子どもが寝たあと、暗くなったリビングでスマホを開く。
グループホーム。就労継続支援B型。成年後見制度。
言葉の意味は分かります。それでも、20年後のわが子の姿は、なぜか浮かんでこない。
そんな夜を過ごされてはいないでしょうか。
情報を集めていないわけではないと思います。むしろ集めているからこそ苦しい。制度の名前だけが増えていって、「で、うちの子はどうなるのか」という一番知りたいところに、誰も答えてくれないからです。
わが家の長女も、重度知的障害を伴う自閉症です。無発語で、身の回りのことにも介助が必要です。
このブログ記事では、統計で見た進路の現実、18歳以降の働き方、住まい、親亡き後のお金までを整理したうえで、施設見学と日々の生活の中で私が気づいた「将来の選択肢を決めているもの」をお伝えします。
制度を調べても不安が減らなかった理由は、たぶんそこにあります。
私は医師でも支援の専門職でもありません。知的障がい支援士・子ども発達障がい支援アドバイザーの資格を持つ、いち父親です。教材編集者として約7年働いた経験と、10か所以上の療育施設を見てきた立場から、わが家の場合として書いていきます。
目次
知的障害を伴う自閉症の子どもの将来【まず全体像をつかむ】

将来の道筋は、おおよそ次のように進んでいきます。
- 3〜6歳:児童発達支援、保育園・幼稚園
- 6〜12歳:小学校(特別支援学級、特別支援学校など)、放課後等デイサービス
- 12〜15歳:中学校(特別支援学級、特別支援学校中学部など)
- 15〜18歳:高等部(特別支援学校など)
- 18歳〜:一般就労、福祉的就労、生活介護など。住まいは在宅、グループホーム、入所施設
こう並べると、きれいな一本道に見えます。
でも、実際に道が大きく分かれるのは18歳です。そこまでは、思っているより選択肢が絞られています。
娘は1歳4か月のときに自治体の相談機関へ電話し、3歳1か月で「知的障害を伴う自閉症」と診断されました。7歳時点の発達指数は30。今は小学校3年生で、特別支援学級と放課後等デイサービスを利用しています。
診断が出た日の帰り道、私たち夫婦はほとんど会話ができませんでした。あのときにこの年表を見せられていたとしても、素直に受け止められたとは思えません。
ただ、あの日、医師から言われた言葉があります。
「今後の親や周囲の関わり方で、改善も悪化もする状態です」
当時は、突き放されたように聞こえました。でも、今は違います。
将来は、診断が出た時点で決まってしまうものではない。この記事で私が伝えたいことは、結局この一点に集約されます。
中学までは、進路がほぼ決まっている【統計で見る現実】

不安な方に、先に安心材料を1つ書いておきます。
特別支援学校中学部を卒業した知的障害のある生徒8,215人のうち、98.6%が進学しています。その大半が特別支援学校高等部です。中学校の特別支援学級を卒業した生徒も、94.5%が高校または高等部へ進んでいます。
*出典:文部科学省「特別支援教育資料(令和5年度)」(令和5年3月卒業者。数値は年度により変動します)
18歳までに行き場がなくなる心配は、統計上はほとんどありません。
問題は、その先です。
特別支援学校高等部(本科)を卒業した知的障害のある生徒18,471人の進路は、社会福祉施設等への入所・通所が62.1%、就職者等が31.7%、進学は0.4%でした(同資料。四捨五入のため合計は100%になりません)。
6割という数字を、重く受け取る方もいると思います。私も最初はそうでした。
ただ、これは「6割が働けない」という意味ではありません。この中には、就労継続支援B型で工賃を得ている人も、生活介護で生産活動に参加している人も含まれています。福祉サービスを使って働くという形が、ここに入っているだけです。
進学が0.4%という数字も、ショックかもしれません。
でも、この道筋を学歴の話として見るのをやめると、景色が変わります。18歳以降に問われるのは学力ではなく、どこで、誰と、どんな一日を過ごすかだからです。
18歳以降の進路は大きく3つ【一般就労・福祉的就労・生活介護】

高等部を卒業したあとの日中の過ごし方は、大きく3つに分かれます。
一般就労(一般雇用・障害者雇用)
企業と雇用契約を結んで働く形です。配慮を前提とした「障害者雇用」と、そうでない「一般雇用」に分かれます。
一般就労を目指す場合は「就労移行支援」というサービスがあります。就職に必要な知識や技能の訓練に加えて、職場探しや実習の調整も受けられます(利用できる期間には上限が定められています)。
就職した後のフォローとして「ジョブコーチ」という仕組みもあります。本人だけでなく、家族や職場に対しても助言をしてくれる存在です。働き始めてからのつまずきは、本人の能力より職場との噛み合わせで起きることが多いので、この存在は大きいと感じています。
就労継続支援A型・B型
A型は、一般企業で働くことは難しくても、雇用契約を結んで働ける場合に利用します。事務作業、パソコン作業、清掃、接客など、仕事の内容は事業所によってさまざまです。
B型は、雇用契約を結ぶことも難しい場合に、体調やペースに合わせて作業へ参加する形です。1日1時間だけ、週に数日だけという通い方もできます。仕分け、シール貼り、部品の組み立てといった手作業が中心になることが多いです。
生活介護
日中に介護や見守りを受けながら、創作活動や生産活動に参加するサービスです。障害支援区分などの要件があり、比較的重い障害のある方が利用することが多くなります。
制度の内容や利用条件は改定されることがあります。
*出典:厚生労働省「障害福祉サービス等」
進路は、高等部の現場実習で実質的に決まっていく
ここは、あまり書かれていないので触れておきます。
一般的に、高等部では在学中に現場実習があります。実際の事業所へ通い、そこで働く様子を見てもらう期間です。この実習の積み重ねが、卒業後の受け入れ先の判断材料になっていきます。
進路は、書類選考で決まるのではありません。本人の日常の姿を見て決まります。
だとすれば、逆算して何を準備すればいいのかも見えてきますが、そこは記事の後半で書きます。
18歳と20歳で変わること【子ども向けの支援から、大人向けの支援へ】

意外と知られていないことがあります。
18歳前後で、使える制度の枠組みそのものが切り替わります。
児童発達支援や放課後等デイサービスは、子どものための福祉として用意されているサービスです。一方、就労継続支援や生活介護、グループホームは、大人のための福祉サービスとして別の枠組みで運用されています。
窓口も、相談先も、担当者も変わります。
学校という毎日通う場所がなくなり、放課後の預け先もなくなり、家族の生活リズムが一気に変わる。この時期の負担を指して「18歳の壁」と呼ぶ方もいます。
そして20歳が、もうひとつの節目になります。障害基礎年金の請求ができるようになるのがこのタイミングだからです。手続きには医師の診断書などが必要で、準備には時間がかかります。
対象年齢や利用できる期間は制度改正で変わることがあるため、お住まいの自治体の障害福祉窓口で確認してください。
この2つの節目を知って私が思ったのは、18歳はゴールではなく引き継ぎだということでした。引き継ぎの準備は、前日にはできません。
就学先を決めるところから、将来は始まっている【就学相談の流れ】

18歳の話の前に、多くのご家庭が最初にぶつかるのが就学です。
特別支援学級や特別支援学校を検討する場合、お住まいの市区町村で就学相談を受けることになります。申し込みは年長の4月頃から始まるのが一般的です。
流れは、おおむね次のようになります。
- 就学相談の申し込み(市区町村の窓口へ保護者が申し込む)
- 説明会または個別面談
- 面談・知能検査(行動観察や医師の診察が入る場合もあります)
- 就学支援委員会での検討、保護者への報告と説明
- 就学先の決定、就学通知書の受け取り
時期も進め方も自治体によって差があります。最新の情報は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
決定に納得できない場合は、あらためて話し合いの場を設けてもらうことができます。ただ、希望が必ず通るとは限りません。「支援学校を希望したのに支援級になった」という話も、よくある話です。
就学先の性格を大まかに言うと、通常学級や通級指導教室、特別支援学級は学習面に力を入れており、特別支援学校は身辺自立を含めた生活の力を重視する傾向があります。もちろん、学校によって違いは大きいです。
わが家は、特別支援学級を選びました。
入学前は、教室から飛び出さないか、他の子に手が出ないか、そればかり心配していました。実際には行き渋りもなく、笑顔で通えています。園から学校へ環境が大きく変わっても崩れなかったのは、それまでの積み重ねがあったからだと思っています。
これはあくまで娘のケースです。どちらを選ぶのが正解かは、お子さんの状態と、地域にある学校の中身によって変わります。
判断材料を増やすという意味では、通所受給者証や放課後等デイサービスの使い方も一緒に整理しておくと、就学相談での話がしやすくなります。
大人になったらどこで暮らす?【グループホーム・入所施設・在宅】

住まいの選択肢は、大きく3つです。
在宅(家族と暮らす)、グループホーム(共同生活援助)、入所施設(障害者支援施設)。
グループホームは、少人数で共同生活をしながら、世話人や職員の支援を受けて暮らす場です。日中は外の事業所へ通うことが基本になります。入所施設は、より手厚い介護が必要な方が対象で、日中の活動と夜間の支援を同じ場所で受けられる形が多くなっています。
費用は、サービスの利用料と、家賃・食費・光熱水費に分かれます。負担の上限額は所得の状況によって決まり、家賃や食費は事業所ごとに違います。金額は制度改定や地域によって変わるため、自治体の窓口や事業所へ確認してください。
ここからは、わが家の話です。
私たちは数年前から、グループホームや入所施設の見学を始めています。娘はまだ小学生ですから、早すぎると思われるかもしれません。
でも、見に行ってよかったと思っています。
見学のとき、私が見ているのは支援体制の説明だけではありません。入居されている方の表情。職員の方の声のかけ方。廊下に響く音の大きさ。娘がこの場所で笑って過ごせるかどうかを、そこから想像しています。
私は以前、児童発達支援事業の立ち上げに関わったことがあります。だからこそ、パンフレットに書けることと、現場で実際に起きていることの間に距離があるのを知っています。見学は、その距離を測る作業でもありました。
そして、厳しい現実にも直面しました。
娘のように重度の知的障害がある人が安心して暮らせる場所は、今のところ本当に少ないんです。制度上の選択肢は3つあっても、実際に受け入れ先を探すとなると、話は変わってきます。
それでも、親たちが主体となって自分たちで住まいを作ろうとする動きもあります。私も情報交換の場に参加して、できることから関わり始めました。
心が折れそうになる日もあります。ただ、見に行かなければ、この現実を知るのは10年後になっていました。
「親と離れて過ごす」経験を、元気なうちに
住まいの話でもうひとつ。
短期入所(ショートステイ)という、施設に短期間泊まれるサービスがあります。介護する家族の休息や、急な用事のときに使える制度です。
これを「困ったときの手段」としてだけ見るのは、もったいないかもしれません。
親と離れた場所で夜を過ごせるかどうかは、将来グループホームや入所施設を選べるかどうかに直結します。そして、その練習は、親が元気で、本人にも余裕があるうちのほうが進めやすい。
利用できる事業所や条件は地域によって差が大きいので、まずは相談支援専門員や自治体の窓口で聞いてみてください。
親亡き後のお金と権利【障害年金・扶養共済・後見・信託】

「私たちが死んだら、この子はどうなるのか」
障害のある子を育てていて、この問いから逃げ切れる人はいないと思います。
備えは大きく分けて、収入をつくること、財産を残すこと、判断を代わってもらう人を決めること、の3つです。
- 障害年金:障害の状態にあるとき、20歳から受け取れる可能性があります。20歳前に初診日がある場合、保険料の納付要件は問われません。ただし所得による支給制限があり、金額や要件は改定されます
- 障害者扶養共済制度:保護者が掛金を納めることで、保護者が亡くなったときなどに、障害のある方へ終身の年金が支給される任意加入の制度です。都道府県・政令指定都市ごとの運営のため、窓口での確認が必要です
- 成年後見制度:本人の判断能力を法的に補う仕組みです。できることと、できないことがあります
- 信託・生命保険信託:残した財産を、本人が安全に使えるようにするための方法です
- 遺言書:きょうだいがいる場合、相続の道筋をあらかじめ示しておく意味があります
*出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
制度は変わりますし、使えるサービスは自治体によって差があります。ここに書いた内容も、必ず最新の情報を公式サイトや窓口で確認してください。
わが家も、ファイナンシャルプランナーや弁護士に相談しながら、少しずつ進めている途中です。一度で全部は決められませんでした。年金だけで生活費をすべてまかなうのは難しいという前提で、長期の資金計画も並行して考えています。
正直に言えば、この準備は楽しいものではありません。自分がいなくなった前提で話を進めるわけですから。
それでも、「できる範囲で、もう始めている」という事実そのものが、将来への不安を少しだけ軽くしてくれました。
もらえる手当や補助の全体像は、以下の記事にまとめています。まず収入と支出の見通しを立てたい方は、こちらから読んでみてください。
なお、公的サービスを就学前から親亡き後まで通しで確認したい方には、『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』という書籍が参考になります。私も繰り返し開いてきた1冊です。
将来の選択肢を広げるのは、診断名ではありませんでした

ここまで制度の話をしてきましたが、施設を見学するようになって、考えが変わったことがあります。
制度は、選択肢を用意してくれます。
でも、その中のどれを選べるかを決めているのは、診断名でも発達指数でもなく、日常の姿でした。
見学先や相談の場で、必ず聞かれたことがあります。座って待てるか。声かけで動けるか。移動にどれくらい付き添いが必要か。身の回りのことはどこまでできるか。困ったときに、それを伝えられるか。
どれも、家庭で積み上げられるものばかりでした。
具体的には、次の5つです。
- 座って待てる時間:作業所でも生活介護でも、待つ場面は必ずあります
- 大人の指示で体が動くこと:言葉が分からなくても、止まる・来る・座るが伝わるかどうか
- 移動と外出:手をつないで歩く、並ぶ、公共の場にいられる
- 身辺自立:排泄、着替え、食事。介助が減るほど、受け入れ先の幅は広がります
- 伝える手段があること:発語でなくても構いません。「したい」と「いやだ」が伝わるかどうか
最後の1つが、いちばん見落とされていると感じます。
娘には、意味のある言葉がありません。
それでも、「お願い」「ちょうだい」のジェスチャーを覚え、そのあと「いやだ」を伝える手段も育ってきました。この2つが出てからは、癇癪の理由が分かる場面が増え、こちらの対応も変わりました。
支援を受ける側にとって、伝えられることは安全に直結します。痛い、怖い、やめてほしい。それを出せるかどうかで、大人になってからの生活の質はかなり変わるはずです。
では、他の4つはどうだったか。
娘は、1秒も椅子に座れない子どもでした。外では逃走癖があり、手を離せば走り出すので、外出のたびに神経を使っていました。
そこから何をしたかというと、課題を細かく分けて、空白の時間を作らないようにしただけです。教材編集の仕事で覚えた、段差を下げるやり方をそのまま家庭に持ち込みました。休日は、私が娘と手をつないで長い距離を歩きました。ハイキングにも行きました。
数年かかりました。
今は、10分以上机に向かえる場面があります。スーパーのレジに落ち着いて並べるようになりました。着替えでは、ボタンの色分けや靴下の目印といった工夫を重ねて、制服のホックやブラウスのボタンを自分で留められる日が増えています。日中は布パンツで過ごせる場面も増えました。
魔法ではありません。地道なスモールステップの積み重ねです。
もうひとつ。受け入れ先がほぼ必ず確認するのが、自分や他人を傷つける行動があるかどうかです。これは能力の問題ではなく、環境と体調の問題であることが多い(次の章で触れます)。
ここで、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
これらができていないとしても、あなたの努力が足りなかったからではありません。
課題の段差が、今のお子さんに対して高すぎるだけかもしれない。座れないのではなく、座る前の姿勢や体力が整っていないだけかもしれない。娘の場合は、そうでした。
責める相手は、親ではなく、合っていないやり方のほうです。
身につけた力は、放っておくと戻ることがあります

ほかのネット記事ではあまり語られないことを、もうひとつ書いておきます。
将来は、たどり着いて終わりの場所ではありません。
娘は小学2年生の夏頃、それまで落ち着いていた行動が一気に崩れました。自分を傷つけるような行動が増え、家の空気が張り詰めました。あの時期は、私も妻も参っていたと思います。
原因を探して、家庭でできることを変えました。課題を増やすのではなく、体を動かす機会を増やしたんです。
9月以降、目に見えて落ち着いていきました。12月には、大きな課題だった行動がほとんど見られなくなりました。
このとき学んだことが2つあります。
ひとつは、成長は一直線ではないということ。荒れる時期があっても、そこで終わりではありませんでした。
もうひとつは、いったん身についた生活の力も、続けなければ保てないということです。
以前、就労支援の実践者の方から、支援者としてのあり方を聞く機会がありました。その方は、「彼らが人生を終えるときに自分の人生をどう振り返るのか、そこに思いを馳せて関わる」とおっしゃっていました。
その視点で日々を見ると、今日の積み重ねの意味が変わってきます。
18歳までに何かを完成させる必要はありません。むしろ、その先も続けられる形にしておくことのほうが、たぶん大事です。
18歳までにやることを、1つに絞るなら

ここまで読んで、「制度の準備さえしておけばいいと思っていた」と感じた方がいるかもしれません。
私もそうでした。お金と手続きさえ整えておけば、あとは何とかなると思っていた時期があります。
でも、制度が用意してくれるのは入口までです。その先でどれを選べるかは、日常の中で決まっていきます。
今日からできることを挙げるなら、この3つです。
- 今の姿を1つだけ記録する:座れる時間でも、外出できた距離でも構いません。比べる相手は他の子ではなく、3か月前のわが子です
- やめることを1つ決める:課題を増やす前に、うまくいっていない声かけや予定を1つ減らします
- 見学の予約を1件入れる:グループホームでも入所施設でも。10年後ではなく、今の地域の現実を知るためです
とはいえ、こう思われるかもしれません。
「まだ小さいから、今じゃなくてもいい」
「うちの子は重いから、やっても変わらない」
前者について。座る、待つ、歩く、伝えるといった力は、積み上がるまでに年単位の時間がかかります。だから早いほうがいい。ただ、遅すぎるということもありません。年齢が上がっても、段差を下げる考え方は使えます。
後者について。娘の発達指数は7歳時点で30でした。それでも変わった部分があります。全部が変わったわけではありませんし、変わらなかったこともたくさんあります。それでも、家庭でできることはありました。
そして、いちばん大事なことを。
親が倒れてしまったら、支援は続きません。頑張る量を増やす方向で解決しようとすると、たいてい先に親のほうが限界を迎えます。わが家がそうでした。
私が数年かけて遠回りしながらたどり着いたのは、足すのではなく減らす、という考え方でした。何を観察して、何をやめて、何から試すのか。その手順を1本にまとめたのが、以下のnoteです。のぞいてみてください。
知的障害を伴う自閉症の将来についてよくある質問

Q
重度の知的障害があっても働けますか?
A
雇用契約を結んで働く形が難しくても、就労継続支援B型のように、体調やペースに合わせて作業へ参加する道があります。生活介護の中で生産活動に取り組んでいる方もいます。働き方の形はひとつではない、と考えていただくのがよいと思います。
Q
一人暮らしはできますか?
A
支援を受けながら暮らす形として、グループホームがあります。完全な一人暮らしが難しい場合でも、住まいの選択肢がゼロになるわけではありません。ただし重度の場合は受け入れ先が限られるのが現状です。早めに見学を始めておくと、地域の実情が分かります。
Q
グループホームは、いつから考え始めればいいですか?
A
決まった時期はありません。ただ、見学だけなら子どもが小さいうちからできます。わが家が小学生のうちに動き始めたのは、地域にどんな場所があり、どこが重度の受け入れをしているのかを知るまでに時間がかかると分かったからです。申し込みではなく情報収集から始めれば、負担は小さく済みます。
Q
療育手帳は、将来のために取っておくべきですか?
A
障害福祉サービスの利用や各種の割引、扶養共済の加入などで、障害の状態を証明する書類が必要になる場面があります。判定の基準や名称は自治体によって異なるため、お住まいの窓口で確認してください。取得するかどうかはご家庭の判断ですが、将来使う可能性のある制度の入口になっている、という点は知っておいて損はないと思います。
Q
きょうだいに負担がかかりませんか?
A
きょうだいへの影響を心配される方は多いです。わが家にも下に2人の妹がいます。私たちが心がけているのは、長女が放課後等デイサービスなどで不在の時間を、妹たちが親を独り占めできる時間にすることです。「お姉ちゃんばかり」と感じるのは自然なことなので、その気持ちを否定しないようにしています。将来の負担については、後見や信託の設計をきょうだい任せにしないことが、親の側の備えになると考えています。
Q
知的障害は、将来軽くなることがありますか?
A
発達の検査の数値は、年齢とともに変動することがあります。ただ、その見立ては医師や心理の専門職が行うものであり、私が判断できることではありません。数値の変化に一喜一憂するより、生活の中でできることが1つ増えたかどうかを見るほうが、日々の支えになると感じています。診断や見通しについては、主治医や相談機関にご相談ください。
将来をイメージすることと、今日を変えることは別
知的障害を伴う自閉症の子どもの将来は、特別支援教育を経て、一般就労・福祉的就労・生活介護のいずれかへ進み、住まいはグループホームや入所施設という道筋が中心になります。親亡き後に向けて、年金、扶養共済、後見、信託の準備を進めておく意味も大きいです。
ここまでは、多くのネット記事でも書いてあることです。
そのうえで、娘と6年過ごしてきて思うのは、制度を調べても不安が減らないのは当然だということです。制度は選択肢を並べてくれますが、その中のどれを選べるかまでは教えてくれません。
そこを決めているのは、座れるか、待てるか、歩けるか、身の回りのことがどこまでできるか、そして「いやだ」を伝えられるか。今日の生活の中にあるものでした。
診断の日に言われた「関わり方で改善も悪化もする」という言葉を、私は今もときどき思い出します。
将来のためにやることは、1つで構いません。
スマホを1回閉じて、お子さんが今いちばん落ち着いている時間帯を思い出してみてください。答えは、記事の中ではなく、お子さんの中にあります。
気持ちのほうが限界に近いときは、無理に将来を考えなくていいと思います。そういうときに読んでいただきたいことは、以下の記事に書きました。
※本記事の制度・統計に関する記載は、執筆時点の公開情報にもとづいています。制度は改定されるため、実際の手続きの際は各公式サイトおよびお住まいの自治体窓口でご確認ください。


