り組んだ結果、今では1時間以上しっかり歩けるようになりました。
併せて、上述したパズルやひも通しなどの手先を使う作業、はさみが使える子であれば工作などもよいでしょう。目的のある課題に取り組むことで、脳をいい状態にキープすることができます。
課題(作業)以外のところでいうと、食事療法もおすすめです。以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
こういったことに日常的に取り組んでいると、おのずと睡眠も安定してくるはずです。結果的に発達が促され、そもそも「意味のない笑い」が出にくい状態にすることができます。
まとめ
自閉症の子どもの笑いが止まらないときの対処法として、「一定時間歩かせる」「手先を使う動きをさせる」などの方法を紹介しましたが、最も大事なのは、そういった「意味のない笑い」を出させないようにすることです。
そのためには、日常的に脳が活発な状態にしておきたいところ。歩くことや手先を使う課題をはじめ、食事療法などにも取り組むと、結果的に睡眠も安定して脳をいい状態にキープできるはずです。
もちろん、子どもの発達段階や特性にもよりますが、自閉症のピノ子に実践して効果のあった方法ですので、よかったらぜひ試してみてください。
今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。