クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介
ケンサク

ケンサク

はじめまして、ケンサクといいます。
知的障害を伴う自閉症の娘(ピノ子)への療育に奮闘中の父親です。

ー主な経験ー
■療育
◎前職で児童発達支援事業立ち上げに携わる
◎約10の療育(児童発達支援事業所)を体験
■出生前診断・臍帯血(※妻)
◎3人目の妊娠にて新型出生前診断(NIPT)
◎2人目・3人目の出産にて臍帯血を保管
■教材
◎学校教材の編集・制作経験(約7年)
◎発達障害児に役立つ教材の分析

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「うちの子はクレーン現象があるけど、みんなやるのかな……」という不安をかかえる親御さんへ。
子供が親や大人の手を引っ張るクレーン現象は、発達障害や自閉症の子どもの特徴ではありますが、定型発達の子どもにも見られます。
この記事ではクレーン現象の原因を解説するとともに、具体的な改善方法についても紹介します。

この記事を読んでわかること
  • クレーン現象の原因
  • クレーン現象の改善方法

この記事を読めば、クレーン現象の原因と改善方法がわかります。
自閉症の娘を持つ私たち夫婦の実体験から、具体的な対策について紹介していますので、ぜひ参考にしてください!

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法

そもそもクレーン現象とは、主に乳幼児が親や大人の手を引っ張り、自分が何かを欲しがっている、または見せたい物を指し示す行動を指します。本来であれば言葉や指差しで要求するのですが、言葉が出ていなかったり、指差しが出ていない場合はこのようなケースが見られます。

クレーン現象はみんなやる?

クレーン現象は、通常、言葉が未発達な時期である1歳から2歳くらいの子どもによく見られます。発達障害や自閉症の子どもの特徴ではありますが、発達の一部として正常な範囲で見られる行動であることも多いです。

発達障害の子どもによく見られる傾向ではありますが、障害がない子どもでもクレーン現象は起こります

クレーン現象の例

  • 欲しいおもちゃを取ってほしいときに、大人の手を引っ張る
  • 外に行きたいときに、玄関まで行くのに親の手を引っ張る
  • 開けてほしいドアの前まで、親の手を引っ張る

繰り返しになりますが、上記のような行動が出たからといって障害があるとは言えません。また、上述したように、クレーン現象は1~2歳の子どもに見られるケースが多いのですが、2歳以降も続いたからと言って発達障害と断定することはできません。

もしクレーン現象で子どもが手を引っ張るようなことがあっても、言葉の意味を理解している様子があったり、家族やお友達と表情のやり取りができていれば、気にする必要はないでしょう

ちなみに私の娘のピノ子は自閉症ですので、言葉の理解やお友だちとのコミュニケーションができていませんでした。。

クレーン現象の改善方法

重度知的障害を伴う自閉症のピノ子に試してみて効果があったのは、以下の3つの方法です。

  • 目を合わせる
  • 肩をトントンさせる・指差しをさせる
  • 少しでもできたら褒める

こちらは記事後半で詳しく紹介しますが、まずはクレーン現象の原因や発達障害との関連性について、もう少し詳しく説明します。

クレーン現象の原因・発達障害との関連性

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介「クレーン現象の原因・発達障害との関連性」

クレーン現象の原因

  • 言語発達の遅れ
  • コミュニケーションの手段が限られている
  • 子どもが自分の欲求を伝えるための方法を知らない

クレーン現象で手を引っ張る原因は、言葉や指差しが出ていないために、コミュニケーション手段が限られていることが原因と考えられています。また、親や大人の認識が曖昧で、「(親や大人の)手そのものが、自分の要求を叶えてくれるもの」という認識が起こっている可能性があります。

発達障害との関連性

発達障害の子どもは、言語やコミュニケーションの発達が遅れる傾向や、指差しがないことがあるため、子どもが自分の欲求を伝える手段として手を引っ張る(クレーン現象が見られる)ことが多いです。

しかし、繰り返しになりますが、クレーン現象で手を引っ張るから必ずしも発達障害であるというわけではなく、定型発達でも自分の要求をうまく表現できず、クレーン現象が出ることがあります。

ただし、目安として、クレーン現象は定型(健常児)であれば概ね3歳くらいまでに消失すると言われています。

クレーン現象の観察ポイント

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介「クレーン現象の観察ポイント」

クレーン現象が見られる際は、私たち親が日常の中で子どもの行動をよく観察することが大切です。万が一、発達障害であったとしても、早期発見・早期療育につなげることで改善しやすくなります。

クレーン現象を観察する際のポイントは、以下の4つです。

  • クレーン現象が発生する頻度
  • クレーン現象が見られる特定の状況やタイミング
  • 他の発達遅延や行動の有無
  • 子どもの反応や表情

クレーン現象が頻繁に見られる場合や、特定の状況でのみ発生する場合には、その行動を分析しましょう。たとえば、おもちゃを取ってほしいときにのみ見られる場合は、その欲求を指差しで表現できるように促すサポートが必要です。

指差しを促す方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。

また、他の発達遅延がないか、子どもがどのような表情をしているか、なども確認しましょう。言語理解が進んでいなかったり、目が合わない場合は注意が必要です。

発達障害のサインや傾向については、以下の記事で詳しく紹介しています。

クレーン現象の改善方法

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介「クレーン現象の改善方法」

クレーン現象を改善するためには、その子の言葉やコミュニケーションの発達を促していく必要があります

以下は、重度知的障害を伴う自閉症であるピノ子に実際に行ったことで、改善が見られた方法です。すべてのお子さんに共通するとは言えませんが、ぜひ試してみてください。

クレーン現象で子どもが手を引っ張るそのときがチャンスなので、そのタイミングで取り組んでみてください。

1.目を合わせる

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介「目を合わせる」

まずは目を合わせることが大切です。上述のように、クレーン現象が起こる原因の1つとして「親や大人の認識が曖昧」ということが挙げられます。よって、「手」ではなくて、(親や大人という)「人」にお願いをしていることを認識させる必要があります

ピノ子も、本当に目を合わせてくれない子でした。。

よって、手を握られた瞬間に「どうしたの?」と言ってまずは目を合わせる厳密には、目が合わないので視界に入り込むことを、日頃から相当意識するようにしました。

2.肩をトントンさせる・指差しをさせる

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介「肩をトントンさせる・指差しをさせる」

手を握られて目的の物や場所に近づいたら、お願いの仕方をお手本として見せてあげましょう

具体的には、「ママ(パパ)」と言って親の肩をトントンさせて(子どもの手をこちらが取って親の肩をトントンさせる)、「とって」と言って指差しのかたちをつくってあげるのです。

これを何度も何度も繰り返すことで、「お願いするときはこの方法をとればいいいんだ」ということを子どもにインプットできれば、クレーン現象は大幅に減少します

もちろん、そんなに簡単に改善するものではありません。ピノ子の場合は重度の自閉症児なのでなおさらだったかもしれませんが、この一連の流れを覚えるまでに1年はかかったと記憶しています。。

とにかく、根気よく続ける姿勢が大切です。また、「クレーン現象が起こる場面をあえて設定しておく」こともポイントです。たとえば、好きなおもちゃを目に見えるけど手が届かない位置に置いておいたりして、クレーン現象が出る場面をつくります。

そうすることで改善する機会が増え、少しでも早く効果が出ると考えられます。

もちろん、根気のいることには変わりはないのですが。。

3.少しでもできたら褒める

クレーン現象はみんなやる?|手を引っ張るときの改善方法を紹介「少しでもできたら褒める」

上記の工程の中で、何か少しでもできたことがあれば褒めてあげましょう

目がほんの少しでも合ったら「目を見れたね!すごいね!」と言ってあげたり、肩をトントンまでいかなくとも少しでも肩を触るような素振りを見せたら「肩トントンしようとしてくれたんだね!すごいね!」といったように、声掛けをしてあげましょう。

ちなみにピノ子の場合は最初は何もできませんでしたので……癇癪を起こさずに親の介助ありで一緒にこなせただけで「できたね!すごいね!」と褒めてあげるようにしていました。その繰り返しで、少しずつ目が合うようになり、指差しができるようになり、肩をトントンしてお願いできるようになっていきました。

そして、気づいたときにはほとんどクレーン現象が出なくなっていました。地道な方法かもしれませんが、ぜひ試してみてください。

まとめ【クレーン現象はみんなやる?→様子を見つつ改善を】

クレーン現象について、原因や改善方法を紹介しました。

「クレーン現象はみんなやる」とまでは言えませんが、定型の子どもがやる場合も多いのが事実です。クレーン現象で手を引っ張るからといって発達障害と決めつけずに、ご紹介した観察ポイントを参考に、まずはお子さんの行動や日頃の様子を注意深く分析してみてください。

また、並行して改善するための取り組みを実施していきましょう。ご紹介した「目を合わせる」「肩をトントンさせる・指差しをさせる」「少しでもできたら褒める」という方法を、ぜひ試してみてください。

なお、クレーン現象は1歳から2歳の間に多く見られますが、もし3歳を過ぎても続く場合は療育や発達相談などを利用することをおすすめします。

もしまだ療育に通われていない場合は、通室を検討してみてください。クレーン現象が出ているのであれば、療育を活用することで早めの改善が期待できます。

療育については以下の記事で詳しく紹介しています。

今回の記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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